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「いま、日本社会で何が起きているのか」~問い直しと自己決定の時代に~

 横浜で東日本大震災の揺れは経験しても、どうしても関西に戻り、以前とそれほど変わらない生活に戻ると、そちらの方が日常となり、「情報」として知ることになる、東北や関東の現実に対する距離感のようなものが生まれてくる。それは当然、想像力のようなもので補えばよいのだけれど、どちらかというと、関東から発信されるメディアや個人の情報が、原発や放射能、計画停電という事に重点をを置いているだけに、時として東北のことよりも、関東のそれらの問題について考えることが多くなってしまう。そんな中で考えた、原発の問題を中心にした、これからの日本社会の姿について考えてみたい。『原発と地震』―柏崎刈羽「震度7」の警告

簡単に言ってしまえば、今回の震災がもたらした原発事故によって、人々は大きな選択を迫られることになる。それは、これまで通り生活をするために、原発に頼り続けるか、それとも多少の不便を抱えながらも、原発に頼らない生活をしていくかということになる。この2つは、今後、関東の目と鼻の先にある福島に、放射能汚染という問題を抱えた施設が、どうしようもなく存在しつづけなければならない事実や、その施設の恩恵を受け続けていたことを計画停電によって知らされた関東の人々には決して無視できないものだと思う。

またそれは、国会や皇居があり、マスコミや多くの企業の本社、さらには国内最大の人口圏を誇る関東の問題だけに、今回の震災で大きな影響を受けなかった地域の人々の感覚を置き去りにしても進められていくことになると思う。震災前までは、日本の電気の3割を原発に頼っているという事実や、二酸化炭素を排出しない「クリーン」なエネルギーとして、そのリスクに不安を感じながらも、原子力という選択肢を排除できないと思っていた自分にとっても、今回の事故自体や、その裏に隠された、人間の力ではどうにもできない恐ろしさを知ってしまうと、以前の考え方のままでいることは難しいと思う。東京と富士山画像

しかしそのためには、実際どのように、足りなくなる電力を補うか。またその分の電力不足がもたらす生活の不自由さをどう受け止めていくのかといった、口先だけの反原発ではない姿勢を見せなければならなくなる。これまで通りの生活を望み、原発に頼り続けるという人たちにしても、今回のような事故が起こってしまった後では、事故によって思い知らされた放射能の恐ろしさを、他人事のように切り離して生活することは難しいのではないかと思う。これらの選択を迫られる人々は、単純な賛成や反対ではなく、懐疑や迷い、様々なわだかまりを抱えながら「自己決定」することになるだろう。

今回の震災が16年前の阪神・淡路大震災と大きく異なるのは、バブル崩壊直後の苦しかった時期にしても、まだ経済発展という立ち直りのビジョンを思い描くことができた時代と、その後、「生き延びる」というリアリティーを持ってこれまで蓄えてきたものを切り崩し、痩せ細りながらもゼロ年代や、失われた20年と言われる年月を経てきた現在という時代背景の違いなのだと思う。そして今回の震災や津波のように日常が侵食され、暗闇が世界を覆うように非日常が人々の前に表れた時には、「生き延びる」というリアリティーさえも通用せず、危機的な状況に押し潰され、流されていくしかない現実や、そんな風に死んでいく最愛の人や仲間さえも救うことができない状態に陥っていくのかもしれない。『東日本大震災100人の証言』画像

危機の中では、いつも紙一重な人間の生命。それが剥き出しになり、蓄えという防波堤を失った人々に危険が直接襲い掛かってくるような厳しい時代。ゼロ年代の「生き延びる」というリアリティーの先にあるものは、電気や水道といった現実的な社会基盤だけでなく、我々がこれまで当り前と思い込んできた考えやシステムを脅かすものが訪れ、私たち個人がその場、その場で自分自身を問い直し、どう決断していくかとうい「自己決定」が生死を分けるような厳しい時代になるのかもしれない。

自分が危機の外にいて、「自己責任」と他者を非難したり、その状況に陥ったことを「自己責任」と嘆くことができた時代はまだ良かったのかもしれない。そんな風に思えてしまう未来が、もしかするとこれからやって来るのかもしれない。震災や津波、原発といった非日常がもたらす生命の危機に、せめて自分や、助けたいと思う人だけでも救う力を身につけておくこと。問い直しと「自己決定」が否応無く求められる時代には、殺伐とした荒野と、その荒野の厳しさから身を守るための、小さくとも肩を寄せ合える避難所のようなものが点在する、原始的な風景がリアルに思えるのかもしれない。

アマゾン 新潟日報社 特別取材班『原発と地震―柏崎刈羽「震度7」の警告』
アマゾン  朝日新聞出版『東日本大震災100人の証言』 2011年 4/10号 [雑誌]

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
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