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「戻って来ない伝書鳩」~中之島4117という大阪市のアート支援センターが主催したイベントに参加して~

 早朝までかかってニコ生ドラマ「1983年の荒川智則」についての文章を書き、そして向かった大阪。大阪市が主体となり、昨年から始めた4117というアート支援センターが主催した「伝書鳩プロジェクト」。8割方は行政イベントという不安が的中した時代遅れで、コスト意識の欠如したものだった。しかし、2割の中には今のアートの新たな潮流を感じさせる確かな手応えがあった。伝書鳩画像

「若手表現者たちの思い」というテーマで開催されたイベントは、まさにこれまでなぜ日本のアートが、一般の人々にまで波及しなかったかを象徴したようなイベントだった。11時から開催された催しは、参加した16組のアート関連グループが、10分から20分のプレゼンを行い、壇上のコメンテーターが寸評を述べる繰り返しが、17時半までひたすら続く、ある種苦行のようなイベントだった。

休日の忙しい中を交通費や入場料を払って来場した観客は、約6時間、パイプ椅子に座らされ、延々と続くその様子を聞かされる。そこには「表現者」たちの「想い」はあっても「観客」の視点は全く無い。それだけならまだしも、長時間かけたこのイベントには、幾つもの事例報告があっただけで、「ではこの先、アートはどこへ、何を目指していくべきか」というビジョンすらなかった。伝書鳩プレゼン風景

主催者側からすれば、予定が大幅にオーバーして、「公開討論」が行えなかったこと。さらに観客が何か発言したいのなら、その後に行われた「交流会」に参加してもらいたいという気持ちがあるのかもしれない。しかしそれなら、少なくとも事前のパンフレットやちらしに、明確なビジョンや何を話し合うかを言語化しておくべきだし、長時間の退屈なイベント後、有料の「交流会」に進んで参加する人がどれだけいるかを考えるべきだと思う。

あと一つ、腹立ちまぎれに言わせてもらえば、「16組の表現者」がプレゼンを行い、「コメンテーター」がそれについて壇上から寸評をするという形式が古すぎる。会場にいた人なら実感したと思うが、中盤以降のギャラリストやアートプロジェクトの代表が行ったプレゼンの幾つかは、多様化するアートの「現場」を知る発表者の方がよほどその分野の専門家であり、同業の「コメンテーター」が壇上から寸評を加えることに強い違和感があった。中之島4117画像

イベントとして数々の欠点があった「伝書鳩プロジェクト」。一言で言わせてもらえば、市民の税金を投入して中之島4117という組織を運営する意味自体から、もう一度問い直すべきだと思う。「戻って来ない伝書鳩」というタイトルをつけて批判をしているこのイベント。しかし、そこに全く得るものがなかったかと言えば嘘になる。特に発表された幾つかのプレゼンには、自分の知らなかったアートの動きを知ることができ極めて有用だった。

中でも、最も優れていた藝育(げいいく)カフェ「Sankaku」(さんかく)の活動は、今後のアートの流れを見ていく上でかなり重要になると感じた。昨年まで材木屋を経営していたという藝育ディレクターのやまもとあつしさんは、自らで設計した自宅を、「いろんな人に見ていただいて仕事を取っていこう」と開放。訪れた人々と接していく中で、建物だけでなく、そこで人がどう住んでいくかを提案していきたいと思うようになった。瀬戸内直島銭湯大竹伸朗さん画像1

そんな時に訪れた直島のベネッセハウス。衣食住の全てが「アートに囲まれた素晴らしい体験」をしたことで、アートが身近な生活を自分の家でも行ってみたいと思うようになった。そのことを知人のアーティスト夫婦に相談すると、彼らの展覧会を開催しようと話は進み、以来、AAラボ(アート&アーキテクチャー ラボラトリー)と名付けられた自宅で、年に数回づつ展覧会を開くようになった。

建築関係の人だけでなく、作家の知人や近所の人まで出入りするようになった空間は、次第に参加者とのワークショップや、やまもとさんの奥さんが振舞うケーキや料理も食べることができる不思議なギャラリーへと変化。そんな活動の中から、やまもとさんの考えもより大きな、「地域に住む」というものに変わっていった。「歴史はあるが文化がない」と言われる奈良という地域。そこに根を張ることで、「新しい交流」を生み出していければと考えは育っていった。藝育カフェ画像1

現在活動拠点とする藝育カフェ「Sankaku」は、昨年4月、「まちをアートでいっぱいに」を理念としてオープン。「藝育」という言葉には、「作家さんがまちに溶け込んでいく」というアート側からの視点だけでなく、「今アーティストではない人々のアーティスト的な部分を育てていきたい」という思いも込めた。アーティストの紹介はもちろんのこと、ワークショップ、カフェ、まちのネットワークづくりの拠点して、ユニークな活動を行っている「Sankaku」。その先には経済発展という古い価値観に囚われない、多様で面白みのある社会の姿が描かれている。

この他にも、写真初心者を巻き込み、「小さな気づきが重なって何か自分の可能性が広がっていったら」という活動を続けるギャラリー・アビィ、「地元」にしっかりと根ざしながら、砕けて柔軟なプロジェクトを開催する淡路島アートフェスティバルなど、自分の視野の及ばなかった活動について多くの情報を得ることができたことは、このイベントの優れたところだったと思う。淡路島アートフェスティバル画像1

約6時間、16組のプレゼンを聞いてそこに共通して出てきた、この国を覆う不景気の問題。その結果生じるアーティストや団体の「活動資金」や「運営資金」不足という問題は、どのグループにとっても深刻な問題だった。今現在、大きな価値観の転換が続く激動の中、新たな価値観を求める人々には、ある種のノマド(遊牧民)として生きることが強いられる。そんな彼らが逞しく生き延びるためにも、互いの情報を交換し、深い交流が可能な開かれた「場」が求められている。

伝書鳩プロジェクトのウェブサイト
伝書鳩プロジェクトのtwitter
藝育カフェ「Sankaku」を運営するアート・アラウンド・奈良のウェブサイト
アート・アラウンド・奈良のtwitter
ギャラリー・アビィのウェブサイト
淡路島アートフェスティバルを主催するNPO淡路島アートセンターのウェブサイト
アマゾン 『直島銭湯 アイ・ラヴ・湯』

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公選法違反:大阪市議選候補、買収容疑で逮捕--府警 /大阪

 10日に投開票があった大阪市議選で、選挙運動員に日当の支払いを約束したとして、府警は25日、北区選挙区で立候補して落選した元市議、田中農(たなか ゆたか  タナカ ユタカ)容疑者(39)=大阪市北区長柄東2=を公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕した。府警によると、田中容疑者は容疑を認めているという。

 逮捕容疑は人材派遣会社の男性役員ら2人と共謀し、今年3月下旬、大阪市内で、20代の男性運動員2人に対し、選挙運動の報酬として日当1万円を支払う約束をした、としている。

 田中容疑者は09年8月、飲酒運転で物損事故を起こして道交法違反容疑で検挙され、市議を辞職していた。

田中ゆたか後援会、田中ゆたか支持者容疑者
毎日新聞 2011年4月26日

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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