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「剥き出しのリアル」~Chim↑Pom(チンポム)エリイさん卯城竜太さんトークを聴いて~@京都嵯峨芸術大学

 ゼロ年代という閉塞状況の中で、ストリート系の若者のリアルを代弁したような作品を立て続けに発表し、一躍若手アーティストの先頭集団に躍り出たChim↑Pom。その名の通り、タブーを恐れない露骨な表現と、これまでの固定観念を打ち砕くエネルギーをもった活動は、アートの枠内に安住している人々から見れば眉をひそめるものだろうし、アート枠外の人々には賛否両論をもたらした。そんな活動を続けるChim↑Pomの中心メンバー、エリイさん、卯城竜太さんが京都嵯峨芸術大学でトークを行うということで行って来た。チンポム講演会画像1

最近はそうでもないけれど、少し前まではその名を呼ぶことにかなり抵抗があったChim↑Pom。作品もそれと同様で、一見近寄り難いギャルやストリート系の表現の、露骨で、剥き出しな感覚は、上品な「美術」というものに慣れた日本人にとっては抵抗があるかもしれない。しかし、そのような固定観念が、芸術の幅を狭め、アートの豊かさを不自由なものにしていると考えることもできる。性や暴力といった日頃は隠されがちな表現を使い、今のリアルに迫ろうとしているアートグループと考えることができた時、自分の中でChim↑Pomという名前を呼ぶことに抵抗がなくなった。

そんなChim↑Pomメンバー2人のトークは作品紹介から始まった。デビュー作と紹介され、映し出された「スーパーラット」の捕り物劇は、実は「ネズミ駆除業者たちの中で『スーパーラット』という言葉が流行っていて、毒餌に体が順応して、大きさとか運動能力とか、特別なのが出てきていた」という東京の街のリアリティーや、その頃渋谷・センター街をピカチュウの着ぐるみで歩いているギャルたち。さらに村上隆さんが提唱した「スーパーフラット」。そして深読みすれば当時出版された村上さんの『芸術企業論』での「ぼくはアメリカで太った鼠になるしかないと思いました」という言葉の持つ「ネズミ性」を重層化した作品。109

しかし、初めて観るその映像は、それらの意味を吹き飛ばすぐらいの躍動感を持っており、東京の街をサバイブする「スーパーラット」たちと、6人のChim↑Pomメンバーたちが、はしゃぎながら戯れ合うユニークな作品として成立していた。海外でも「超面白い!君たちビッグになるよ」と言われるという映像は、堅苦しい「美術」の世界を突き抜けて、一般の人々にまで届く力を持っている。「ネズミ捕りでは若い小さなネズミしか取れない」ということで、素早く逃げ回る「スーパーラット」たちを網で捉え、ピカチュウに似せ剥製化。さらにそれを渋谷のジオラマ上に並べた立体版『スーパー☆ラット』は、オス5匹、メス1匹という構成も含め彼らの姿そのものだろう。

そこから続いた東京の街のアイコン的建造物に、死をイメージさせるカラスを呼び集める『BLACK OF DEATH』。セレブに憧れのあるエリイさんが夢見た、最もセレブ的な行為である機雷除去をカンボジアまで行って行い、そこでブランド物の私物を爆破。日本に持って帰った「作品」を当時バブル化していたアートオークションを皮肉る形で落札させ、義足購入代金として現地に寄付するという、『Thank You Celeb Project I'm BOKAN』などは、あの頃、若者たちが感じていた孤立から生み出される絶望や死の影、世界経済の躍進が生み出す圧倒的な経済格差などを地べたからのリアリティーで掬い上げた作品として迫ってきた。Chim↑Pomチンポム作品集2

この他にも、戦時中の日本兵と防空頭巾姿の日本女性に扮したメンバーが、スプラュシュマウンテンでバンザイをしながら滝を下りて行く『バンザイマウンテン』。日米の男性の無駄な性欲を電気に変える『エロキテル』など、滑稽な中にもそれだけで終わらない、人間や歴史の愚かさを匂わす装置として成立していたように思う。昨年8月に結成5周年を迎えたというChim↑Pomの作品には一見バカげたものや、下らないものも多い。しかしそこには若者らしい率直な問い掛けや素朴な疑問があって、彼らがその状況を体験していく中でしか見えてこない「剥き出しのリアル」が見えてくる。

東京だけでなく、カンボジア、インドネシアなどを実際に訪れ、そこに住む「胡散臭くて、いい人で、良く分からなかった」という人々と交わりながら作られる作品の数々は、確実にゼロ年代と言われる時代の中でしか生まれ得なかったものとしての迫力がある。それだけにtwitterやUst(ユーストリーム)が普及し、時代の風が動き出した2010年代にChim↑Pomというアートグループがどんな動きを見せるのかに興味があり質問をしてみると、リーダーの卯城さんは「それは今テーマになっていることでもあって」と前置きして語りだした。サンパウロ美術館画像1

「この2年ぐらいは海外の仕事や美術館の仕事が増えてきて、仕事として自分たち主導のものと、美術館の仕事をそれぞれ落とし込んでいくのは質が違う部分がある。俺らは日本の中では特異なポジションや特別感があったけれど、世界中にChim↑Pomみたいなヤツらが出てきていて、グラフィティライターや過激なパフォーマンスをする人とかが、事件を起こして社会に直接影響を与えていく表現が増えている。そういう人たちが世界中に同時多発的に出てきていて、つながっていければと思う」と回答。

「6人でやるメリット」を尋ねられたエリイさんは、「とても超ラッキーだったのが、面白くいいと思う点が一致するウチら6人がめぐり合えたこと。ウチら6人全員がここが超面白いって一致できないと本当に面白いと思うところまで届かないし、それができないから。あと心強いよね。別に一人でも心強くない訳ではないけど、一人だとできないこともあるし、性に合ってるか合ってないかだと思う。6人はちょっと多かったかもしれないけど」と、ちょっとアニメのツンデレ的発言でメンバーに対する思いを述べた。なぜ広島を画像1

ゼロ年代後半のアート界に突如出現し、アートの世界だけでなく一般の人々を巻き込んだ広島上空に「ピカッ」という文字を煙で描く作品などで物議をかもし出したChim↑Pom。絵画や彫刻というこれまでに「美術」の枠に囚われない表現や、メンバーの5人は、国内アーティストのほとんどが持つ「美大卒」という背景を持たないことなど、野放しで荒削りな活動でゼロ年代を生き延びてきた。だからこそ彼らには、美術館をはじめとした権威に媚びることなく、いつまでも過激で野放しな『スーパー☆ラット』として世の中を引っ掻き回して欲しい。

ウィキペディア Chim↑Pom
Chim↑Pomのホームページ
chimpom-worksのtwitter
Chim↑Pomメンバーエリイさんのtwitter
ウィキペディア 京都嵯峨芸術大学ウィキペディア ピカチュウ
ウィキペディア スーパーフラット
Chim↑Pomのtwitter
ウィキペディア スプラッシュマウンテン
ウィキペディア グラフィティ
Chim↑Pomのかなり詳しいインタビューが掲載された武蔵野美術大学芸術文化学科のページ
ウィキペディア ツンデレ
アマゾン 『Chim↑Pom---チンポム作品集』
アマゾン Chim↑Pom 、 阿部 謙一 (編集)『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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