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「地べたからの変革」~アートを触媒にいかに地域を変えていくかその1~

 去年から今年にかけて、遠藤一郎さんらを中心に、別府、柏、京都などで行われた「わくわくプロジェクト」の発端ともなった「桜島アートプロジェクト」。さらには「瀬戸内国際芸術祭の藤島八十郎の家」や「見っけ!このはな」といった今あるものを活用しながら地域の人を巻き込んだ枠組み作りを行うアートプロジェクト。それらの中心として人々がつながる仕掛けづくりに独自の手腕を発揮している藤浩志さん。パプアニューギニアで「ヤセ犬」と出会い、「自分にとっての美術」を探し当てた藤さんが、帰国後どのような経緯で「地域」という課題に取り組むようになったのかを駆け足で辿ってみたい。藤浩志さん鯉のぼり

「どのようにして枠組み作りを習得されたのですか?」という問いに、「習得しようとは思ってなくて、なるがままにやってきて身についた」という返答をした藤さんだが、実は「関係」というキーワードでさかのぼれば、学生時代のデビュー作・鯉のぼりの作品までたどり着くのだという。許可を得る方法が分からなかったため、三条鴨川に無許可で設置した13匹の鯉のぼりは、京都府土木局に撤去され、結果的に全ての空間には法律や所有といった属性があることに気づかせられた。

「美術大学という守られたフレームの外には法律、所有者、歴史があるし、そこに関わっている人もいる」という課題は、パプアニューギニアでの国際援助のあり方や、そこに住む人々との接し方とも関係した問題でもあった。2年間の海外協力隊員としての仕事を終え、日本に戻った藤さんは、バブル真っ只中にあった不動産業界に就職。そこで法律や土地の成り立ちを勉強しながら、「都市計画が上から降りてきて、図面を書いて地域に被せていくこと」に疑問を抱いていったのだという。ヤセ犬画像

「『ヤセ犬』のヤセこけた視点、極端な視点から街を見ることはできないか?」と地域が主体性を発揮した動きを模索するが、当時はワークショップの手法が無かった時代であり、試行錯誤の時期は長く続いた。「誰と作るのかで価値観は変わる」というだけでなく、「時代や状況によっても価値が変わってくるからそれが見えてこないと自主的に地域の人が動く仕組みはできない」と講演ではさらりとまとめられたが、実際そこにたどり着くまでは国際援助に対する会社との軋轢や、郷里・鹿児島での「石橋撤去問題」での挫折があった。

「美術表現を持っている人は、何らかの影響を持っていると思っていたが、世の中の動きや仕組みに食い込んでいかないと変わらない」というリアルな現実を身をもって知ったことにより、以後は「仕組みを変えていかないと世の中は変わらない。ものを創るだけでなく、事柄を創ることも表現になる」と広い意味での表現の可能性を模索していくことになる。一時は日本の現状に失望し、ブラジルに移住することさえ考えた藤さんに突然1つのアイデアが浮かんで来た。ラホール画像1

ダム湖の上空に無数のゲイラカイト(凧)を揚げて龍の形を浮き上がらせるプロジェクトの準備としてパキスタンのラホールという町で行った凧の実験。そこで小さな凧が現れ、実験用の凧の糸を鮮やか切っていく事態が何度も起こった。地元の人に聞いてみると、ラホールは喧嘩凧で有名な町で、古い町並みには幾つもの凧屋が並び、春の収穫祭の時には空が何万個の凧で埋め尽くされるという。「それを聞いた瞬間、カイトフェスティバルをやれば、みんなが出品して色んな人との関係も増え、大きいお金を集める必要もない」と閃いた。

それは当時、クリスト&ジャンヌ=クロードが日本とアメリカで行った『アンブレラ・プロジェクト』をはじめとしたアーティストが資金を集めて行う大規模な美術プロジェクトとは、「何か違う手法でできないか?」と思っていた藤さんにとって、「誰とどうやっていくかを作り出すこと」や、より多くの人を巻き込みながら「早く安く考案できる」というシステム作りの最も基礎的な部分となっていった。現在、社会思想の分野で用いられるアーキテクチャ(人の行為をある方向へ誘導する構造)を先取りした考えに至った藤さんは、この手法を用いて地域の人々との関係づくりに取り組んでいく。公庭は素晴らしい

98年に福岡の博多で始った灯篭の表現は、まるで菊池寛の小説『恩讐の彼方に』のように一人で始めた活動が今や全国に広まっている。また日本だけでなくインドネシアやアメリカでも開催されるようになった子供のおもちゃを交換するイベントは、その集客力を武器に防災や地域の活性化を織り交ぜた活動としても展開している。そして「瀬戸内国際芸術祭」や「見っけ!このはな」といったアートフェスティバルの枠組みの中で人々の想像力を刺激し、新たな価値観を生み出そうとする活動。これら全ては時代状況の中で試行錯誤を繰り返しながら、その時々の問題に真摯に向き合ってきた作家なりの回答のようにも思えてくる。

今年関西を中心に瀬戸内から愛知まで、様々なアートフェスティバルを見てきた中で、最も時代に寄り添いながら、アートの持つ可能性を感じさせてくれた「見っけ!このはな」というイベント。その枠組みの中で、多くの若いアーティストや地域の人々が生き生きとしていた理由は、藤浩志という作家のアートに対する強い信念と、人々の多様性に「YES」と答えるような生き方が反映しているのだと思った。
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藤浩志さんのホームページ
藤浩志さんのブログ「Report 藤浩志企画制作室」
藤浩志さんのtwitter
藤浩志さんの超ロングインタビューが掲載されたサイト
ウィキペディア クリスト(美術家)
ウィキペディア アーキテクャ
ウィキペディア 恩讐の彼方に
アマゾン 菊池寛著『恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇 (岩波文庫)』


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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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