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「廃都」和歌山のリアリティー・前編

 「町おこし」系地域アートプロジェクトの、リサーチの一環として訪れた和歌山市。大阪の難波から1時間の特急に乗って降り立った南海和歌山市駅前は、これまで何度か訪れたことのあるJR和歌山駅周辺とは違い、県庁所在地とは思えない程のうら寂びれた感じが漂っていた。地元に住む銀聲舎の松尾寛さんを先導役として巡った1泊2日の「廃都」和歌山ツアーから見えてきた、今の日本の地方都市が抱えた現実を「光」と「影」の部分から紹介したい。南海和歌山市駅画像

「シャッター通り」と言われる言葉はもちろん知っていたし、近畿県内の中小の商店街で、実際の「シャッター通り」も見てきた。しかし、関西2府4県の県庁所在地の一角、和歌山市でまさかこれほど大規模な街の「荒廃」を見ることになるとは思いもしなかった。降り立ってすぐに訪れた観光案内所の女性からも、「どうせ大したものも無いんですけどね」的な諦めた空気が感じられた街の第一印象は、その先に見える商店街アーケートの破れた状態と相まって、一層の寂びれたものとなっていった。

車で迎えに来てもらった松尾さんは、現在、地域アートプロジェクト関連の仕事を共同で行っている方。今回の「ツアー」で、敢えて和歌山市の「廃都」巡りに誘われたのは、夕方から行われる、「廃都和歌山は世界標準の文化都市?」という講演への導入的意味合いもあったのだろうけれど、案外、本当の意味での「シャッター通り」を知らない人間への、教育的意味が強かったのかもしれない。ぶらくり丁画像1

それにしても次から次に巡っていく和歌山の街の「廃都」ぶりは凄かった。幹線道路から一歩離れた通りに立つ昭和40年代を思わせる地味なレンガ風装飾の建造物。国鉄や農協とかいった記憶の奥底にしか存在しないものたちを連想させる建物は、個人的には逆に新鮮で、食べ物は腐りかけが美味いという言葉を思い出してしまった。実際、街のある部分は40年代のまま朽ちていった状態が見受けられ、「トルコ徳川」や「トルコ病院」という風俗系の看板が消えそうになりながら堂々と掲げられている状況は、「昭和遺産」と言ってもいいような気さえしてくるのだった。

しかし更に巡った街は、昭和的路地裏の暗闇に、活気を失って連なるパブやスナック。戦後のバラック小屋を少し大きくしたような寂れた遊郭が佇む天王新地。高齢者の健康器具を取り扱う店舗が、井戸端会議用の集会所として賑わいを見せる以外は、多くの店がシャッターを閉じ、人通りもまばらな「ぶらくり丁商店街」など、一度「廃都」の印象を受けて見る街の姿は、まさに老齢期へとさしかかろうとする日本社会や、そのひずみが症状として表れた地方都市のリアルな現実が浮き彫りになっていた。廃都和歌山講演画像2

以前は賑わいを見せていると思えたJR和歌山駅周辺も、よく観察してみると、関西系の百貨店やコンビニ、ファーストフード店といった店舗が表層的な賑わいを見せるだけで、確実に和歌山市全体の活気というものは失われてきているように感じられた。一通り「廃都」巡りを終えた後に立ち寄った文具とカフェの店「スイッチ」というお店は、以前は和歌山県最大の商店街だったという「ぶらくり丁」近くの空き店舗を改装したお店。文具だけでなく、本や雑貨、読書会や写真教室などのイベントも開催される空間として地元の若い人々が集う場なのだという。小学校風の黒板や椅子が並べられた店内は、都会的だけれども、地元の人にも親しみ易い程よい温もりがあり、新たな街の動きを感じさせる空間だった。

夕方になり、松尾さんの講演が行われる『みんなの学校』という和歌山市が市街地活性化のために始めた交流スペースに向かうと、そこにはすでに50名ほどの聴衆が来ており、この講演への関心の高さが伺われた。始まった講演も、行政主催のイベントに「廃都」と名付けただけあって、歯切れの良い和歌山批判で聴衆の心をつかむと、日本全国の地域関連の豊富な知識や分析力でグイグイ聴衆の興味を引っ張っていった。中でもカルト的な和歌山ネタは、「ツアー」で実物を見ていただけに有無を言わせぬ説得力があった。猫の駅長たま画像1

他にも電線がそこで切れている「地の果て鉄塔」や、和歌山電鐵貴志川線の「猫の駅長」を例に出し、「猫一匹でも地域を変えられる。持っているカードを上手く機能させればフルハウスになる戦い方がある」という言葉には納得させられた。では『みんなの学校』もある「ぶらくり丁」になぜ人が来ないのかという設問には、「欲しいものが無かったら人は来ません!」と一刀両断。「今後ぶらくりで何をしたいのか。誰を集めたいのかがまだ絞りきれてない。短い言葉でもアピールできるブランド力をつけていくことが大切」と訴えた。

「どんなに下らないもの、簡単なものでもちょっと見せ方を変えるだけで、良くみせることや価値をつくることができる。そういった発想こそが重要なのであり、これはセルフプロデュースにも当てはまることです」という言葉で締め括られた講演は、その後、参加者全員での自己紹介を兼ねたアピールタイムとなり、「元気なおばちゃん」や「タロット占いの魅力について語りだす女性」など個性豊かな面々の交流の場となり、会場が閉まる21時まで賑やかな話し合いが続けられた。
(後日掲載予定の後編につづく)

ウィキペディア ぶらくり丁商店街
文具とカフェの店スイッチのブログ
まちなか交流スペース『みんなの学校』のブログ
ウィキペディア たま (猫の駅長)
松尾寛さんがぶらくり丁を紹介した関西認識研究会のページ
松尾寛さんが代表を勤める銀聲舎のホームページ

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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