スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
関連エントリー
この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - スポンサーサイト
関連エントリー
関連エントリー

「喪失の先にあるもの」~東浩紀さんが出演したニコ生トークセッション いま、「キャラクターと日本人」を考えるを観て~

 東日本大震災以降、津波被害や原発、余震といったもので、これまで日常的に存在していたものが、どこか非日常化してしまい、不穏な空気が漂っている日本。ある種、自分の一部を剥ぎ取られたような東北の被害や、これから長い年月続くであろう放射能汚染を考えると、「復興」という果てしなく遠い道程に対する徒労感を覚える。横浜で揺れを体験し、その後、震災の影響が少ない関西で暮らしている自分さえもがそうなのだから、家族や家をなくされた被災者の方々の思いはどれほどのものなのだろう。そんな中で視聴したニコ生トークセッションの東浩紀さんの幾つかの言葉が、今の自分には率直に響いた。ニコ生トークセッション画像

いま、「キャラクターと日本人」を考えるというタイトルで行われた放送の序盤、画面に映っていた東浩紀さんの姿には全くやる気がなかった。話相手である斎藤環さんがいくら話を振っても、「よく分からない」という言葉を繰り返し、それからは、「自分が何ものかもよくわからなくなってきて」、「真面目に話すのも、笑いをとるのも虚しい」という言葉で対応。過去の著作を「黒歴史」と呼ぶなど、明らかにこれまで、ニコ生やUstで「祭り」作り出してきた東さんとは違っていた。

しかし、個人的には斎藤環さんの新刊のテーマである「キャラクター」という言葉が出るたびに、その重みの無さに「いま、そんな話をしてもな」という気持ちがあっただけに、その対応が分からなくもなかった。あまりのやる気の無さに、スタッフの力の無い笑いまでもが時折聞こえていた放送だったが、東さんは次第に震災後の個人的な心情の変化について話だした。そこで語られた「次にどうしたらいいか確信が出て来ない」、「twitterだけの問題じゃなく、β(思想地図)をどう作るか見えなくなっちゃって、喋る言葉がなくなった。今の僕がどこに結びついているのか分からなくなっちゃった」という言葉には、どこかしら今の自分の気持ちに通じるものがあった。報道写真全記録2011.3.11-4.11

いつもの勢いのある言葉ではなく、迷いながら話す東さんの姿は、震災以降、内面的混乱を感じている自分には、事の外共感できた。何より3・11以降、より混迷していくであろう今後の日本について、力強く「復興」や「頑張ろう」と口にする人々よりも、「ベッドから立ち上がる気力がない。なんでこうなったんだろう」、「東浩紀というキャラクターが通用しなくなった」と言いながら、95年以降の社会や、今後の日本について話す言葉には、逆に他者を説得する力があった。

「日本社会は復活するのか。東電や政治があのまま混乱を続けていくのだとすれば、日本は貧しくなる。簡単に言えば街が汚くなり、治安が悪くなり、これまですぐに手に入っていたものが手に入らなくなっていく。それに対する対策は移民を受け入れだと思う。今の状態なら特区を作ったり受け入れを緩和するなど極端な政策でもしていくべきなのに日本はそれをやらない」と今後の日本を予測。阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が起きた95年以降の流れについても、「強固な日常の崩壊が95年に起きて、失業などで社会が不穏になっていった」と分析。福島第一原発画像2

さらに、「表面を歩いていれば日常が感じられたのが、2000年代後半まで。それ以降は、表面だけの豊かさの幻想を剥ぎ取られて、あれっ、俺らこんなに貧しいことになってたんだと気づかされた。そんな風に強固な幻想を引っ張り続けてきたけれど、一瞬、震災が来たから日常性がまた戻ってきてというのは難しく、もともと日本が緩やかにヤバくなっていくスケジュールを一気に早めることになった。今回の震災はボディーブローのように効いてくるのではないか」と悲観的な見通しを語った。

結局、新たな出版社を設立し、そこにあった編集方針も震災により大幅変更を迫られ、「危機ですよね」という状況に置かれながら、東さんが最も恐れていることは、「日本政府の対応」なのだという。浜岡原発の危険を指摘した東さんに対して、「さすがに日本なんだからちゃんと対策とってくれるでしょう」という斎藤環さんの楽観論に、「想定外を批判するつもりはなくて、最悪のことを考えて指示を出したりというのがブランド管理の基本。そうでなければ世界も国内も通用しないし、そういう国が嫌だな。数字でダメな以上に、ダメだなっていうのがある」と震災で明らかになった国の姿勢の「恐さ」について語った。思想地図β画像

個人としては、「思想というものが喪失を引き受けたりするもの。前に進むためは後ろ向きな喪失を受け入れたりするものだから」と震災の中で生まれた「喪失」を自分の一部とする重要性を語り、「10年間、思想、評論の伝統を生き返らせるた頑張ってきたんですよ」と過去の自分を労わるような言葉も述べた東さん。その胸の内が伝わらず、斎藤環さんから「面白話」と片付けられた今回の放送は、以前のような「祭り感」はなかったけれど、心の奥に染みてくるような、微かな哀しみを感じさせるものがあった。

ベルリンの壁やバブルの崩壊以降、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件によって、これまで寄って立っていたものの存在が疑われ、その揺れの中で確実に疲弊してきた日本社会。そんな疲弊に止めを刺すようにして起こった東日本大震災は、我々の未来に大きな影を落とし続けることだろう。しかし、国や企業といった組織優先の硬直したシステムを良しとせず、個人として集めた知識や情報を自己決定に活用していくような人々が今後増えていき、フラットでゆるやかにつながれる社会が形成されていくのならば、もしかすると、今よりは多様で豊かな価値観を受け入れる優れた社会が生まれてくるのかもしれない。

ウィキペディア 東浩紀
ニコニコプレミアム会員になれば4月19日まではタイムシフト視聴が可能な いま、「キャラクターと日本人」を考えるへのリンク
ウィキペディア 東日本大震災
ウィキペディア 斎藤環
ウィキペディア 黒歴史
ウィキペディア 浜岡原子力発電所
アマゾン 『報道写真全記録2011.3.11-4.11 東日本大震災』
アマゾン 『思想地図β』 vol.1

【関連記事】
『魔法少女まどか☆マギカ』に見る文化の同時代性
「いま、日本社会で何が起きているのか」~問い直しと自己決定の時代に~
「震災の日のこと、その他」~横浜・寿町のアートプロジェクト「寿お泊りフォーラム」で体験したこと~
「生き延びるアートフェスティバルになるために」~地域系アートプロジェクトの課題~
「廃都」和歌山のリアリティー・前編
「剥き出しのリアル」~Chim↑Pom(チンポム)エリイさん卯城竜太さんトークを聴いて~@京都嵯峨芸術大学
セカイ系犯罪を生む閉塞感~ニコ生「秋葉原事件とは何だったのか」を観て~
拡張現実としての萌え~『らき☆すた』聖地鷲宮神社を巡礼して~
「反フラット化としての土着性」~北川フラムさん講演@琵琶湖高島「風と土の交藝」プロジェクト~
「戻って来ない伝書鳩」~中之島4117という大阪市のアート支援センターが主催したイベントに参加して~
スポンサーサイト
関連エントリー
この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 「喪失の先にあるもの」~東浩紀さんが出演したニコ生トークセッション いま、「キャラクターと日本人」を考えるを観て~
関連エントリー
関連エントリー

コメント

No title

来て欲しいですね、多様性。
あと、表現としては、まどか的なセンセーショナル的なものでなく、
たんたん、と非日常と、日常のなかの私を静かに見せるものが出てこないものでしょうか、流石に、ナンセンスは難しいでしょうか。

Re: No title

コメント感謝です。

私見としてはやはり厳しい時代になっていくだろうと
思っていますので、まどか的な表現が一つの流れとなる
のではと考えています。

あと京都アニメーションが今放映している『日常』は、
ナンセンスですが、これも日常と非日常が融合した作品
です。

サブカルだけでなく、他の分野でも日常と非日常の融合
が起きているようですので、お互いにそんな世の中を、
多様性を認め合いながら生きていきましょう。

では!

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

全記事表示リンク
全ての記事へのリンク(ジャンル別)

全ての記事を表示する

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
ユーザータグ

京都 歴史 アニメ 映画 秀作 動画 日本 美術 洋画 古典 講演 現代美術 傑作 ギャラリー  YouTube 舞台 京大 建築 江戸時代 探求 イベント マンガ 庭園 大阪 寺社 寺院 物理 宇宙 アート 監督 紅葉 美術展 ラブストーリー 奈良 国宝 ノンフィクション グルメ フランス 見学 時代劇 アクション 音楽 ドキュメンタリー  タイトル 世界  歌舞伎 押井守 仏像 攻殻機動隊  涼宮ハルヒ I.G 神山健治 くせになる 悲劇 博物館 鎌倉時代 東京 Production Youtube 解説 戯曲 魔術 リアル 詩情  前衛 広島 芸術 化物語  戦争 菩薩 お寺 離宮 仙人 茶室 医療 西洋美術 個展 香港 デザイン 皇室 絵画 邦画 テレビ 枕草子 漢詩 闘病 原作 宮崎駿 旅行 長谷川等伯 IG シェイクスピア 講演会 滋賀 トークショー 狩野探幽 海外文学 出会い 洋楽 日本画  祭り 荒唐無稽 中国 ジャンル   ニコニコ 二次制作 報告 肖像画 和歌 探求京大 思想 ヨーロッパ 印象派 ゲーム 手塚治虫 笑い 

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
フリーエリア
FC2 Blog Ranking 人気ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。