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「結局は作品強度」~アートフェア東京の今後について~

 前回書いたアートフェア東京批判。フェア開催からほぼ1カ月後に書いたものにしては、多くの方に読んでもらい、幾つかの意見もいただけた。その意見の中に、批判ばかりで、ではどうすればいいのかという提案が少なかったというものがあったので、今回はそれについて考えてみたい。アートフェア東京画像5
まず今回の出品作品の中で個人的に最も印象に残った本堀雄二さんの作品。捨てられたダンボールを再利用して仏像のシルエットを組み上げ、現代の空洞化した宗教性や日本の仏像彫刻の流れの今を提示したような作品には、単なる造形としての魅力だけでなく、様々な意味性が読み取れて面白かった。

またその展示のすぐ傍にあった鈴木基真さんの作品も良かった。自分の中に蓄積したアメリカの自然風景を、ザラリとした質感の彫刻で表現。映像や写真で見たという風景を元にペインテングを制作し、その後、幾つもの風景が混じり合ったところで、現実にはない自分だけの風景を作品にするという彫刻は、現実との微妙な距離感を持つ作品として独自の魅力を放っていた。本堀雄二さん作品画像1

今回のフェアや、京都、大阪でのフェアを見てきた中で一番感じたことは、震災以降、より顕著になった平面や絵画作品の苦しい状況だった。この夏、ニューヨークをはじめとしたアメリカ東海岸でも感じたことだが、動きや変化のあるインスタレーションや映像作品、現物が実際にあるという強さを持った彫刻や写真作品に比べると、動きや現実感の少ない絵画作品は、よほど観客を引き付ける力がないと素通りされてしまう恐れがあるのだと思う。

実際、最近になって日本やアメリカでも多く見られるようになった平面作品の中に立体的なものや、光を反射するものを取り入れた作品、また見る場所が変わると作品が変化する作品などは、平面や絵画作品の弱点である変化の少なさといったものを克服するための手法として広まっている部分もあるのだろう。モナリザ集合絵画像1

2ケ月前に観たアート大阪ではそれほど感じなかったが、今回のアートフェア東京やアートフェア京都では、やはり震災後に観る絵画作品の弱さや、実際にないものを描いた作品の強度の無さといったものが気になった。

そんな中で、絵画作品を制作する田中千智さんという作家さんが描いた漆黒の闇を背景に、孤独にさまよう人物を描いた作品や、燃える船を描いた作品が強く印象に残った。震災以前から黒をバックに作品を描き続けているという田中さんの作品の前に立つと、本来、一寸先は闇という生き方しかできない人間の生のある一瞬が的確に切り取られているように感じられた。田中千智さん画像1

震災という未曽有の出来事を乗り越え、また放射能汚染という不明瞭な危機を背負い続けながら暮らしていかなければならないこの国のリアリティーは、ある種のぬるさを抱えながらも、その奥には、厳しい状況を反映したものにならざるおえないだろう。

そんな中で開かれるアートフェア東京の今後の在り方に必要なものは、本堀雄二さんの立体作品が持つ歴史文脈をも兼ね備えたような意味の重層性。さらには鈴木基真さんの作品が持つような現実からの微妙な距離感や浮遊感。そして田中千智さんの絵画作品が持つような、鑑賞者の内面にまで届くような強度を持った作品が数多く出展されることに尽きるだろう。鈴木基真さん作品画像1
前回のアートフェア東京批判でも述べた通り、もっと落ち着いた場所で、そのような作品と向き合える空間さえ生み出せれば、世界的知名度を持った東京という名を冠するに恥じない、魅力的なアートフェアが成立していくのだと思う。

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
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