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「果たして名古屋は熱いのか」~あいちトリエンナーレ2010を巡って・前編~

 8月下旬、瀬戸内国際芸術祭に遅れること約1ヶ月、「都市の祝祭」というテーマを掲げたあいちトリエンナーレ2010が開幕しました。今年はなぜか近畿周辺で様々なアートイベントが続いており、瀬戸内まで足を伸ばした結果が大当たりだったこともあって、次のターゲットと期待していたこのイベント。2005年に愛知万博を訪れて以来、久々となった名古屋の街は「祝祭」と言うには程遠く、一部のアート好きがささやかに祝っている、ほぼ日常的な空間だった。あいちトリエンナーレ公式ブック画像

アート好きの楽園と化していた直島を体験していただけに、一体どんな「都市の祝祭」が見れるのかを楽しみにしていたあいちトリエンナーレ。良い面だけを見れば、愛知芸術センターの海外招聘作家と国内の若手作家の一部の作品のクオリティの高さ。未知のアジアの作家たちの思いがけない発想。そして暑さの中、長時間展示場や街頭に立ち、道案内や作品紹介の役割を担ったボランティアスタッフの頑張りなど、評価できる点も多かった。

しかし、全体を通してみると、本気で「都市の祝祭」を行おうという気概は全く感じられなかったし、トリエンナーレという仕組み自体がほぼ想定内で、「祝祭」を感じさせ、都市に住む一般の人々を「ドキドキ」、「ワクワク」させるようなものがなかったことが一番の印象だった。中心会場となった愛知芸術文化センターに入れば「作品展」として面白い展示を見ることができるのだが、それではアートや芸術に興味の無い人々まで巻き込んだ、「都市の祝祭」というテーマとはあまりにもかけ離れているのではないか。愛知芸術文化センター画像1

市内には、越後妻有や瀬戸内ですでにアイコンと化している草間彌生さんの水玉プリウスが走っていたり、通りのあちこちにポスターや垂れ幕が飾られていたりと、「祝祭」ムードを醸し出そうとしているのは分かるのだが、そこから先、じゃあ美術館や芸術センターへ行ってみようと思わせるだけのインパクトや面白みに欠けていていたように思う。主催者側からすれば、様々なパフォーマンスや演劇、ダンスなど、アート以外のジャンルも取り込んでいると主張するかもしれない。しかし、そういったものの愛好者とアートの世界とはほぼ陸続きでしかなく、それらの人々を取り込んだだけで「都市の祝祭」を名乗れると思っているのなら、ちょっと言葉に対する意識が低すぎるのではないか。

もし本気で都市に「祝祭」をもたらそうとするのなら、例えば「あんかけスパゲッティ」や「エビフライサンド」、「甘口抹茶小倉スパ」などいわゆる「名古屋めし」が、期間限定で味わえる場所をメイン会場周辺に設置してみたり、『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』の作者として知られ、愛知県や名古屋市に関わりの深い鳥山明さんの展覧会を同時開催するとか、そういったアートの領域とは接点の少ない人々まで誘い込める要素を散りばめた、名古屋独特のトリエンナーレにしなければ、多くの人が日常を暮らす都市の中に「祝祭」を生み出すことなど不可能だと思う。甘口抹茶小倉スパ

そういう努力を欠きながら、「今年が初開催なので」とか、「不景気で予算的に苦しかった」といった行政側の言い分を聞かされると、じゃあいつになったら本気になるのか、といった疑問や、結局は各地で流行っているアートフェステイバルの流れに乗ってみただけなのかという印象ばかりが残ってしまい、自分までもがそんな流れに踊らされているのように思えてきて、折角楽しんでいたビエンナーレ自体が、「経済効果のための一つの装置」でしかないように感じられる。

今回のトリエンナーレの特徴一つとして挙げられる、繊維不況の結果、以前の活気を失った問屋街の再生を意識して会場に選ばれた長者町地区の展示では、折角その場所にある歴史性や空間的特殊性を作品や展示に活かせる機会があるのに、多くの作家がその場所性を無視し、自分の作品世界だけを提示していた点は、もう少しこの地区が会場が選ばれた理由や、廃墟となった空きビルという空間を意識すれば良かったのではないかと思う。完成度の高い作品なら何も言わないが、そうで無い作品が中途半端に並べられていたらさすがに一言いいたくなる。長者町画像1

結局、作家個人の作品も、トリエンナーレという巨大なフェスティバルも、その中核となる理念のようなものが、外の世界にいる第三者へと届く強さと切実さを持った時に初めて、多くの人の心を動かす存在になるのだと思う。そういう意味で作家やフェスティバルの主催者は、「アートによって何が伝えたいのか」という根本的な問題に立ち返り、自分自身の欲求と外の世界の第三者とをつなぐための作品や空間を真摯に制作していかなければならないのだと思う。
後編へ続く

ウィキペディア あいちトリエンナーレ
あいちトリエンナーレ ウェブサイト
ウィキペディア 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ
越後妻有大地の芸術祭の里 ウェブサイト
ウィキペディア 瀬戸内国際芸術祭
瀬戸内国際芸術祭2010ウェブサイト
ウィキペディア 甘口抹茶小倉スパで有名な喫茶マウンテン
ウィキペディア あんかけスパゲッティ
ウィキペディア 名古屋めし
ウィキペディア 鳥山明
アマゾン 『美術手帖2010年 08月号増刊 あいちトリエンナーレ2010公式ガイドブック』

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
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