スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
関連エントリー
この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - スポンサーサイト
関連エントリー
関連エントリー

「萌え+ドーパミン=最強」BOME×村上隆トークショーを聴いて

 最近、カオスラウンジ界隈や、ニコニコ生放送での『芸術実践論』講義など、なにかと話題の村上隆さんが京都国際マンガミュージアムに降臨。美少女フィギュア原型師・BOME(ボーメ)さんとのトークショーが行われたので参加してきました。フィギュアについては、この分野の最良の教科書『海洋堂クロニクル』を数年前読んだ以外にほんとんど知識はなかったけれど、その方が偏った偏見にとらわれず話が聴けて面白かったように感じました。では原型師BOMEさんの「萌え+ドーパミン=最強」の歴史を辿っていきましょう。海洋堂クロニクル

司会者の紹介直後、「マンガは来て読めますが、外国のミュージアムと違い見るものがなくて戸惑っていらっしゃる方も多いかと思いますが…」と村上さんの西洋的ミュージアムとの比較からから始まったトークショーは、スライドと共にBOMEさんの作品の歴史を辿っていくものだった。「いってみればエロの対象」とフィギュアの存在を要約した村上さんは、しかし「キモいレベルからの、ただキモいだけじゃない感じになっていく。人間というものはただエロから生まれて美というところまで昇華するのではないか。最初のものと出来上がったものとのギャップ。BOMEさんはエロフィギュアを創る造形師として、25年ぐらいで300点ぐらい創ってこられましたが、最近ではアーティストとして評価をされています」とBOMEさんを紹介。

それを受けたBOMEさんは「僕自身が好きでものを作っていて、自分が好きでやってるからアーティスト活動と言われるのは違うのじゃないか」と極めて謙虚な応答。80年代、それまで全くフィギュアというものが存在しなかった時代から、試行錯誤を繰り返し現在に至った経緯に話は進んでいった。「一番いいラムちゃんを誰が作れるか」という挑戦から始まったという美少女フィギュアの歴史。『うる星やつら』のヒロイン・ラムちゃんは「当時のおたくたちのマストアイテムで、コミケではラムちゃんさえ上手く描ければ凄い売れる」という状態だったのだという。『ラムちゃん』BOME

それに対し村上さんは、「パリのサロンモデル・キキが多くの芸術家にとってミューズであったように、おたくたちはラムちゃんに出会った。歴史はどんどん変化していきますから、100年経ったら今はバキバキになったラムちゃんのフィギュアが芸術作品になってるかもしれない所が芸術の面白いところ」と応じた。「これがなかったらフィギュアやおたく文化はなかったかもしれない」というラムちゃん以降は、「マニアの中でロリコン=クラリス(ルパン三世カリオストロの城)となった時期があって宮崎駿さんが激怒した」というクラリスなど、「黎明期は方法論やフォーマットもなければ作り方もわからない。それを立体化したいという思いだけで創ってますから鬼気迫ってますね」と村上さんが解説する作品群を紹介。

その後は、アニメOVA時代のフィギュア作品群の紹介と共にBOMEさんの制作に対する思いが語られていった。「BOMEさんが語るおたくとは?」との村上さんの質問に対し、少し気弱に「研究者とか」と答えたBOMEさん。「一番その時々に新しいものを探すとか、土日に大阪の日本橋を探したり、夜な夜な帰ってきて他のおたくどもが何をしているのか探したり掘り出していく」という活動を通しておたく的感性を磨き続けているという。そして世界初の等身大フギュアとして登場した綾波レイのスライドでは、「頼むからもう一回作り直させてくれ!」と衝動的に発言。関係者席にいらした海洋堂の宮脇修一取締役が「やるなとはいってないぞ」とそれに応じ、『等身大綾波レイ』の再制作の可能性が出てきた。綾波レイ

それまでの「おたく」ではなく、多くの「オタク」を生んだ『エヴァンゲリオン』という作品については、「貞本さんが大好きでDAIKON4でアニメーター、『王立宇宙軍』で作画監督となって、綾波の『エヴァンゲリオン』でついにブレークしたなと。『トップを狙え』を作ったガイナックスが作る『エヴァンゲリオン』がみんなに面白いぞと言ってたんですけど、誰も見てくれなかった」と放映当時の思い出を語った。そんなBOMEさんのテンションの上昇に村上さんは、「パッションが抑えきれずに出てきているのが海洋堂さんのメンバー」と解説。さらにBOMEさんは『フルメタルパニック』や格闘ゲームのキャラクターについての熱い思いを披露した。

村上さんの「1体のフィギュア作るのにどれぐらいかかるか」という質問に対しては、「悩まなければラフで1ヶ月、2週間で作って塗装が3日とか。僕が発出するドーパミンが出るのならば勢いでできるが、悩んじゃうとしばらく置いとかないとできない」と制作欲求に比例した期間があると回答。「オタクの人たちにとってはファッションと似た最新モードというがあって、業界のモードをウォッチングしながら自分たちのオリジナルを出していかないとというのもあるんで」と流行と自己の創作とのバランスの難しさも語った。鬼娘BOME

最近挑戦している等身大フィギュアの制作については、「はっきりいって楽しいですね。ここで(制作場所)で働いている人に言われたのが、『お昼や3時にも休まずやってるのは驚いた』。ずっと粘土を触っていじくってるのが楽しい。(等身大は)手の全体で作るから違う。油粘土ではできないのが面白かった。今日はドーパミンが出てしゃべりまくってる」と笑顔を見せた。そんなBOMEさんに対し村上さんは、「マンガ家の先生たちがボーメさんの作品をセレブレートしに来るという、ある種のキャステングされたことが歴史として進行している」と俯瞰した視点でのコメントを述べた。

「現代美術には西洋から来たルールがあって、それの中にどういう風に組み込まれていくか。絵で描く絵空事を偶像的に置き換えていくことでは、アニメというお題はもうあるが、造形力を競っての立体造形は芸術的な行為だ」と村上さん。それに対しBOMEさんは、「そう言われればフィギュアは造形の芸術世界だと思うんですけれど、根本的には立体を持ちたい、触りたいというのがあって作り続けていると思う」と創作の源にある根本欲求について正面から向き合った言葉を語った。1時間という限られた時間はあっという間に過ぎ、BOMEさんの一人の制作者としての真摯な姿が印象に残るトークショーだった。「アニメ」や「おたく」、「萌え」や「エロ」といった固定観念の先にある思いと、造形物としてのクオリティーの高さがBOME作品を芸術たらしめているのだと思った。

ウィキペディア 村上隆
海洋堂ウェブサイト ボーメ(BOME)とは
京都国際マンガミュージアム 夏の特別展 フィギュアの系譜展--土偶から海洋堂までウェブサイト
ウィキペディア 『うる星やつら』
ウィキペデイア 『ルパン三世 カリオストロの城』
ウィキペディア OVA
ウィキペディア 『新世紀エヴァンゲリオン』
ウィキペディア 貞本義行
ウィキペディア DAICON FILM
ウィキペディア 『王立宇宙軍 オネアミスの翼』
ウィキペディア ガイナックス
ウィキペディア 『フルメタル・パニック!』
あさのまさひこ著『海洋堂クロニクル―「世界最狂造形集団」の過剰で過激な戦闘哲学 (オタク学叢書)』
DP るーみっくわーるど 海洋堂 ボトルオンフィギュアコレクション by BOME Vol.1 ラム 全2種セット

【関連記事】
『海洋堂前史』~京都国際マンガミュージアム・フィギュアの系譜展を観て前編~
超個人的「ワンダーフェスティバル(ワンフェス、WF)」2010夏、体験レポートその1「開戦前場内」
「光の中の少女たち」~京都国際マンガミュージアム『村田蓮爾展』とライブペインティングイベントを観て~
「かなり残念なイベント」~文化庁メディア芸術祭京都展・宮本茂さんと養老孟司さん講演を聴いて~
「忍び寄る悪夢」~兵庫県立美術館コレクション展・束芋『dolefullhouse』(ドールフルハウス)を観て~
「幾つもの架け橋」~「京都芸術」トークイベント第二部「京都でアートを見せること」を聴いて~
「スーパーリアルな革命」~「京都芸術」に関連したKyoto家Galleryを巡って~
「遭遇、梅佳代さん」~梅佳代写真展「ウメップ」シャッターチャンス祭りinうめかよひるずを観て ~
0000(オーフォー)の現在(いま)~0000が関連した3つの「京都芸術」イベントを観て~
カオス(ラウンジ)世代のリアリティー~くまおり純の場合~
極めて葬送的な『ハートキャッチ!かおすら!』ユーストを見て
『死なないための葬送』としての『はめつら!』
カオスラウンジの何が凄いのか~関西初上陸、『かおすら!』展を見て~
『アートが創る熱い夏』~瀬戸内国際芸術祭2010「直島」を巡って~その1
「ありふれたものの凄さ」~建築家・藤森照信さんの「土と建築」講演を聴いて~
京都ボスキャラの集い~京都藝術オープニング「SANDWICH(名和晃平さんのスタジオ)×仔羊同好会イベント」に参加して~
「確かに面白くはあったのだけれど…」メイドラウンジin台湾~「カオスラウンジ・オープニングイベント」ニコニコ生放送を観て~
「孫正義にみる言葉の力」~ソフトバンクアカデミア開校式『孫の2乗の兵法』Ust(ユースト)を聴いて~
ムーブメントを生み出すために~メディア芸術フォーラム大阪・シンポジウムに参加して~
超解釈!『ネットワーク時代のクリエイティヴィティ「神話が考える」をめぐって福嶋亮大×浅田彰』
あずまん(東浩紀)が見た破滅ラウンジのリアリティ
ささやかだけど心に届くもの「植田正治写真展『写真とボク』」
凄かった!京都造形大『FRESH MEETING!(フレッシュ ミーテング)』
会田誠さんのジレンマ、そして可能性
エヴァ的に解釈するGEISAI大学放課後討論会
カオスラウンジの意味
GEISAI大学討論会での黒瀬陽平さんのヘタレ受けの見事さ
彼らは一体何なんだ?そして未来の可能性
カオスラウンジで注目の黒瀬陽平さんが投げ掛けた問い
ユーストリーム(Ustream)配信失敗の教訓
デジタル技術の進化における模倣や複製の可能性
スポンサーサイト
関連エントリー
この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 「萌え+ドーパミン=最強」BOME×村上隆トークショーを聴いて
関連エントリー
関連エントリー

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー) URL

プロフィール

阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

全記事表示リンク
全ての記事へのリンク(ジャンル別)

全ての記事を表示する

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
ユーザータグ

京都 歴史 アニメ 映画 秀作 動画 日本 美術 洋画 古典 講演 現代美術 傑作 ギャラリー  YouTube 舞台 京大 建築 江戸時代 探求 イベント マンガ 庭園 大阪 寺社 寺院 物理 宇宙 アート 監督 紅葉 美術展 ラブストーリー 奈良 国宝 ノンフィクション グルメ フランス 見学 時代劇 アクション 音楽 ドキュメンタリー  タイトル 世界  歌舞伎 押井守 仏像 攻殻機動隊  涼宮ハルヒ I.G 神山健治 くせになる 悲劇 博物館 鎌倉時代 東京 Production Youtube 解説 戯曲 魔術 リアル 詩情  前衛 広島 芸術 化物語  戦争 菩薩 お寺 離宮 仙人 茶室 医療 西洋美術 個展 香港 デザイン 皇室 絵画 邦画 テレビ 枕草子 漢詩 闘病 原作 宮崎駿 旅行 長谷川等伯 IG シェイクスピア 講演会 滋賀 トークショー 狩野探幽 海外文学 出会い 洋楽 日本画  祭り 荒唐無稽 中国 ジャンル   ニコニコ 二次制作 報告 肖像画 和歌 探求京大 思想 ヨーロッパ 印象派 ゲーム 手塚治虫 笑い 

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
フリーエリア
FC2 Blog Ranking 人気ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。