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「BIWAKOビエンナーレを構造解析するプロジェクト」その1キックオフ

 「瀬戸内国際芸術祭93万8000人、あいちトリエンナーレ57万2000人。アートにとってこの数字は今後、大きな意味を持つのではないか」。最近訪れるアート関係のトークやシンポジウムでよく耳にするこのような言葉を先週、自分の身近な出来事として感じることになった。今年、関西周辺のアートフェスティバルを追っていた人間として、大規模フェスティバルではない、地域アートフェスティバルのリサーチに協力してくれないかという依頼が舞い込んで来た。依頼者は以前、あるアートフェステバルのシンポジウムで出会ったNPOの代表者。今後の経緯などオープンにしてよいという了解を得た上で、その人が語ったアートの領域にいる人間とは違った視点からの、今後の社会や芸術のあり方について紹介してみたい。BIWAKOビエンナーレ画像1

「お金や票が動かないと社会は変わらない」。西宮船坂ビエンナーレのシンポジウム終了後に言葉を交わして以来、時々連絡をするようになった松尾寛さんは、和歌山で近代建築などの文化財を活かした銀聲舎というNPOの代表ををしている人物。シンポジウムのパネリストとして紹介した事例では、回りくどさや枝葉を省いた、要点だけのプレゼンを行った人物として印象残った。その松尾さんが先日、京都を訪れる機会に話をしたいということで、時間と場所を設定し、主にアートと社会の今後について話をすることになった。

その中で出た「お金や票」の話は、地域アートに取り組んできた藤浩志さんや、芹沢高志さんの講演の中でも角度は違えど、問題とされていたことだった。最終的には多様な価値観の共存できる社会を、アートの力で生み出していければと思う人間にとって、いずれは行き着くであろう「政治」のことを、一言で表した言葉は、ズシリと重く響いた。個人がゆるやかにつながることで生まれていく新たな価値観を共有していくことも大事なのだが、政治や経済という部分を考慮しないあり方は果たして正しいのか。BIWAKO画像6

そんな疑問を抱きながら聞いた、「2010年代はアートイベントをやる所が増えていく中で、失敗例を少なくするための実例としてBIWAKOビエンナーレを構造解析し、アートイベントの基準になるようなものを作って欲しい」という依頼は、BIWAKOビエンナーレを高く評価した者にとっては正直、嬉しかった。出展作家や総合ディレクターから話を聴き、内情を知れば知るほど一つのアートフェスティバルを運営することが、いかに大変なのかを理解していただけに、「BIWAKOは3度訪れた」という松尾さんの言葉には共感できるものがあった。

しかし同時に、一時のロックフェスティバルブームのようにアートフェスティバルが消費されることに対して警戒感を持っていることもあって、その依頼にどう答えるかは、非常に難しく思えた。実際、今年訪れた幾つかのアートフェスティバルでは、先日、藤浩志さんが参加したシンポジウムで聴いた「場所や素材、人との対話」の無い表層的作品や、芹沢高志さんが評価基準として挙げた、「次に何かが生まれてくること」の無いイベントもあって、すでにブームの悪影響が生じているように感じられた。また解析を頼まれたBIWAKOビエンナーレにしても、アーティストや主催者が赤字を覚悟している現状を基準としてしまうことで、それが慣例になってしまうことへの抵抗感もあった。BIWAKO画像7

結局、この依頼を受けることにした一番大きな要因は、現状では、優れたアーティストやイベントにさえ、お金が回らない現状をなんとかしなければならないという思からだった。「教育委員会や首長レベルを動かして、行政にアプローチしていかないと、切れるカードがなくなっていく。文化に理解のある首長が生まれて欲しいが、なかなかそうもいかない。だからこそ観光、福祉、教育と紋切り型の話ばかりで文化のことを言えない議員さん、自治体担当者にも分かり易いフレースで言えるものが必要」という松尾さん言葉は、自分が持たない視点だからこそ、痛切に響く説得力があった。

「アートは分からないものだという人に、どの部分にどういう利点があるのかを言えるものにすべき」、「数字的な部分でも、言語的な部分でも論議の土台になるようなものを」、「そこに人が来たというだけではダメで、最終的には地域の人口増につなけていくべき」といった一種の政策提言的視点は、アートが社会との関わりを深くしていくであろう今後、アーティストだけでなくその周辺に関わる人々にも無くてはならないものになっていくように思う。地域アートフェスティバルとしては10年目を迎え、すでに四回の開催実績を持つBIWAKOビエンナーレというイベントを構造解析し、その魅力や問題点を見極めていく中で、今後のアートや社会のあり方について何らかの確信を得ることができればと思う。

ウィキペディア 瀬戸内国際芸術祭
ウィキペディア あいちトリエンナーレ
BIWAKOビエンナーレ2010のウェブサイト
松尾寛さんが代表を務める銀聲舎のウェブサイト

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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