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「ものを見る目を養うために」~BRUTUS(ブルータス)「写真はもっと楽しくなる。」を読んで~

 写真を撮るのが苦手だし、きちんとした写真の見方にもう一つ確信が持てずにいるのに、最近はフォトアーティストの澤田知子さんの公開講座や、梅佳代さんのトークショーを聴きに行っている今日この頃。それらについては色々を思うところはあるのだけれど、今回は、そんな彼女たちと篠山紀信さんとの対談も掲載されたBRUTUS(ブルータス)12月15日号「写真はもっと楽しくなる」を紹介したい。「写真はもっと楽しくなる」画像

最近、本屋に行っても買いたい雑誌がない中で、絶対の信頼感で購買意欲をそそる「BRUTUS(ブルータス)」の写真特集。前回の篠山紀信さんが講師となった写真特集も凄かったけれど、今回はより若く、専門ジャンルに特化した写真家の現場で会得した方法論、技術論がわかり易く説明されいて面白かった。

序盤の記事を読んだ時点では、おや?今回はそれほど楽しい特集ではないのかも、と不安がよぎったが、「写真と撮る」という実践に学ぶ紙上講習が始まるとその不安は一掃された。津田直という写真家が語る森の撮り方では、「対象を見るときに気をつけたいのは中心を見極めること」と述べ、そのためにカメラのストラップを首から掛けることで生まれる安定感を、「カメラと一体化するって結構大事な要素ですよ」と語った。津田直写真集画像1

また、あまり引用すると著作権の問題もありそうなので、具体的な引用は避けるが、写真の撮り方という以上に、ものごとを理解していくための手順やアプローチの仕方としても非常に優れた言葉の数々が、惜しげもなく披露されていて驚かされた。正直これほど優れた見方のできる写真家のことを、全く知らなかったとはちょっとマズイのではと思えるほどのものだった。

先日の梅佳代さんのトークショーでも話題になり、楽しみにしていた篠山紀信さんと5人の女性写真家との対談では、川内倫子さんの感覚的かつ経験に裏打ちされた言葉。高木こずえさんの自分の興味に対する独特のこだわりと歩み寄りのスタンス。澤田知子さんの一つのスタイルを展開し、それをコンセプトと共に提示できるプレゼン力。梅佳代さんのついこちらまで巻き込まれてしまうような不思議な存在感と可笑しみが伝わってきて面白かった。篠山紀信AKB写真集画像1

前回の写真特集では、講師としてAKB48やヌードの撮り方などで女性の魅力を最大限に引き出すコツを伝授していた篠山紀信さんは、今回はインタビュアーとして写真家たちの心を開き、彼女たちのこれまでにない「表情」を引き出す力を発揮。60年代から日本の第一線で活躍し続ける写真家の、高いコミュニケーション能力やフットワークは写真表現だけでなく、幅広くジャンルで通用するのだと思い知らされた。

今回の特集の中で、最も優れていたと感じた平間至さんが紙上講師となった「写真を送る。アルバムは、愛の結晶だ」というページでは、年の離れた異性と共に海辺で過ごしたある一日のアルバムを作るという設定の中で、いかに自分の想像力を超えたものを作るか、予想しないものを呼び込むかといったことを具体例を挙げながら紹介。読んだ側にもそんなアルバムを作りたいと思わせる力があった。平間至2011年カレンダー画像1

極端な話、この特集を読んだからといってすぐに写真が上手になれる訳ではないけれど、優れた写真家たちの持つ独自の視点やもの見方についてためになる言葉が溢れていたこの特集。自分の視点が絶対ではなく、多様な見方や考え方を持った人が世界にはたくさんいて、そんな視点から見る世界も面白い。写真表現の素晴らしさは、より直接的な他者の視点が自分の目の前に展開されることにあるのだと思った。

ウィキペディア 澤田知子
ウィキペディア 梅佳代
ウィキペディア 篠山紀信
津田直さんのウェブサイト
ウィキペディア 川内倫子
高木こずえさんのウェブサイト
ウィキペディア 平間至
津田直写真集『Storm Last Night』
アマゾン 篠山紀信撮影『窓からスカイツリーが見える AKB48写真集』
アマゾン 『2011年ミーちゃん/平間至 壁掛カレンダー C-350-ME』

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
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