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「密やかなリアルの刻印」~Chim↑Pomが行った岡本太郎「明日の神話」原発風刺画~

 「アートに何かできるか」。震災以降の2ヶ月間、アート関係者周辺で何度となく繰り返されてきたこの言葉。自分を含め、それら多くの人々にとって、震災から始まった津波、原発といったものは、これまでのアート観を大きく揺さぶるほどの衝撃をもたらした。そんな中で、下手に立ち止まることなく現地に向かい、そこにあったリアリティーを、自分たちなりのやり方で表現したのがChim↑Pom(チンポム)だった。『明日の神話』東電風刺画画像

5月1日、日付か変わった直後の午前0時14分、
@takahashihideさんという方がtwitter上にアップロードした一枚の写真がことの始まりだった。「渋谷駅にある岡本太郎の明日の神話、右下の部分が福島原発っぽい。。。」というつぶやきと共に上げられた画像には、一見するとまるで「明日の神話」の一部でもあるかのような色調や、はめ込み具合の壁画絵が写っていた。しかしそこには、2ヶ月前の地震以来、放射能汚染の問題を抱えた福島原発を思わせる建物が、不気味なキノコ雲と共に描かれていた。

twitterを中心としたネット上では、一体誰の仕業かということよりも、「太郎さんに謝れ!」といった全否定の意見や、「『賛否両論が巻き起こる行為をした』ということだけで、その芸術行為にはやった意味がある、と思う」という肯定意見など賛否両論が飛び交い、つぶやきと共に上げられた画像は7万8千以上のビューアーが閲覧(14日現在)。新聞、テレビなどもこの騒動を取り上げ、大きな話題を振り撒いた。『Chim↑Pomチンポム作品集』画像

そして昨日、その話題を人々が忘れかけようとしていた5月13日。緊急開催されると決まったChim↑Pom新作展「REAL TIMES」の告知映像のアドレスが
@chimpomworksのtwitterからつぶやかれた。すると、その映像の中にあった「明日の神話」の前で、パネルのようなものを持っているChim↑Pomメンバーの姿に気づいた人々が、次々とあの原発風刺画をやったのが、Chim↑Pomだということをつぶやきだした。

一時はtwitte上で彼らの名前を検索すると、新たなツイートが連続して流れる状況が生まれ、来週20日から清澄白河で展覧会を開催する彼らにとって、アートパフォーマンスとしてだけでなく、最高の宣伝ともなった今回の騒動。多くのアート関係者が「アートに何ができるか」と自問自答する中で、一体なぜ、彼らだけが、地震や原発の深刻な状況に囚われず、自分たちのスタンスで人々に届く表現ができたのだろう。



それはもちろん、彼らが最もリアリティーを持つ渋谷という街に作品発表の場があったこと。また彼らが得意とする知名度や権威を持った存在を、自らの文脈に取り込んだことが成功の一因であったことは間違いない。しかし、彼らが、他のアーティストやアート関係者とは異なり、これほどリアルタイムに状況を嗅ぎ分け、多くの人にインパクトを与える表現ができたのは、彼らの中に、原発や津波といったものが生み出す危機感に対し、より強い問題意識を持っていたからではないだろうか。

告知動画内に写っていたように、彼らは、津波や原発の被害地域に足を運び、そこで感じた「リアル」を今回のパフォーマンスにも活かしているように見える。それは、彼らにとって決して無謀なことではなく、カンボジアの地雷源や富士の樹海といった死の影が見え隠れする場所で、体を張って感じてきたリアリティーの延長線上にある風景だったのではないか。だからこそ、彼らは防護服(のようなもの)を身にまとい、危険と隣り合わせになりながらもそこにある現実に触れることができたのだろう。『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』画像

アート作品が結局、実物を見ることでしか語れないように、様々な事件や事故も、危険を犯してそれが起きている現場に一歩でも自分を近づけていくことでしか見えないものがあるのではないか。2008年に広島の原爆ドームの上空に「ピカッ」という文字を描き物議を醸して以来、その問題に最も近い立場にいた原爆被爆者の人々との交流を深め、放射能に対する恐怖について自分たちなりのリアリティーを持っていたChim↑Pom。だからこそ彼らは、福島原発周辺のまで出向くことが出来たし、そこで感じたことを自分たちの手法で表現できたのだろう。

今回のパフォーマンスは、1954年に水爆実験で放射能を浴びた第五福竜丸被爆の瞬間を描いた、岡本太郎さんの「明日の神話」の右隅に、自分たちの今あるリアルを密かに付け足した悪戯のように映るかもしれない。しかし、この付け足しを知ってしまった人々にとって「明日の神話」という作品は、マルセル・デュシャンが「モナ・リザ」に口髭を書き加え、元のモナリザに「髭を剃ったもの」としての文脈を加えたように、原発という新たな文脈が加えられた作品としても、語られていくかもしれない。『自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか』

一週間後に迫った展覧会で、果たして彼らがどんな新作を見せるのか。そしてアートに関わる人々が、それぞれの立場で考えた「アートに何ができるのか」という問題にChim↑Pomがどういう答えを出したのかの全貌を知るためにも、5月20日から6日間だけ行われる「REAL TIMES」展には足を運ぶべきだ思う。

ウィキペディア Chim↑Pom
5月20日から25日まで無人島プロダクションで開催されるChim↑Pom展「REAL TIMES」の紹介ページ
ウィキペディア 岡本太郎
ウィキペディア 「明日の神話」
ウィキペディア マルセル・デュシャン
アマゾン 『Chim↑Pom---チンポム作品集』
アマゾン Chim↑Pom 、 阿部 謙一 (編集)『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』
アマゾン 岡本太郎著『自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか 』(青春文庫)

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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