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「自分を超える作品を!」~森村泰昌さん徹底討論「清聴せよ!成長せよ!」を聴いて~

 京都造形芸術大学での椿昇さん講演に次ぐ、今年2番目の学祭イベントとなった京都市立芸術大学の森村泰昌さん講演。森村さんの話は今月、大阪で行われた近代美術館設立シンポジウムでも聴き、一般の人々とは異なる視点からの貴重な意見が聴け、それなら5時間の「徹底討論」と銘打たれた講演にも行く価値があるのではと訪れた京都市立芸術大学。結果から言うと5時間の内、本当に価値のあった話は約30分程度だったが、その30分には絶対にその場で聴いていて良かったと思わせるほどの濃密なエネルギーに満ちていた。森村泰昌さん講演1

5時間の全てが熱い討論になるのではと期待していた人間にとっては、1部や3部の部外者の視点が少なく、結局は内輪向けになってしまった話は退屈だったし、テーマ性のはっきりしない討論は内容が深まらなかったと思う。だから正直、1部が終わった時は帰ろうかとも考えたし、「一度ぬるくなった講演などが盛り上がるのは極めて難しい」ということを経験として知っているだけに2部には全く期待してなかった。そして実際、2部の前半は、芸大生の悩みに答えるという内容で進行し、学生たちのリアリティーと森村さんの彼らに対する認識のギャップは埋め難く、突っ込んだ内容にならないまま残り時間30分ほどとなってしまった。

溜まるばかりの不満を解消できないまま、男子学生の「自分は臨床心理士の資格を取ろうとも考えていて…」という意見を解説する市立芸大先生の「決して前向きな意味で資格を取ろうとしているのではない」という言葉に、思わず納得の声を上げると、それを聞いた森村さんから指名の声が掛かり、その意見に聴衆として説明を加えることになった。「彼にとって資格を取ることは『保険』であり、芸術の道が失敗した時の逃げ道なのだと思います」と説明し、「飽和した現在の日本の社会状況では入っていく『隙間』自体がないに近いのです」と前の話から続く「隙間」のことにも意見を述べると、話は徐々に森村さんの過去の体験談へと移っていった。森村さん講演画像1

「道がいっぱいあっても『飽和』してても歩かないといけない。そうでなければ死んでいるのと同じだから。でもそうすると自分の履歴ができてくるんですね。不思議な出会いとか人生だから色んなことがあって、自分が育まれていく。だから生きる力としての待つということが必要」と34歳でゴッホの自画像作品を発表するまで試行錯誤に苦しんだ作家らしい言葉を語った。また立ち止まることの危険性や、「自分がなにをしてどう生きていくべきかの光明が徐々に、あるいは突然見えてくる。臨床心理士の資格を取るということも僕には凄いイマジネーションが働いてきたし、そういう風に捉える人がいることも分かってもらえたらと思う」と男子学生を応援。

女子学生の「自己紹介で何を言っていいのか分からない」という質問については、「自分について語るのは大層難しいんです」と励ましの言葉を掛け、「僕が言葉で自分のことを言えるようになったのは作品を創れるようになった時で、『何でゴッホなんですか?』と興味持たれて、何か答えなければならないから喋れるようになったし、作品に助けられた」とも語った。そしてそんな作品については、「作品が自分を追い抜くことがあって、創った自分が作品に追いつかなきゃいけなくなって、そうなった時に自分が成長する。そのコツを覚えると自分を超える作品を創れるようになる」と作家へ及ぼす影響を語った。美術かMのできるまで

すぐさまノートに「そのコツとは?」と書き込んで質問の機会をうかがっていると、森村さんは「そうしていくことで表現の手応えを持つことができ、手応えがつかめない不安感もなくなり、しんどくても嬉しさを実感できるから作品も成長します。作品が自分を超える瞬間のあり方は成長や脱皮、一皮むけるといったもの。しかしそのコツは体験的にしか分からないから」と前もって質問の答えを回答。ならばもう一つ浮かんだ質問、「では森村さんが最初に自分を超える作品と感じたのは?」と尋ねると、予想通りというか「肖像ゴッホ」という答えが返ってきて、それに付随したエピソードが語られだした。

「それまでは、あれやこれや色んなことやってたが長続きしなかった。それがセルフポートレートになると続いたのは手応えがあったから。でも人間飽きてきますよ。何遍かしたら手応え自身がマンネリ化してきて。でも一つ考えたのは自分と同じことをやり続けていく人はいないから、これをどんな風に展開していくか引き受けようということ。そしてそういう決意があると次の展開が見えてくる。女優シリーズやレクイエムシリーズは美術史シリーズをやっている時にすでに生まれていて、10年、20年前に考えていたものがやっと形になってきたもの」と現在まで続く自らの手法について率直な意見を述べた。森村さん画像1

正直、熱い展開は期待してはいたが、まさかこれほど心に響く言葉が聴けるとは思いもしなかった。森村さん自身、あまりの赤裸々な話をしたからなのか話の矛先を変え、ステージの後ろで要点を書き出していた女子学生に「いいボードができましたね」と声を掛けていた。2部の最後を締めることになったその学生は、「最近学祭の仕事でバタバタしてて描くことができなかった。でもずっとずっと描いてたら制作することが好きなのに嫌になってきて、すごい一生懸命描いてても申し訳がなかった。今日のお話を聴いて絵を自分の特別な存在としておくことができるようになった」と発言。森村さんは「ではこれからも描き続けてください」と彼女を通して会場の学生たちに語りかけた。

ウィキペディア 森村泰昌
森村泰昌さんのウェブサイト「森村泰昌」芸術研究所
京都市立芸術大学のウェブサイト
ウィキペディア 臨床心理士
アマゾン 森村泰昌著『芸術家Mのできるまで』


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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
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