スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
関連エントリー
この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - スポンサーサイト
関連エントリー
関連エントリー

黒瀬陽平さんがニコ生ドラマ「1983年の荒川智則」で狙うこと~昨年来のカオス*ラウンジやワッショイ関連の展示を観て~

 村上隆さんのツイートをきっかけに、twitter上での約半年間の沈黙を破って荒川智則個展の説明を行ったカオス*ラウンジのキュレーター・黒瀬陽平さん。その中で、「日本国内にも、向き合うべき他者」がいて、「アートマーケットに対する日本のオタク文化のプレゼン」という村上さんやMr.さんが切り開いてきた「サーキット」とは「違う場所」を見つけ、「そこに入り込む」という説明がなされた。たぶん、まだはっきり言語化されていないことを行うたために、かなり抽象的な話になってしまい、結局は、実物を見てもらう以外ないという事になったのだけれど、この話には個人的に疼いてくるものがあるだけに、第一回放送を前に、この生ドラマが持つ意味を考えてみたい。1983年の荒川智則画像1

「空気系状況アートの拡張現実化」。いきなり分かりにくい言葉で説明することになったが、このカッコ内の言葉が、今回のニコ生ドラマ「1983年の荒川智則」で黒瀬さんが狙っていることではないかと思う。それは、昨年3月のカオス*ラウンジのアート界隈でのブレイクのきっかけとなった伝説のUstから、関西に上陸した「かおすら!」、「はめつら!」展。さらには昨年までカオス*ラウンジのメンバーであり、現在はカイカイキキ所属アーティストとなったob(オビ)さんが主催したwassyoi(ワッショイ)という女性版カオス*ラウンジ的なグループ展を観たり、それについて書いてきたことを、今回の黒瀬さんのツイートを考え合わせた中で出てきたものだった。

残念ながら、「破滅*ラウンジ」や現在開催中の「荒川智則展」の参加者であるギークと呼ばれる人々や、彼らに付随したネットカルチャーに疎いので、その部分は憶測するしかないが、まずはカオス*ラウンジをアート的な側面から追ってきた結果行き着いた、「空気系状況アート」というものについて説明したい。この勝手な造語を思いついたのは、昨年11月、先日まで村上隆さんが運営主体となったHidari Zingaro 左 甚蛾狼(ヒダリ ジンガロ)というギャラリーで展示を行っていた0000(オーフォー)というアートグループが、京都に持つギャラリーで開催したwassyoiのイベントに参加した時だった。wassyoi♯画像1

一日限りの展示とパーティを組み合わせた「wassyoi♯」というイベントの、展示自体はその年の7月、同じ場所で行われた「wassyoi+」の延長線上のもので、特に驚くべきことはなかった。しかし、翌日の明け方まで続いたパーティは、そこが作品展示空間という場所性を踏まえると、かなりユニークなインスタレーションになっていた。アートという接点以外、何の面識の無い人々が、様々なものを持ち寄って行ったパーティは、夜が更けるとゲーム、音楽、読書、ホットプレートでの焼きそば、焼きうどん作りなど、誰もが勝手気ままに振舞うカオス状態。本来主役であるはずの展示作品そっちのけで焼きそばをほお張る人々見ていると、この状況の可笑しさに笑いが止まらなかった。

そして翌日、朝日を浴びながら解散し、ぼんやりと歩きながら考えたことは、これに近い状況が6月に行われた「かおすら!」や「はめつら!」でも起きていたこと。さらには村上さんがtwitter上で絶賛した5月の「破滅*ラウンジ」でもギャラリー内でゲームや音楽、プログラムを組んだり鍋パーティーをしたりと、展示以上にそこにある状況を楽しむ空間が成立していたという。それを考えるとカオス*ラウンジのもう一人のキュレーター・藤城嘘さんが、作品より、みんなが集まってご飯を食べながらお絵かきをする「ごはんラウンジ」を見て欲しいという言葉も納得できる。またその系譜をたどっていくと、1990年にニューヨークのギャラリーでタイ風焼きそばを振舞うインスタレーションを行ったリクリット・ティーラワニットまで行き着くことになるだろう。アートどすえ画像1

さらに今月、東京・中野のHidari Zingaro 左 甚蛾狼で開催された0000フェスの第3弾「アートどすえ」という展示を鑑賞したのだが、かなりの数の出展作家が11月の「wassyoi♯」参加メンバーと共通したその展示は、展示自体も面白かったが、それ以上にまるでコミックマーケットの人気ジャンル周辺のような込み具合が生み出す状況が面白かった。またその後、出展作家やpixivユーザーたちが一緒になって、麻布のkaikaikiki(カイカイキキ)ギャラリーに移動して行われたpixkiki新年会では、西洋的なアート空間であるギャラリー内の畳の間で、おにぎりやカップ麺を方張りながら、車座になって話し込むアート界隈の人々という状況も楽しかった。

本来目的とすべきアート作品以上に、そこに付随した状況やコミュニケーションを重視したアートのあり方を、ゼロ年代にアニメーションの世界で生まれた、たわいもない会話や日常生活を描くことを重視した「空気系」という作品群にちなんで、とりあえず「空気系状況アート」と呼び出したのがこの言葉の由来。その特徴は、『かおすら!』や『はめつら!』展のタイルトの元ネタともなったアニメ『けいおん!』の空気感と似て、ある特定の好きを共有し、ゆるやかなつながりを持つこと。さらには飲食を共有してまったりとした時間を過ごすことや、「空気」を生み出す音の存在を重要することなどが挙げられる。荒川智則展画像1

長かった「空気系状況アート」の説明も終わり、カオス*ラウンジが今回のニコ生ドラマで生み出す状況を、あらすじから読み取ってみると、ギークというネット好きの人々が、シェアハウスというゆるやかなつながりを持つ空間で繰り広げるある種のドタバタ劇のようである。今回その第1回目にニコニコ生放送が使われる理由を推測すると、昨年頃からニコニコ動画で配信されだしたアニメを中心に起きている、視聴者からのコメントによる「突っ込み」を期待した、「突っ込み待ち」アニメと同じように、画面に視聴者のコメントが流れるレイヤー(層)を重ねることで、作品や演技者の動きに新たな面白みを生み出したり、それによる変化自体を作品に取り込む、拡張現実的コンテンツを作ろうというのが狙いなのだと思う。

トーキョーワンダーサイト渋谷というアートの領域から、ニコニコ生放送という日本的土壌が生み出した特異なアーキテクチャを駆使して配信されるそのようなコンテンツが、果たしてアートたりえるのかはまだ分からない。しかし、少なくとも、新たな領域への挑戦を目指すカオス*ラウンジと、ネットを介してこの番組に関わる不特定多数の荒川智則という存在から目が離せないことだけは確かだと思う。

ニコ生ドラマ「1983 年の荒川智則」 配信先へのリンク
東京ワンダーサイトの荒川智則個展のページ
トゥギャッター 黒瀬陽平氏によるカオス*ラウンジの説明とその後の村上隆氏の反応
0000 Galleryウェブサイト wassyoi♯のページ
ウィキペディア ギーク
ウィキペディア インスタレーション
ウィキペディア リクリット・ティーラワニット
pixkikiバスツアー&新年会開催レポートが掲載されたカイカイキキギャラリーのページ
YouTube 0000 Fest 第3弾「アートどすえ ー京都物産展ー」@Hidari ZingaroのPV
ウィキペディア 空気系
ウィキペディア 『けいおん!』

【関連記事】
GEISAI大学討論会での黒瀬陽平さんのヘタレ受けの見事さ
カオスラウンジの意味
『死なないための葬送』としての『はめつら!』
「訪問!カイカイキキ 三芳スタジオ」~村上隆さんとpixivが主催したワークショップに参加して~
「スーパーフラット(super flat)の意味」~では村上隆さんの何が凄いのか2~
カオスラウンジの何が凄いのか~関西初上陸、『かおすら!』展を見て~
ウィリアム・ケントリッジさんの京都賞記念ワークショップに見る「知識人」の限界
凄すぎる!村上隆さんの本気in台湾
「自分を超える作品を!」~森村泰昌さん徹底討論「清聴せよ!成長せよ!」を聴いて~
スポンサーサイト
関連エントリー
この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 黒瀬陽平さんがニコ生ドラマ「1983年の荒川智則」で狙うこと~昨年来のカオス*ラウンジやワッショイ関連の展示を観て~
関連エントリー
関連エントリー

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

全記事表示リンク
全ての記事へのリンク(ジャンル別)

全ての記事を表示する

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
ユーザータグ

京都 歴史 アニメ 映画 秀作 動画 日本 美術 洋画 古典 講演 現代美術 傑作 ギャラリー  YouTube 舞台 京大 建築 江戸時代 探求 イベント マンガ 庭園 大阪 寺社 寺院 物理 宇宙 アート 監督 紅葉 美術展 ラブストーリー 奈良 国宝 ノンフィクション グルメ フランス 見学 時代劇 アクション 音楽 ドキュメンタリー  タイトル 世界  歌舞伎 押井守 仏像 攻殻機動隊  涼宮ハルヒ I.G 神山健治 くせになる 悲劇 博物館 鎌倉時代 東京 Production Youtube 解説 戯曲 魔術 リアル 詩情  前衛 広島 芸術 化物語  戦争 菩薩 お寺 離宮 仙人 茶室 医療 西洋美術 個展 香港 デザイン 皇室 絵画 邦画 テレビ 枕草子 漢詩 闘病 原作 宮崎駿 旅行 長谷川等伯 IG シェイクスピア 講演会 滋賀 トークショー 狩野探幽 海外文学 出会い 洋楽 日本画  祭り 荒唐無稽 中国 ジャンル   ニコニコ 二次制作 報告 肖像画 和歌 探求京大 思想 ヨーロッパ 印象派 ゲーム 手塚治虫 笑い 

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
フリーエリア
FC2 Blog Ranking 人気ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。