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「多様性の受け皿としての余白」~建築連続レクチャー「可能性の空間」長坂常さんの話を聴いて~

 地域系アートプロジェクトのプロデーューサー、ディレクターの方々の話(北川フラムさん芹沢高志さん藤浩志さん)の話などを聴いているうちに、多くの人を巻き込んだ「枠組み」や「場づくり」に興味が広がり、建築というジャンルに関心を持ち出した。そんな中で、昨年から開催されている京都精華大学の連続レクチャーシリーズ「可能性の空間」は、毎週土曜日に建築系でない門外漢の人間も聴きにいける面白いレクチャーとして重宝している。今回は長坂常さんという建築とデザインの両方のフィールドで活躍されるクリエーターの方の話をきっかけとした多様性の受け皿としての余白について考えてみたい。「可能性の空間」ちらし

今回のゲストである長坂常さんという方のことは建築が専門でない自分には、全く知らない人だった。ただ、このレクチャーの対話相手である片木孝治さんが、以前の講義の時に非常に刺激的な話をされていた事と、レクチャーのタイトルが「Space For Imaginatio
n(想像力のための空間)」という興味深いものだったので、京都市北部の山奥にある精華大学に足を運んだ。

レクチャー会場の正確な場所を忘れていたたことや、どうしても聴きたいレクチャーという訳でもなかったため、遅れて会場入りし、中盤から聴いた話は、様々な事例のスライドを見ながらの解説といったもので、「空間は体験してしか理解できない」と思っている人間にとってはそれほど興味深いものではなかった。しかし、翌日、アーカイブ化されていたUstの前半部分を見ると、長坂さんの代表作「sayama flat(狭山フラット)」の話がされており、その現代アートにも通じる場の変容の説明は凄かった。「可能性の空間1」画像

格安のリノベーションの依頼に、「何かを作って満たしていくよりも、すでにあるということにして、その状況を受け入れていく」という発想で、壁や装飾を取り払い、残ったものだけで構成された剥き出しの空間は、デザインの分野で言えば「不完全プランニング」にも似た、住む人が空間づくりに深く関われる建築として人々の関心を集めた。また、そこにあったもの自体も「人間側が見る視点を変えることで、格好悪いと断定していたものがそうじゃなく思える」という状況を作り、価値観を揺さぶる場を生み出した。

そんな話を含んだレクチャーが終了し、質問の機会が与えられたので、ぜひ現在の日本の西洋と東洋が混じった、悪く言えば節操のないカオス的なものであり、良く言えばあんことパンという東洋と西洋の、ユニークな融合としての「あんパン的」リアリティーの今後の可能性。さらにはホテルの室内をリノベーションしていくような動きが多い理由について尋ねると、長坂さんは、「ちょっと変わっちゃうかもしれないけど」と言いながら答えてくれた。「sayama flat」画像1

「西洋的視点で見れば『カオティツクで面白いよ』となり、自分より上の世代の西洋文化を学んだ人からは『何て日本の風景は悪いんだ』という、その間のどっちでもないという視点があって、だからこそ、それに対して自分たちで記述して表現していかなきゃいけない。(ホテルについては)これまで色んな問題をパーツ、パーツで捉えたり解決したようにメディアを通して話されてきたが、これからは数珠つながりで、360度自由になる視野で捉えていき、街のことを考えていかなければならない。そういう風になってきている時に見せる立場と見せられる立場といった形は成立しなくなっていて、ホテルには色んなコンテクストが絡んでいてそういったものを見せ易いのだと思う」。

学生が尋ねた狭山フラットに関しての質問には、「大抵の建築家が作っている建物は、自分が想像していたストリーに外から色んなものが入ってくるのを嫌がるというか、哀しい感じになる。だけどsayama flatはそういう感じはなく、100円ショップで買ってきたものから、凄い高級なソファーまで全部受け入れられる。僕が何で価値観を揺さぶるような、色んな価値観を吸収するような空間を作っているかというと、予想していなかったものが入って来たりできる、幅を持った空気感や間口の広さが好きだから」と回答。『1995年以後~次世代建築家の語る建築』画像

フェイク的なものと本質的なものが均一に並び、その振幅の間を面白がれるような状況が、街中に広がったり、予想もしてなかったことが起こる。そんな「右を見ても、左を見てもいつも豊かなことが起こっている」という社会のあり方を長坂さん自身が建築という手法で広めようとしている。建築科で学んでいた頃に感じていた、「予定調和」や「身の丈に合ってない」といった社会的な価値観。その一般的な「枠組み」を取り外し、そこに人や状況が自由に変化を生み出せる空間を作りながら、これまでの価値観にズレを生じさせる「文脈」を一例として提示していく。

高度資本主義社会といわれる、過剰にものや情報が溢れた時代を通過した社会では、人々は共通の価値観を持つのではなく、個別的で多様な価値観を与えられ、また時には自ら試行錯誤を行い、自分の現実に適した価値観を選び取っていく。今、現代アートやデザイン、建築などの分野で本当に求められているものは、多様性を促すような開いた価値観の提示と共に、その価値観を受け取った人が立ち止まって考え、自分なりの価値を試行錯誤できるような「余白」のある空間なのかもしれない。

連続レクチャー「可能性の空間」長坂常さんUstアーカイブ
精華大学公開講座 2011年前期「可能性の空間」へのリンク
長坂常さんが主宰するスキーマ建築計画のウェブサイト
アマゾン 『1995年以後~次世代建築家の語る建築』

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
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