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「アートが生み出す可能性」~新たな風を作り出すプラスアートという形~

 アートとデザインの境界線を探るためのリサーチとして出掛けた「神戸+デザイン」のオープニングシンポジウム。1部では行政主導や大学の権威を背景としたこれまでの手法の限界と、結局は実行力を伴った市民の自発的な動きがなければ何も始らないということが、古い形式のバネルディスカッションを聞きながら個人的教訓として確認できただけで、わざわざ神戸まで来たことをかなり後悔していた。そして2部でも終盤まではこれまでの枠内で予測できるような話ばかりで退屈していた時、その退屈を吹き飛ばすような事例報告を永田宏和さんという方が始めた。神戸+デザイン画像

「楽しい話が出てきますので」という怪しい言葉から始った事例報告は、「+デザイン」というイベントとは少し違った「プラスアーツ」と言う、何かにアートをプラスしていくことで、周囲に新たな風を起こし、様々な問題を解決していこうという活動を紹介。内容は、アーティストの藤浩志さんが子供たちの「お店屋さんごっこがしたい」という意見を取り入れて生み出した、「かえっこバザール」というシステムを利用した「楽しい防災訓練」の話だった。

これまでの退屈な防災訓練では人が来ないという最大の問題を解決するために、子供のおもちゃ交換会「かえっこバザール」を中心に据え、持ってきたおもちゃのポイントや、親子で遊びながら学べる防災訓練でポイントを増やし、最後はおもちゃのオークションをするこのイベント。そのユニークな枠組みだけでなく、これまでのお堅い防災訓練のイメージを払拭し、細部にまで面白くファミリーで楽しめる要素を散りばめたイベントは13都道府県で5、6万人が参加したイベントにまで成長。最近ではインドネシアや中米にも広まっているのだという。かえっこキャラバン画像

そんなユニークな活動を展開する永田さんは、その他にも「夢の病院作り」のための寄付を集める活動や、「おいしいということを大事にした」という「食」のプロジェクトなどを、「既成概念にとらわれないアーティスティツクな発想をプラスたやり方」で展開。そこにはこれまでの因習やしがらみを伴った行政や企業から降りてくる活動とは異なった、新しい市民の視点に立った動きが着実に育っているように思えた。「市民やエンドユーザーの立場に立ったリサーチが重要」という考え方には、一人ひとりの人間の欲求に寄り添った温かみのある視点が感じられた。

事例報告後に行われたパネルディスカッションでは、人々と共に活動していく中での心得として、「私たちのやっている事は一緒に盛り上がってくれて、終わってからありがとうと言われる仕事。それはコミュニケーションであり、当然メッセージも発信している。だからこそコミュニケーションの強度や強さを現場にもまれながら作っていくことが重要」と発言。質疑応答で「リサーチする時のコツ」を尋ねられると、「世の中の集められるだけの情報を集めること。そして良いものがあればそれを取り入れ、違和感を感じた時はその時々で考え改めていくこと」とアドバイス。永田さん事例報告画像1

さらに「調査する時の姿勢が一番大事。何より謙虚であること」と地域の住民や依頼者と同じ視点に立ってものを見ることの大事さを訴えた。まとめとしてパネラーの一人であった永井一史さんが発言し、「もともとデザインとは社会の課題を美しく解決していくための方法としてあったものが、経済の中に組み込まれていったことで、お金を回していくための存在になってしまった。所有から共有へと社会の方向性が変わっていく中で、デザインも原点に戻って社会的課題にも取り組んでいくようなより広い存在になっていくべきだと思う」と述べた。

正直、本来の「アートとデザインの境界線を探る」という目的は果たせなかったが、社会の色々な所でこれまでにはなかった動きが生まれだし、多くの人を巻き込んだ活動につながっていることが分かった点は大きな収穫だった。これまでの価値や手法が行き詰まり、閉塞感が漂う今という時代だからこそ新たな視点や発想からの動きが求められている。アートやデザインといった個人の創造力から生まれたものが、人々を刺激し、新たな突破口を開くのならば、その可能性を信じてそれらの素晴らしさを伝えていきたいと思う。

すでに終了した神戸+デザインのサイト
永田宏和さんが関わっているNPO法人プラス・アーツのサイト
永田宏和さんのインタビューが掲載されたサイト
kaekko(かえっこ)の開催情報サイト

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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