スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
関連エントリー
この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - スポンサーサイト
関連エントリー
関連エントリー

「ハイブリッド系アートフェスティバル!」~萬福寺芸術祭という新たなアートの試みを巡って~

 今年、関西圏を中心にちょっと異常なくらい様々な地域で開催されたアートフェスティバル。たぶんその締め括りとなるであろう「萬福寺芸術祭」が11月26、27、28日の3日間、京都府宇治市の萬福寺で開催された。京都の芸術系大学を中心とした20数名の学生たちが生み出したこのイベントは、学生のみによって企画、運営されたイベントとしても秀逸だったが、それ以上にそこに成立したこれまでのアートイベントとは一味違う空気感とその総合的な状況の作られ方に驚かされた。萬福寺芸術祭ちらし画像1

その名の通り、萬福寺というお寺の全域を会場としたこのイベントは、従来型のアートフェスティバルの評価基準に当てはめれば、nomoto piropiroさんの写真作品や三瀬夏之介さんの屏風画、水澤結衣さんの石のシルクスクリーン作品などはあっても、個別の作品クオリティーは決して高いものとは言えなかった。しかしそこに、日ごろ寺院では流れることはないDJ系の音楽や、弦楽、打楽器系のアコースティックな楽曲が流れ出すと、その空気は一変する。

江戸時代、中国から伝わった黄檗宗大本山であり、現在も禅の修業が行われている寺院内の清廉な空気と、現代音楽が奏でるリズムが融合し、そこには寺院でありつつも寺院ではない独特な空間が生み出されていた。古いようで新しく、新しいようで古いといった自分の価値観が揺らいでいくような感覚は、寺院との相性を考えたアーティストの選択によって可能になっただけでなく、間にアートが挟まれたことで、互いの親和性がより一層増し、フリーマーケットや縁日ブースといった関連企画をも包み込んでいた。萬福寺芸術祭外観1

また若手作家たちの作品が置かれた法堂や東西方丈では、そこに元からあった建築物や石庭、さらには襖絵といった美術的存在と、現代アートが同じ空間にあることで、互いの歴史性や禅的抽象表現にどこまで連続性や関連性があるのかといった疑問が浮かび、過去と現在との不思議なつながりが発生。それについて年配の観光客や、若手作家、一般の鑑賞者がそれぞれの立場で意見を交わすなど、世代や性別、趣味を超えた交流が行われていたことも興味深かった。

夕方から夜にかけての芸術祭では、ロウソクや灯篭の灯りの中での音楽ライブやファッションショーが盛り込まれ、寺院空間という特性を最大限に生かした幻想感や、西洋風アートという高く独立した視点よりも、アジア的な低い位置からじわじわと浸透していくような空気感を作り出し観る者を魅了。長く居れば居るほどに芸術祭のイベントが楽しめ、観る者の興味の幅を広げてくれる多層ジャンル(レイヤー)の芸術祭が成立していた。水澤結衣作品画像1

この1年、アートの世界で独自の存在感を示し、新たな可能性を感じさせる10代後半から20代中盤までの作家や、その周辺でムーブメントを作り出そうとする若者たち。彼らの優れた感性や新たな発想は、これまでの価値観や評価基準とは異なり、そこに生み出される空気感や、様々なものがゆるやかにつながることに大きな意味があるように思う。従来までの個別評価も大事だが、これからは多種多様なジャンルや価値観を受け入れるオルタナティブ性やハイブリッド感を持つことが観る側にも要求されていくだろう。

萬福寺芸術祭ウェブサイト
萬福寺芸術祭のtwitter
ウィキペディア 萬福寺
ウィキペディア ハイブリッド
ウィキペディア オルタナティブ


【関連記事】
ウィリアム・ケントリッジさんの京都賞記念ワークショップに見る「知識人」の限界
「クリエーターの覚悟」~麻枝准さんが参加した京都大学11月祭『Angel Beats!(エンジェル ビーツ)』大ヒット記念講演を聴いて~
「悲劇が残していったもの」~「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」ジョナサン・トーゴヴニク写真展を観て~
「自分にとっての物語」~福嶋亮大さんが参加した「ネット社会の物語と『観客』」というトークを聴いて~
「苦しい事情は分かるけれども」~木津川アート2010を巡って~
「アートが生み出す可能性」~新たな風を作り出すプラスアートという形~
「なぜ青木美歌さんはBIWAKOビエンナーレであれほどの作品を創れたのか」
「ヤセ犬の気概」~アーティスト藤浩志さんの根幹~
「自分を超える作品を!」~森村泰昌さん徹底討論「清聴せよ!成長せよ!」を聴いて~
『アートが創る熱い夏』~瀬戸内国際芸術祭2010「直島」を巡って~その1
「自分だけの答え」~京都造形芸術大学・大瓜生山祭、椿昇さんが参加したトークショーを聴いて~
凄すぎる!村上隆さんの本気in台湾
カオスラウンジの意味
「ありふれたものの凄さ」~建築家・藤森照信さんの「土と建築」講演を聴いて~
『死なないための葬送』としての『はめつら!』
スポンサーサイト
関連エントリー
この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 「ハイブリッド系アートフェスティバル!」~萬福寺芸術祭という新たなアートの試みを巡って~
関連エントリー
関連エントリー

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

全記事表示リンク
全ての記事へのリンク(ジャンル別)

全ての記事を表示する

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
ユーザータグ

京都 歴史 アニメ 映画 秀作 動画 日本 美術 洋画 古典 講演 現代美術 傑作 ギャラリー  YouTube 舞台 京大 建築 江戸時代 探求 イベント マンガ 庭園 大阪 寺社 寺院 物理 宇宙 アート 監督 紅葉 美術展 ラブストーリー 奈良 国宝 ノンフィクション グルメ フランス 見学 時代劇 アクション 音楽 ドキュメンタリー  タイトル 世界  歌舞伎 押井守 仏像 攻殻機動隊  涼宮ハルヒ I.G 神山健治 くせになる 悲劇 博物館 鎌倉時代 東京 Production Youtube 解説 戯曲 魔術 リアル 詩情  前衛 広島 芸術 化物語  戦争 菩薩 お寺 離宮 仙人 茶室 医療 西洋美術 個展 香港 デザイン 皇室 絵画 邦画 テレビ 枕草子 漢詩 闘病 原作 宮崎駿 旅行 長谷川等伯 IG シェイクスピア 講演会 滋賀 トークショー 狩野探幽 海外文学 出会い 洋楽 日本画  祭り 荒唐無稽 中国 ジャンル   ニコニコ 二次制作 報告 肖像画 和歌 探求京大 思想 ヨーロッパ 印象派 ゲーム 手塚治虫 笑い 

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
フリーエリア
FC2 Blog Ranking 人気ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。