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「なぜ村上隆さんは批判されるのか?」~ニコニコ生放送・村上隆 ベルサイユ宮殿より生中継を見て考える~

 金色に輝く6メートルの自作フィギュアを背景にして行われたニコニコ生放送「村上隆 ベルサイユ宮殿より生中継」。晴天のベルサイユ宮殿の野外で行われた放送は、村上さん周辺の活字メディアに携わる人々をパネラーとして、終始和やかな雰囲気で行われた。約2時間の放送では今回のベルサイユ宮殿での展示の経緯や、パネラー側から見たアーティスト・村上隆の魅力などが語られ、簡単に言えば国際的ステージがさらに一段高まった村上さんの現地報告会のようになったこの放送。しかしその中で1点だけすっきりしなかったのが、「なんで(自分は)叩かれるのか」と村上さん自身がパネラーの方々に問いかけた問題。一部、twitter(ツイッター)上でも論議となっていたこの問題について、自分なりにわかり易く紐解いてみたいと思う。村上さんベルサイユ宮殿ニコ生

「美術館の人は凄く嫌う」という村上さんが付け加えた問いに対する答えとして、「個展やったり、作品を見せたり、購入したり現実的に不可能なので変な嫉妬など複雑な思いがある」とか、「(村上さんは)自分の人生を実験台にしてて、そういう温度差みたいなものを感じてしまっているからではないか」といった回答がなされたが、それらの答えには腹の底から納得いくような説得力はなかったように思う。なぜなら一つ目の答えほど、美術界で批判する全ての人が村上さんの個展や作品購入を望んでいる訳ではないだろうし、「温度差」については批判者全員が村上さんの制作態度を知っている訳ではないだろうと思われるからだ。

では一体なぜ村上さんが批判されるのかについて考えると、まず一番の要因は、意外と今回、フランスの極右団体が批判していた「歴史遺産の冒涜」という言葉が批判者側の言葉としては説得力を持つのではないか?現在でもなお、アカデミックな「美」の殿堂的役割を持つ日本の美術館。そして、そういった「美」を最良のものとする人々(ある意味の「美」の伝統を重視する保守勢力)にとっては、デュシャン以降の現代アートの持つ革新性によって、自身が奉祀する「美」の絶対基準やピラミッド型のヒエラルキーが揺らぐことに強い拒絶反応があるのではないか。それはデュシャンの『泉』が誰もが展示できるというアンデパンダン展にさえ展示拒否されてしまったことや、それ以後のアートシーンにおいて、その「美」の基準とは異なるルールを提示してきた人々が、その革新性によって、必ず批判を受けてきたことにも表れている。ベルサイユ宮殿その1

そんな現代アートの流れ中で、90年代以降、最もアカデミックさや伝統といったものからかけ離れたアニメやオタク文化をモチーフとして、その「美」の殿堂を含むアートの世界で、名実共に評価を高めてきた村上さんのことを、「美」を奉祀する側からすれば、自身の信じる「美」のヒエラルキーを破壊し、冒涜する者と考えるのは、それほど不自然なことではないのではないか。そしてそれはある意味、政治的信条と同じように、自分の生活スタイルや生き方と密接に結びついたものだけに、そこにある革新側のルールを説明したり、説得したりしても容易に受け入れられるものではないのだと思う。

そういった理由で村上さんを批判する側にとって、そしてまた肯定する側にとっても残念なことは、これほど注目され、昨年まで世界巡回の回顧展が行われていたほどの作家でありながら、2001年に東京都現代美術館で開催された大規模個展以降、国内で村上さんの作品をまとまった形で観れる機会が全くなかったことだろう。放送では、諸事情によって開催できなかったという感じの説明がなされたが、2000年代に藤田嗣治の国内展覧会が解禁されたことで、多くの人々がその凄さを知ったように、やはり実際の作品をまとまって観ることが、村上さんに対する批判や誤解を解く最良の方法に思える。村上さんのアーティストとしての活動は美術館に収まりきれるものではないけれど、芸術実践論講義で言われた空間構成や過去の文脈、そこに込められたエネルギーの濃度などは作品に向かい合うことで味わえると思う。村上隆さん個展ポスター1

「美術側」からなされる批判の大まかな構図は、これで説明できたと思うけれど、次はオタクの人々からの批判について考えてみたい。少し前までのオタクの人々の村上批判は、「オタクを搾取している」といった形の、アニメーターや、マンガ業界などの低賃金労働者がいるのに、その上澄みだけを利用して金儲けをしているといった指摘が大半だった。しかし、今回のベルサイユ宮殿での展示に関連した2ちゃんねるのまとめサイトの記事では、より脊髄反射的な検索画像を見ただけで全否定するような意見が大半だった。

「オタクを搾取している」という批判に対しては、村上さんが自身のオタク文化への愛着を作品のモチーフにし、そこに根ざした要素をアートの世界に活用したことが、自分たちの領域が生んだものなのに、という受け取り方をしてしまうことは理解できる。しかし、そこにあるものの価値や意味に注目し、それに異なる領域から光を当てることで、新たな価値を見出したことは、アートの世界にとってもオタクの世界にとっても結果的には良い影響をもたらしているのではないか。そうでなければフィギュア業界の雄・海洋堂やルイ・ヴィトンがアートやオタク文化に関連した作品や広告を制作し、その活動領域を広げることはなかっただろう。初音ミク・フィギュア

そいう意味でオタク文化やファッション、資本主義内での商品流通やビジネスといった様々な領域を、アートと融合させてきたことが村上さんの評価の一つとなっている。実物の作品と向き合うだけでなく、そんな評価軸が生み出した村上隆というブランド力が作品の価値を高めていることを理解すれば、初音ミクのフィギュアやミケランジェロのピエタとは違った価値がそこにあることも分かってくるだろう。単に嫌いという意見で終わればそこまでだが、そこで立ち止まって、作品や作者が持つ意味や時代性といった周辺要素と兼ね合わせれば、作者が込めた思いがけない発想や新たな価値観に出会えることもあったりもする。

現代アートの面白さは、同時代を生きる作者が提示するある種の「魔術性」なのだから、それを短絡的に批判するのではなく、一体どんな「魔術」なのかを注意深く味わってみた方がより豊かなものが得られるのではないか。12年ほど前には、「コンビニの裏で弁当をもらう」という生活をしていた人物が、今ではベルサイユ宮殿で大統領主催の晩餐会の主賓を勤めていることを考えれば、そのアーティストとしての「魔術性」がちょっとケタ外れなことぐらい誰にでも分かるはずである。

ウィキペディア 村上隆
【ニコニコ動画】村上隆@ベルサイユ ベルサイユ宮殿生放送アーカイブ版
twitter上で論議になっていた村上隆さん批判とその反論をまとめたトゥギャッター(Togetter)
痛いニュース 「歴史遺産への冒涜だ!」 ベルサイユ宮殿での村上隆氏の作品展に反対運動起こる…仏
ウィキペディア ベルサイユ宮殿
ウィキペディア マルセル・デュシャン
ウィキペディア 藤田嗣治
【ニコニコ動画】村上隆の芸術実践論 第1回 1/2アーカイブ版
ウィキペディア 海洋堂
ウィキペディア ルイ・ヴィトン
ウィキペディア 初音ミク
ウィキペディア ピエタ(ミケランジェロ)
アマゾン キャラクターボーカルシリーズ01 初音ミク (1/8スケールPVC塗装済み完成品)

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コメント

つんくと村上隆

メモとして。
秋元康の夕焼けニャンニャン=おニャン子倶楽部を下敷きに、70年代80年代のディスコサウンドをパクリまくり、モーニング娘。をはじめ、一時代を築いたつんく。
おたくを下敷きに、おたくのエッセンスをパクリまくり、アート・ワールドで一時代を築いた村上隆。
ウォーホールやクーンズがポップ・アイコンの画像を自分たちの作風にマッチさせ転用したのとは異なり、村上隆は、おたくのアイコンを転用するのではなく、自らの考えるおたくアイコンを想像し、評価を獲得した。商売人のようなあざとさを隠しもせずに。
そのおたくアイコンとは擬似的な差異があるからこそ、つんくと相似形となり、そのあざとさが無意識裡に嫌われるのではないか。それが発端となって批判されるのだ思う。
愛野アリカ

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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