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ささやかだけど心に届くもの「植田正治写真展『写真とボク』」

 昨日、旅券関係の用事で京都駅まで行ったついでに見た植田正治写真展。最近はちょっと忙しく、考察的文章は書けませんが、とりあえずということで…。植田正治写真展

関東のtwitterフォロアーの方が「何で東京でやらないんだ」といった感じでつぶやかれていて、そんなに良いのならば、と何も知らずに行った写真展。植田正治という名前も、どちらかと言えば写真を見るのが下手なので半信半疑でしたが、この写真展とても良かったです。

特に初期の画面構成力や、黒の存在感。その黒の中には作者の持つ、締りのある人間性が映し出されているように思えました。静謐でありながら、心の奥まで強く届く詩情のようなものがあって、これほどの作家を全く知らなかったなんで…と思える力を感じました。

また時代でしょうか、デ・キリコのシュールレアリズムを思わせる作品にも出会いました。そこで生み出される実際には見たことがないけれど、なぜか心に刻まれている心象風景のようなものも良かった。安定感だけでなく、若さが生み出す精神的、発想的キレも感じられ面白かった。植田正治『小さい伝記』

中期以降の作品には、遠すぎも近すぎもしない被写体との程よい距離感が見ていて心地よく、また被写体からではなく、画面全体から伝わって来る懐かしさのようなものが、この忙しい世の中だからこそ逆に染みてきて好感を持ちました。

「写っている人たちにとっては、今日に生きた証として片隅の小さな伝記になるのではないだろうか」と語った植田正治。出会っては去って行く人々との一瞬の交わりを愛情を込めて写し続けていく、そんな程よい距離感と温もりが心に響く展覧会でした。

『植田正治写真展 ~写真とボク~』
JR京都伊勢丹7F 美術館「えき」KYOTO
◆2010年5月21日(金)~6月13日(日)[会期中無休]
◆開館時間:午前10時-午後8時(最終日午後5時閉館)入館締切:各日閉館30分前
◆入館料:一般800円(600円)/高・大学生 600円(400円)/小・中学生 400円(200円)

JR京都伊勢丹7F 美術館「えき」KYOTO ウエブサイト
ウィキペディア 植田正治
アマゾン 『植田正治 小さい伝記』

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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