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「光の中の少女たち」~京都国際マンガミュージアム『村田蓮爾展』とライブペインティングイベントを観て~

 初めて村田蓮爾さんという作家について知ったのは、ニコニコ動画の中にあった『村田蓮爾美術館』というイラストをスライド形式で見せていく動画を見た時だった。きっと権利的には違法動画なのだけれど、それ以来、記憶の片隅に「村田蓮爾」という作家名がずっと残り続けていた。そして先日、マンガミュージアムで行われていた『フィギュアの系譜』展初日に、同時開催されていたこの展示を観ていく中で、何か言葉でこの作品たちについて書いてみたいと思うようになった。今回、村田蓮爾さんご自身のライブペインティングイベントがマンガミュージアムで行われることを知り、それに取材という形で関わっていく中で見た、その作品の魅力や村田蓮爾さんについて言葉にできることを記してみたい。村田蓮爾展P

まばゆいばかりの光の中で、無垢な姿を見せる少女たちを見ながら、最初に思い出したのは、現在も京都市美術館で開催中の『ボストン美術館』の中で見た、モネの作品の中にある光の効果のことだった。野外制作によってもたらされた鮮明な色彩を表現するために、点描的な手法を用いたモネ。それまでの絵画にはない、圧倒的なまばゆさを手に入れたモネは、その光によって睡蓮や積わらの風景の中に生まれる、その一瞬がもう二度と戻らないかけがえのないものであるということを表現したのだと思う。

それは当時のフランスで流行した日本の浮世絵の中に結果的に込められていた、「もののあわれ」や「せつなさ」といった存在と同じで、自身の中にもあったそんな思いを絵画の中に込めたということが、少なくともモネの絵画の中にはあるのだと思う。そうでなければ、最初の妻の死顔の、刻々と変化していく様子を素描で描き残そうとするような行為はしなかっただろう。光の変化によって作り出される一瞬。開きかけた睡蓮の花の淡いピンクが作り出す「せつなさ」。そういったもと共通するものを村田蓮爾さんの作品の少女たちにも感じることができる。睡蓮1

そんな風に考えていくと、村田蓮爾さんの作品に描かれた少女たちは、鈴木春信や歌麿が描いた「美人画」の系統をきっちりと受け継いだもののように思えてきて、まばゆい光の中で表情豊かに描かれた少女たちの、もう二度と戻らない一瞬の「せつなさ」に思わず目を細めてしまいたくなる。そしてだからこそ一見日常のありふれた瞬間のようでありながら、もう二度と帰らない一瞬を切り取った作品として、国内だけでなく海外でも多くの人々から評価される「美人画」になりえているのだと思う。

そんな少女たちを描く作家がどんな人なのかは、「一番最初の方は昨夜の3時に並ばれた」という熱狂的なファンでなくとも気になるところ。さらにカラスケース内に収められた鉛筆書きの「原画」の質の高さを見ても、ぜひともライブペインテングが観たくなる。そんな期待を胸にして臨んだイベントは、誰もが気軽に参加できるものというよりも、主に10代後半から20代の村田蓮爾ファンであり、自身もイラストを描いているような若者たちのワークショップ的な「ガチ」なエネルギーに満ちていた。村田蓮爾さん作品2

第一印象としてはちょっと近寄りがたい雰囲気を漂わせていた村田蓮爾さんは、全身黒づくめの服装で登場。司会者からの紹介も早々にあいさつ代わりとして自身の中で、「最もスタンダードなキャラクター」という「たけおちゃん」のライブペインティングを披露。描きながら質問に答えていくという、素人からみれば離れ業のような描き方でさらりと絵を完成させていく。さらには観客の要望に答え、まるで下絵があったかのように描かれていく人物たちにはそれぞれに魅力があり、そこで何かが生み出されていく臨場感を味わうことができた。

しかしイベント全体としては質問する若者たちの緊張した空気が最後まで会場を覆い、一般の人には分からない用語や制作に関する技術的な質問が多く、「村田蓮爾さんアレンジによる『ちびまるこちゃん』のたまちゃん」が見たいと思っていた人間にとっては肩苦し過ぎた。イベント後のサイン会でファン暦10数年という方に聞いた話では、「村田さんはライトノベルベやゲームのイラストレーターの先駆者のような人だから、リクエストをして描いてもらえる機会はない。ここはどうなっているのかとか知りたいことがあるから今日のような感じになったのでは」ということだった。村田蓮爾さん作品1

サイン会終了後、、折角話を聞ける機会があるんだからと控え室まで同行し、イベント中に思ったことや、先ほどのファンの方からの話を元に「聞きたいことがあるんですが?」と尋ねてみた。すると村田蓮爾さんは第一印象とは違った打ち解けた感じで、「何かに萌えるとかフェチとかってあるんですか?」という質問に、「ショートカットの女の子というのが好きで、色はオレンジが一番好き」と「たけおちゃん」に込められているであろう要素について回答。

その答えに勢いづけられ、「お尻や胸に対するこだわりについても教えてください」と言ってみると、少し呆れたような照れたような感じで、「巨乳とかよりお尻が好きなんで、お尻の丸みとかパンツの食い込みとかいいですよね。でも胸がぜんぜんないのも寂しいんで、ちょっとあるぐらいに描くことが多いですね」とその辺のこだわりについても聞くことができた。村田蓮爾さん作品3

さすがにそれが最後の質問ではまずいと思い、「ではこれからどんな風に作品を作り続けていかれたいですか?」と問いかけると、村田蓮爾さんは真面目な顔に戻り、「自分の求める絵は描けてないんで、毎回描きながらそれより良い絵を作る努力をしている。もっといいものができるはずだけど、上手く描けないから、もっといい絵を描きたいです。絵は終わりがないんで、どこまでいっても満足できないんで」とこちらの身まで引き締まるような回答で質問を締めくくった。

正直、あれだけのクオリティ-の絵を描ける村田蓮爾さんから、そのような言葉が発せられるとは思ってもいなかった。しかし「小さい頃から絵が上手かった訳ではなく、いとこのお兄ちゃんが電車とか描いてて、それを貰ったり、絵を教えてもらってて、上手く描けたら楽しいじゃないですか」という言葉を信じるならば、イベントでの「描けなくなることってありますか?」という質問に対し、「今でも描けない時はあって、じたばたする以外にないです。ずっと絵を描くしかなくて、自分の気に入った線が描けるまで努力するしかない」という言葉が本来の村田蓮爾という作家の姿なのかもしれないと思った。

京都国際マンガミュージアム 村田蓮爾展紹介ページ
ウィキペディア 村田蓮爾
村田蓮爾さん公式ホームページ
京都市美術館 ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たちのページ
アマソン 『村田蓮爾責任編集 「robot」 vol.6』
アマゾン 『村田蓮爾責任編集 「robot」 vol.10』
アマゾン 『村田蓮爾責任編集 「robot」 vol.4』


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Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
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