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『きらめく星の数々』~京都国際マンガミュージアム・フィギュアの系譜展を観て後編~

 1部の「海洋堂前史」の部屋を出て、すぐ左手にある狭い通路。急いでいれば通り過ぎてしまうような奥まった場所を通り抜けた先に広がっているのが300点以上に上る海洋堂作品の展示。以前から個々の作品の凄さは知っていたが、決して広くない空間に高密度に凝縮して見せられると、その凄さに有無を言わせない迫力が生まれる。

もともと形状、色彩といった細部にまでこだわり抜いたクオリティーを誇る海洋堂作品なだけに、一度1つの作品の前で足を止めその細部を目で追い出すと、時間を忘れて見入ってしまう。特に入った左手にあるウルトラマン関連の作品が並べられた場所のカネゴンのフィギュアは、成田亨さんの斬新なキャラクターデザインと相まって、独特の世界に引き込まれる。カネゴン

ウルトラマンをリアルタイムで見たことのない世代にとって、1部の部屋にあったソフトビニール製の怪獣たちでさえ、極めて現代美術的面白さを感じるのだが、ここまで精巧かつ緻密に再現してあると、その不思議なフォルムや色彩に、視点を移しながら長時間見続けてしまう凄みがある。原型制作者は中澤博之さんという方らしく、電柱の上で思案するカネゴンの姿は、その方が独自に考案された設定らしいが、当時の時代背景やカネゴンという怪獣の悲哀を巧みに演出している。

入り口付近の特撮関連の展示から奥へ進むと、次はアクションフギュアと言われる関節可動式のフィギュア展示へと続いていく。「リボルテックヤマグチ」という開発者・山口勝久さんの名前を冠したシリーズたちは、歌舞伎で言えば見得を切るように、アニメや歴史上の人物やロボットが様々な「決め」ポーズを取ることが可能。人形としてどうしても動きの少なかったフィギュアの世界に動きをつける面白さをもたらした画期的な技術だという。リボルテックヤマグチ初号機

それまでにもマクファーレン・トイズ社の『スポーン』が関節可動式を採用してヒットを飛ばしていたが、海洋堂は、『北斗の拳』シリーズなどで積み重ねてきた技術に山口さん独自の発想を注入し、関節可動率が格段にアップ。大ヒットした「エヴァンゲリオン初号機」のポーズ再現率は多くのフィギュアファンに「革命的」とまで言わしめた。現在ではその技術が美少女フィギュアにまで転用され、様々なアニメシーンが再現可能になるなどファン拡大に大きく貢献しているという。

そこから右手奥に展示されているのは、一世を風靡した「チョコエッグ」をはじめとする食玩やボトルキャップシリーズの作品群。一見すると何でもない動物フィギュアだが、そのシリーズごとの動物のチョイスや、それぞれの動物の特徴を最も現した動きの切り取り方は松村しのぶさんろいう造形作家あってこそ。プロの博物館員や海外の造形作家たちをも唸らせる手腕は、『ゴジラ』や『エヴァンゲリオン初号機』でも発揮され多くのファンに支持されているという。ニホンザル

ちなみにこれらの情報はこの日が展示の初日ということで、設営や展示の最終チェックに来られていた海洋堂フィギュアミュージアムの方に教えていただいた話や、今週末に開催されるワンダーフェスティバルについて学ぶための資料として読んだ宮脇修館長の『創るモノはきらめく星の数ほど無限にある』や、あさのまさひこさんの『海洋堂マニアックス』などの情報を元にしたものです。(作品自体の凄さや面白さは理解できるが、作品詳細についての知識は皆無なので)

展示室の一番奥、ロボット系フギュアの最後を飾るのは谷明さんの作品群。第2次世界大戦で活躍した戦車などを食玩としてシリーズ化したワールドタンクミュージアムで知られる造形作家が最も得意とする分野で、その造形力を最大限に発揮した『ファイブ・スター・ストーリーズ』のヤクトミラージュというロボット兵器は必見。周囲の原型師からも天才的とまで言われる凄さが、作品背景やガレージキットという名称すら知らない者にも伝わる作品となっている。ヤクトミラージュ

これら特撮、ロボット、動物系のフィギュアの後に続くのが、美少女フギュアなど女性キャラクターを中心とした作品群。村上隆さんとのトークショーで自らの作品史の大枠を話されたBOME(ボーメ)さんの代表作『鬼娘』や、村上さんとのコラボ作品『KO2ちゃん』のナースバージョンが見られるなど、まとまった数のBOME作品が展示されている。その中の幾つかには、確実に「萌え」という言葉でしか表現できない不思議な吸引力を芽生えさせるものがあり、トークショーでBOMEさんが話していた「立体を所有したい」という気持ちが理解できる気がした。

そんな「萌え」要素を個人的に最も掻き立てられた作品が、大嶋優木さんの造形された『新横浜ありな』。2004年のベネチアビエンナーレ日本館の公式カタログのおまけとして制作されたフィギュアであり、その作品自体は何度も写真で見ていたが、実物の威力は圧倒的。「魚の造形が好きで海洋堂に入ったので、美少女系はあまり得意ではない」という海洋堂スタッフの方でさえも、「これは私にも来るものがある」と言わしめるだけの破壊力が、なぜ10センチ四方にも満たないあのフィギュアに宿っているのか今だ謎のままである。新横浜ありな

最後にぜひ紹介しておきたいのが、世界名作劇場などのヴィネット(作品世界を凝縮したジオラマ風フィギュア)で知られる香川雅彦さんの作品群。『赤毛のアン』や『アルプスの少女ハイジ』といった名作アニメから『カードキャプターさくら』まで、そのアニメ世界が数センチ四方のフィギュアの中に凝縮された作品群には、何か特別な魔法でも用いたかのような不思議な力が宿っている。

このようにそれぞれに得意技を持ち、フィギュア造形に対する高い戦闘力を誇る「海洋堂」という造形集団。元は一坪半しかなかった大阪の一模型店が、ここまでの知名度とブランド力を誇るまでになったのは、「好きを極める」という「おたく」スピリットと、それを厳しくも暖かい目で見守り続けた創業者の人間力の賜物なのだと思う。
前編を読む
ウィキペディア 海洋堂
ウィキペディア 成田亨
ウィキペディア アクションフィギュア
ウィキペディア リボルテック
ウィキペディア 松村しのぶ
ウィキペディア 谷明
ウィキペディア ワールドタンクミュージアム
ウィキペディア ガレージキット
ウィキペディア 大嶋優木
ウィキペディア ヴィネット
ウィキペディア カードキャプターさくら
アマゾン 宮脇修著『創るモノは夜空にきらめく星の数ほど無限にある―海洋堂物語』
海洋堂 リボルテックヤマグチ紹介ページ

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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