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「伝統に囚われない強さ」~ 『青木良太展』小山登美夫ギャラリー京都版とeN arts版の2つを観て~

 9月24日から約1ヶ月間、京都の2つの実力派ギャラリーで開催される『青木良太展』の小山ギャラリー版のオープニングと、eN arts版の展示初日を観て来ました。青木良太さんと言えば、この夏、村上隆さんが行った「アートバトルロワイヤル(ABR)vs GEISAI」というニコニコ生放送(ニコ生)で最初に出て来て、いきなり「界王様です」というドラゴンボールネタでスベった人としての印象しかなかったが、今月上旬に小山ギャラリーで見た幾つかの器のフォルムが非常に美しく、今回、京都の注目ギャラリーで個展が同時開催されるということで、作家としての実力を見てみたいと思い2つのギャラリーを訪れてみました。小山ギャラリーでは青木良太さん本人によるアーティストトークも行われ、本人との会話の中から、いかに全力を尽くして陶芸に取り組んでいるかという姿勢も見えてきた。その外見からは想像もつかない真摯な姿勢や、若手陶芸家として注目される理由について、自分なりの視点から考察してみた。青木良太作品画像1

今思うと、アーティストトークの前に、eN arts版の展示を観ておいたことは非常に良かったと思う。それまで青木良太さんの作品はニコ生で見た一風変わった王冠の作品と、小山ギャラリーの彩色の施されていない作品しか見たことがなかったからだ。実際、オブジェ的な作品よりも、きっちりとした器の方が好みな自分にとっては、主に茶器として使われる茶碗や花入れといった実用性の高い作品の美しさを全面に出したeN arts版の展示の方が良かったと思う。展示の説明をしてくれたeN artsのスタッフの方の話では、青木良太さん自身は、茶道の経験はほとんど無いということだったが、ちょうど茶器サイズに作られた作品はどれも、これまでの茶碗の地味なイメージとは全くかけ離れた、鮮やかな色どりや、メタリックな色彩を持った非常に挑戦的なものばかりで、茶碗の概念に囚われない思い切りの良さが気持ちよかった。

さらに色彩だけでなく、通常の茶碗より少し高く小さい高台(土台の部分)などは、お茶を知る人には違和感を持つ人もあるだろうが、全体としてのフォルムやバランスには確かな魅力を感じさせるものがあって面白かった。お茶というと、どうしても千利休以来続いてきた「侘び、寂び」の世界に囚われてしまい、変に難しくなったり、堅苦しくなってしまったりという側面があるが、今回の作品には、そんな美意識を全く気にせず、「自分の作りたいもの」を「現代の器」として提示したという感覚が見て取れ、「こういうのもアリかな」と思わせる説得力があった。ギャラリー内にある茶室の床の間に飾られたテレビゲームで見かける刀のようなオブジェや、西洋風の銀食器と並べられた茶器の使い方にも、これまでに無い「見立て」の心が感じられ「展示」としても面白かった。千利休画像1

会場を移動し、向かった小山ギャラリー(正確には2階のTGKエディションズ京都)には、アーティストトークを聴こうとすでに70人以上の人が集っていた。まさかこれほどの人が集うとは予想もしていなかったが、後で話しを聞くと、名古屋や東京からもこのイベントのためにやって来たという女性がいたり、愛知のテレビ局のカメラが取材に来ていたりと人気の程が伺われた。トークの内容は頭蓋骨と王冠のオブジェを制作した理由(王や王妃の永遠に存在したいという欲望を永遠に残るセラミックという素材で表現した)という話や、釉薬(ゆうやく)の魅力に魅せられたこと、これからも自分の欲しいものがいっぱいあるので、作りたいものを全部作っていきたいという意気込みが語られた。

トークの最後には質問を受ける時間が設けられ、誰も質問をしないならばと手を挙げて、「フォルムについてのこだわりと陶芸を始めたきっかけ」について尋ねてみた。するとフォルムについては「自分がかっこいいと思うものや形の集合体」であるとの答えかが返ってきた。そして驚きだった「陶芸を始めたきっかけ」については、小さい頃からマンガを書いたり、手で何かを作ったりするのが好きだったが、愛知の「下から2番目に頭の悪い大学」に入り、20歳になるまでは遊んでばかりだったのだという。そして卒業後の事を考えた時、「自分の好きなことしよう」とファッションやアクセサリーの道を選択。どちらも注文を受けるまでなっていくが、その注文に合わせた製作の難しさや大変さに進路を変更。レゲエバーや美容師ブームに乗ってのアルバイトの合間に通いだした陶芸教室で土を触った瞬間、「これしかない!」という衝撃を感じたのだという。青木良太作品画像2

卒業を間近に控え、陶芸家になりたいという思いは生まれたが、陶芸を職業とする人々の経歴を調べると、そのほとんどが東京芸大などの芸術系大学出身者。あきらめきれず、何とか探した陶芸の技能を学べる教育訓練校に必死でデッサンの勉強をし多治見、瀬戸、九谷の学校に合格。その中から「人間国宝が多いから」という理由で選んだ多治見での勉強の中で、「陶芸と心中しようと」覚悟を決めたのが今からちょうど10年前だったのだという。トーク終了後、個人的に聞いた話では、「いつ死んでもいいように制作していて、朝8時半に工房に入って食事の時間を除く夜の11時まで軍隊みたいな感じで制作をやっていて、本当はレセプションに出るより制作をしていたい」という程の生活を送っているのだという。

頭には黒いターバンを巻き、いかにも今風の雰囲気を漂わせてはいても、その陶芸家として制作に賭けた10年は、有無を言わせぬ作品として観る者に強い印象を与える。「陶芸界の日本代表として世界で戦いたい」という夢を持ち、すでにニューヨークの個展にも挑んでいる若き陶芸家は、伝統に囚われない斬新な発想と、自らの感覚に忠実に従って制作を続けてきた。そんな青木良太の作品が世代を越え、多くの人々に支持される理由は、本来、利休などが挑んできた「新たな発想を取り入れる」という美意識の挑戦を、今という時代の感覚に沿って行っているからなのだと思う。

ウィキペディア 青木良太 (陶芸家)
eN arts『青木良太展』※開廊は期間中の金、土、日
小山登美夫ギャラリー京都『青木良太展』
青木良太さんのウェブサイト
青木良太さんのtwitter
ニコニコ生放送『村上隆 vs 若手“ABR vs GEISAI”徹底討論 芸術とは何か?1/2』アーカイブ版
ウィキペディア 千利休

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
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