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凄い本12 清少納言著、萩谷朴訳『枕草子』

 「春は曙」など日本人の美意識についての随筆として知られる『枕草子』。しかし本当に凄いのは清少納言と中宮定子の間に生まれた当意即妙な二人の信頼関係の物語にこそある。
枕草子
古典の面白さなどまだ知らなかった学生時代、何かの紹介文で取り上げられていた『枕草子』が気になって、様々な訳者の本を読み比べ、辿り着いたのが萩谷朴訳の『枕草子』。原文に朱色の現代語訳が加えられた一見難しそうな本だが、初心者でもバリバリ噛み砕いて読める気配りと解説が細部まで加えられている。

洋書や古典を含め、訳者がいかにその本に愛情を持っているかが訳本の命だと知ったのもこの本のお陰。紫式部に比べれば、軽薄なエッセーの書き手と思われることもある清少納言。そんな彼女が定子に仕えた年月を、深い愛情と探究心を持って上下巻・約800ページの本にまとめたのがこの本。

断片的に描かれた清少納言と定子とのやり取りは、今から1000年以上も昔の人々が行ったとは思えないほど切れ味が鋭く、また楽しい。華やかだった定子の周辺を、さらに輝かせた清少納言の才気を愛した定子。そんな素晴らしいし主従関係が、まるで風の前の塵のように、失われてしまった背景を知れば、その輝きはより一層まばゆく見える。

窮地に陥った定子の周囲からは次々と人が離れていく。そんな中でも気丈に振舞う定子に、明るい話題を提供しようとする清少納言の姿はあまりのも健気で胸を打つ。136段、周囲の誤解によって定子と離れて暮らしていた清少納言の元に定子からの伝言が届く。早く返り咲けというメッセージを込めた山吹の花びらに書かれていたのは、「言いわで思うぞ」(私の気持ちなら言わずともわかるだろうに)という一言だった。

ウィキペディア 枕草子
ウィキペディア 清少納言
アマゾン 『枕草子』(上) 新潮日本古典集成 第11回
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テーマ : 読書 - ジャンル : 小説・文学

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Tag : 古典 京都 枕草子

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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