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『魔法少女まどか☆マギカ』に見る文化の同時代性

 アートの世界では、一昨年頃から、世界的にフレーム(額縁や枠組み)といった言葉がキーワードとなり、少し前まで当り前のように存在していた絵画の額縁や、彫刻やペインティングといったジャンル、さらにはアートや芸術といった根本の枠組みまでも問い直すような動きが生まれている。それはたぶん、2001年の同時多発テロや、2007年からのサブプライムローン問題といったことにも連なる、社会や人々のあり方への問い直しの動きの表れだと思う。そんな時代に、アニメーションの世界でも、これまでの決まり事に疑問を投げ掛け、その枠組み自体を問い直す作品が生まれて来た。萌系のキャラクターデザインを敢えて採用した『魔法少女まどか☆マギカ』は魔法少女ものと言われるジャンルの定石をことごとく覆しながら、多くの視聴者を獲得してきた。震災の影響で残り2話が放映できず、放送が一時中断しているこのアニメの持つ、時代に突き刺さる魅力について紹介したい。(※ネタバレあり)魔法少女まどか☆マギカ 1 画像

長年、魔法少女ものでは暗黙の了解として問題視されてこなかった、「なぜ少女は魔法少女になれるのか?」という根本的な問題を突き詰め、魔法を得るためには代償があること、その裏に隠された悪意などを盛り込んで、一見、よくある萌系アニメという外見をしながら、その中に現代の厳しく残酷な社会の姿を盛り込んだこの作品。第1話を見た時は、そのいかにも無害で気の弱そうなキャラクターデザインに違和感を覚え、つながりの薄い断片的なストーリーにも入り込めず、大した評価をしていなかった。しかし、これまでにない戦闘シーンの異質さや、いつもなら無条件で少女の味方になるはずの、少女の傍にいる小動物の不審な振る舞いなど、過去の作品とは異なる要素が気になって作品を見続けた。

すると、3話では、それまで主人公を親身になって助けてきた少女が、互いに力を合わせようという約束を交わした直後に魔女に食い殺され死亡。魔法少女の世界ではタブーとされてきた死や、残酷な描写で、この作品がこれまでのものとは違うのだということを印象付けた。それ以後も、魔法という存在が生む非日常が、日常を侵食していく不穏な空気や、魔法少女という運命が、登場人物たちにもたらす不安や絶望を、まるで物語のパズルが次々とはめ込まれ、奇妙な絵を浮かび上がらせてていくようにして表現。互いに異なる価値観を持ち、時としてぶつかり合い、また助け合う彼女たちの姿や、様々な事実が明らかになるたびに揺れながら、それでも自分にとっての真実を抱き戦いの渦に飲み込まれていく様子は、ある種、巨大な社会システムや天災に翻弄され、その状況に適応していくしかない、我々の姿を思わずにはいられない。闘う日本 東日本大震災1カ月の全記録 画像

異なる過去や価値観を持つ他者が溢れた世界では、たとえわずかでも分かり合える存在に出会うことは難しい。だからこそ人は時として、多くの犠牲を省みず、自分にとって大切な存在を守ろうとするのかもしれない。しかし、そんな努力が実を結ぶとは限らない現実は、予想もしなかった出来事を巻き起こし、容赦なく人々を飲み込んでいく。東日本大震災が起きた前夜に、関西で放映された第10話では、魂を賭けるほどの願いと引き換えに魔法少女になったもう一人の主人公が、永遠とも思えるループ状況の中で、たった一人の友達を救うためにのために多くの困難と闘い続ける。確かに現実は、どんなにやり直すことができたらという思いがあっても、それを巻き戻すことは決してできない。しかし、巻き戻した現実が同じ状況を永遠と繰り返すような世界の中で、確信や覚悟を持ち続け、出口を見出していくことも難しい。

「萌」、「セカイ系」、「空気系」、「ループ」といった90年代中盤以降、サブカルチャーの中に出現してきた様々な要素を盛り込んだこの作品は、もしかすると、阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件が起きた、95年に放映された新世紀エヴァンゲリオンと同じように、アニメファン以外の人々にも大きなインパクトを与え、その後の文化や表現に対して何らかの影響を与えるものになるのかもしれない。自分探しや、社会との断絶、自傷行為や日常への回帰といった個人の様々な揺れが入り乱れたこの国の、「ゼロ年代」や「失われた20年」と言われる時代の閉塞感。その先にある、日常と非日常の境目さえもが曖昧になり、死の影が周囲に漂っているようなリアリティーの中で、人がどう生きていけば良いのかを示した作品として、残り2話を残すこのアニメーションは、人々の心に刻み込まれるのかもしれない。

ウィキペディア 魔法少女まどか☆マギカ
『魔法少女まどか☆マギカ』公式サイト
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アマゾン 『魔法少女まどか☆マギカ 』1 【完全生産限定版】 [Blu-ray]
アマゾン 産経新聞社著『闘う日本 東日本大震災1カ月の全記録』

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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