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カオスラウンジの意味

カオスラウンジ画像2 GEISAI大学放課後討論会のユースト(Ust)ライブ放送から一週間。ライブ、アーカイブの視聴者は延べ7500人を越えた。しかし流れの早い世の中にあって、カオスラウンジという言葉自体、すでに一部の当事者を除けば忘れ去られているのかもしれない。

そんな中、なぜ当事者でもない自分が、カオスラウンジやその周辺人々に、尽きることの無い興味を抱き続けるのか。そしてその興味によって何が導きだされるのか。この一週間、決して頭の隅を離れなかったカオスラウンジ問題に、自分なりの答えを出してみたいと思う。

ネット上に蠢いていたカオス的な創造力が、アートの領域に取り込まれた瞬間。

あの討論会がなぜあれほど熱量を持っていたのか。なぜ一週間もの間、カオスラウンジ問題が頭から離れなかったのかを考え抜いた結果、出てきた答えがこれだった。そう考えると、今でも微熱のように続いている自分の中の興奮や色んなことが理解できる。ああ、自分は歴史的な瞬間に立ち会ったのだと。

きっと多くの人は何を大げさなと、この意見を否定するかもしれない。しかしそんなことは、これから少しずつ解き明かしていく問題の先にあるものを見てから言って欲しい。果たしてその時、あなたは今と同じ気持ちで何を大げさなと言えるだろうか。

幾つもの視点や状況か絡み合ったこの問題をひも解いていく上で、最も重要な視点となるのは村上隆さんの視点だ。そして今回のカオスラウンジ問題は、これまでの村上さんのアーティスト活動の一環という文脈で読み解いていけば、かなりすっきりとしたものになる。マイ・ロンサム・カウボーイ

村上さんの代名詞とも言える『スーパーフラット』の概念。それが残した最大の功績は、アートの文脈にオタク文化を取り込んだことだ。それは16億円で落札されたマイ・ロンサム・カウボーイのフィギュアや、村上さんの後続世代の多くが、その文脈に依存しながら世界の舞台に登場していったことからも明らかだろう。

そして2003年に売り出されたルイヴィトンとのコラボ『モノグラム』シリーズや、自身のフィギュアを海洋堂とコラボし、食玩として販売した活動は、資本主義社会に流通する商品の中にアート要素を刻むことで、既存のアート概念を押し広げることに成功した。

このように見れば、村上さん活動の一面がアート外のジャンルをアートの領域に取り込むという側面を持っていることがわかる。そして今回の展示も、まだアートとして認められていないカオスラウンジのメンバーの作品と、自身の作品を同空間に置くことで、アートの概念をウエブ上のN次創作にまで広げる意図があったのだと思う。村上×ルイヴィトン

そう考えれば、村上さんが放送の最初、カオスラウンジのメンバーたちの過去のアート歴やアートに対する考え方を再三尋ねていたのも理解できる。そしてそれに対し、メンバーのほぼ全員があいまいな回答しか持たなかった点も納得できる。そう彼らの中には自身がアーティストであるという自覚がないのだから。

そのような彼らに対し、村上さんが深く関わた理由は、「カオスラウンジやネットの中にクリエイティブなフィールドが立ち上がろうとしている跳躍力を感じだ」というもの。そしてだからこそ、自分にはまだ理解できていない「カオスラウンジの新しさ」や「コンセプト」について尋ねたのだ。

さて、6時間半の討論会の中で答えの出なかった「カオスラウンジとは何か」という問いに戻ってきた。この問いに答えるためには、まずカオスラウンジの主要メンバーが活動場所とするピクシブ(pixiv)という空間について考える必要がある。

ネット上でイラストを自由に投稿しできるサイト・ピクシブは2010年1月現在、会員150万人。1日に1500枚以上のイラストが投稿されている。そしてそこではカオスラウンジのメンバーの作品と同様、さまざまなキャラクターのN次創作で溢れている。

ちょうどその空間は19世紀後半、フランスで始まった無資格、無審査の展覧会・アンデパンダン展や、その流れを踏襲したGEISAI的要素を持つだけでなく、ウェブ上の特性である物理的、時間的制約もない。絵を描きたいという欲求さえあれば、圧倒的に低いハードルで作品を発表できる。

そしてその圧倒的なハードルの低さは、彼らの持つ「小さな創造力」にまでおよんでいる。従来、絵を描いたり、何かを創作する場合、アーティストとしての自覚や、幾つかの物理的手順を経る必要があった。しかし、ウェブ上の制作や発表は、そんな自覚や手順の一切を省略した。カオスラウンジ画像1

そこからさらに、なぜ彼ら作品のモチーフがアニメキャラ的N次創作が多いのかを考えてみると、そこにも彼らの「小さな創造力」の影響がある。つまりアーテイスト的自覚も、大きな創造力も持たない彼らにとって、彼らの好むアニメキャラこそが、その創造力の憑り代(よりしろ)となっているのだ。

その結果生まれたN次創作的作品は、確かに創造力の面か見れば小さな存在かもしれない。しかしその大量なカオス的空間の中の一握りには、今回のカオスラウンジの作品のように、これまでアートの文脈では決して生まれてこなかった多様で予想外の表現が含まれている。

現在、そういった現象はピクシブの中だけでなく、ニコニコ動画やWEB漫画など、多くのユーザーが祭り的に参加する日本的情報環境の中で同時多発的に起きている。著作権の締め付けや、一次創作の隙間から生み出された表現が、雪崩(ゆきなだれ)式に多様な表現を生み出し、そこにさらなる追随者を生み、よりカオス的な状態を作り出している。

これまで何かを表現することのなかった多くの人が、ネットというカオス的情報環境の中で結びつき、互いに刺激し合いながら新たなものを生み出していく。そんなネットで起きている現象の現れが、アートの世界と融合した瞬間が今回のカオスラウンジ展であり、あの討論会の熱気の意味だと思う。

アーカイブ化されたGEISAI大学の討論会
途中から切れていたGEISAI大学討論会のユースト続き
ウィキペディア 村上隆
ウィキペディア pixiv
ウィキペデア ニコニコ動画

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
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