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「日常の質を高める方法」~若い京都人から学ぶ日々の知恵~

 先日このブログに書いた「可能性の空間」長坂常さんのレクチャー。その話自体も面白かったが、、実はその後、長坂さんと対談した片木孝治さんに誘われて、研究室でお茶を飲みながら話した雑談も、かなり刺激的なものだった。建築の視点から地域再生プロジェクトを行う片木さんと、18歳から盆栽研究の道に入り、すでに10年以上のキャリアを持つ川崎仁美さんの2人から聞いた京都人の知恵について書いてみたい。『京町家のしきたり』画像

お茶関係の人々との交流や、学生時代からの京都人の知人との付き合いから、京都には少なくとも自分の生まれ育った環境とは異なる暮らしを豊かにする知恵のようなものが、生活レベルで根付いていることは知っていた。それは普段の食事の中に、季節感や彩り、三つ葉や山椒、みょうがのような香りを楽しめる一手間をかけること。障子や床の間のしつらえを変えることで、涼しさを演出すること。さらには坪庭や風通しの良い町屋の構造といった空間的スケールで暮らしやすさを追求していることにも見てとれた。

しかし、そのようなことについて具体的に京都の人々と話した機会はほとんどなく、今回の雑談では、川崎さんの、建築に関わる人々が、設計事務所での徹夜続きの仕事をしている状況で、「生活できひんのに家を設計するにはおかしいと感じたし、普通に生活をちゃんとすることに執着があるから」と短大で学んだ建築から、盆栽の道へと方向転換したという話を起点に、京都人には生活重視の生き方があるのではという話題に移っていった。『京 町家づくり千年の知恵』画像

大学で建築の授業も持つ片木さんは、「修繕」という言葉を使って、「修繕は修理とは違って良くする事。300年とか続いている町屋は、最初に家を建てた次の代が、元の建築費の3分2くらいの修繕費を使って痛んだ部分を取り替えるだけでなく、床柱や天井などの木材を良くしていく。それが積み重なって残っているのが今の町屋建築だったりする」と代々町屋に住んできた京都人としての意見を披露。

川崎さんは、それに付け加えるように「最近は『涼』という概念が消えてしまった。暑さが厳しい夏に涼を得ようと秋草を生けたり、建具を変えたり視覚的にも『涼』を得ようという『しつらえ』の工夫かなくなった。気密性の高い部屋にしてエアコンを使っているから季節感を取り入れることをしなくなったし、今までの知恵の必要がなくなってきている。本来、苦労しないと知恵なんて出ないですから」と自身の仕事にも関わる視点で意見を述べた。『I Loveお茶漬け』画像

そんな話に長坂さんを含む京都人以外の人々が納得していると、片木さんが「実は京都でよく聞く『ぶぶ茶漬け』も相手の領域にずかずかと踏み込まない礼儀とか、食事の時間にまで相手の家に長居しないということがあって、中京の学区内では、人の家でご飯をよばれてはいけないとか、何時に帰らなきゃいけないとかそうやって続いているものがある。本心を言わないのは、歴史的にいろんな統治者が攻め上がって来たり、今でも観光で来る人が多かったりと、人の出入りの激しい都市で、腹をくくって付き合うための見極める時期が必要だから」と解説。

それまで遠慮がちだった川崎さんも、その意見には同意らしく、「人の家でご飯をよばれるのは意地汚いと言われる。相手の好みも分からず、食べられないものがあるかもしれないので手料理は出せないから、仕出し屋さんの料理を出すのことになる。そういう事情を『察する』というのもある。それは家族の中でも同じで、一度断られたことでも言葉通りに受け取るのではなく、気が向いたら相手がそれをできるようにしておくとか、『察する』ということは親から刷り込みという感じで教えられた」。『河和田アートキャンプ』ポスター画像

片木さんはそれを受け、「言葉通りでないとは本当にそう思う。やっていいと言われてても、本当にそれでいいのかは考える。目先のことだけじゃなくて、長期的に付き合うとなると変わるから、事前に考えておく受け皿は広い。だから大体のことが想定の範囲内というのはある」と付け足し、福井県鯖江市で行っている河和田アートキャンプの事前交渉でもその教訓が生かされ、現在まで続く地元の人々との関係が生まれたエピソードを話してくれた。

片木さんによると、実はそういうことは田舎の村の構造と一緒で、「仕事や祭りのレイヤーと、あとご町内という感じでネットワークが網の目みたいになっていて京都は村と考えた方がいい」という。川崎さんは「家で出すお菓子はご近所のお菓子屋さんで買う」とか、「お寺は檀家が守っているから維持しているというのもあって、やっぱりお墓は守らないと」といった具体的な例を挙げて京都の町が持つ古くからのつながりについて教えてくれた。盆栽画像1

「そういったつながりを活かさなければ日本の地域復興はあり得ない」と語る片木さんと、「古いものもが好きという以上に、良くできたものが好きというのがあると思う」という川崎さん。それだけに2人には伝統産業の衰退や、人々の暮らしの中にある伝承やつながりが途絶えていくことへの危機感が強い。「今技術を持っている人はいるが、良い品質のものが伝承されなかった場合に果たしてその時、人はクオリティーのことを思うのか」。

建築の視点で地域再生を目指す片木さんと、盆栽を足がかりに日本の伝統文化に秘められた魅力を伝える川崎さん。一見異なるジャンルに見える二人の活動は、実は京都人として受け継いできた日常を豊かにする生活の知恵を、自分なりの方法で多くの人に伝えていくという共通の土台に根ざしていた。「今どういう状況かを考えて意識の高い暮らしをすること。そして判断することが大事です」という川崎さんの言葉の背後には、1200年という歴史の蓄積を持つ京都という町に暮らしてきた人々の姿を垣間見たような気がした。

片木孝治さんのインタビューが掲載されたQueryCruiseというサイトへのリンク
川崎仁美さんが運営する現代盆栽のサイト
河和田アートキャンプ2011ホームページ
アマゾン 杉本節子著『京町家のしきたり』(光文社知恵の森文庫)
アマゾン山本茂著『京 町家づくり千年の知恵―「間口三間」を生かす独自のこしらえ』
アマゾン  川上文代料理教室『I Loveお茶漬け365』

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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