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「更新されゆくリアリティー」~鈴木謙介さんが参加した京大11月祭公開討論「いま、大学で<学問>することの意味」を聴いて~

 事前にtwitterのタイムラインで知っていながら、前回書いたアニメ関係の講演を優先したため、終盤の質疑応答からしか聴けなかった京大アカデメイアという団体が主催した「いま、大学<学問>する意味」という討論会。最後の1時間とそのあと個別に話しをした部分しか知らないけれど、初めて会った鈴木謙介さんという方の切れ味鋭い言葉の力には驚かされた。情報環境が激変している今という時代のリアリティーを更新しながら、惜しみなくその「知」を波及させようとしているその人の言葉を中心にこのイベントを振り返ってみたい。11月祭ちらし1

文化系トークラジオや『ウェブ社会の思想』という本で接した経験から、一応はその人物を理解したつもりでいた鈴木健介さん。twitterで流される情報など必要なものだけは接していたが、初の討論会情報を得ていながら、同じ棟内で行われていたゲームシナリオライターとして有名な麻枝准さんの講演を優先してしまっていた。だからその講演が終了し、様子見程度で覗いたこの討論会でこれほど熱い論議が交わされていたとは思いもしなかった。

すでに始っていた質疑応答では、いきなり「鈴木謙介さんの学問する動機は何ですか?」という直球の質問が問い掛けられ、それに対して鈴木さんも、「主体的に学問を選んだ訳ではなかったが、やっていく内に大義が生まれてきた。高学歴ワーキングプア問題や今の社会のもっとこうすればいいのにと思うことに主体的に取り組むことがそれで、すでにそこからは降りようにも降りれないなと思う」と返答。司会の方が「見た目とは裏腹に誠実に話していただきました」と突っ込みたくなるほど真剣な答えだった。カーニバル化する社会画像1

しかし実祭、そんな突っ込みを入れたくなるような格好を鈴木謙介さんがしていたことも事実だった。両サイドに分けた前髪は金髪という以上に黄色く染め、残りの部分の黒髪との対比が際立つており、白をメインにしたパンク系の衣装に多量のシルバーアクセサリーを付けた姿は普通に見たら絶対、関西学院大学准教授だとは思われない格好だった。個人的にはそのギャップが面白く、twitterのアイコンの真面目なイメージから大きく異なった、一見型破りでありながらその奥には理路整然としたところがある人物のように思われた。

質疑応答の質問のほとんどは鈴木謙介さんに向けられたもので、それに対して「どんな会社や組織でも上に行く時に仕事が振られる。その時にそれに対応できるようにしておくこと大事」とか、「研究を続けながら食えるような環境を作っていくためには、お金や人脈を引っ張って来れるヤツを世渡り上手というだけで否定せず、つないで大事にしておくことも必要」といった自身の経験から得たであろう率直な意見で聴衆を沸かせた。京都大学画像2

また、この討論会最大の問題とされていた「大学で<学問>する意味」については、今の大学が社会に対し「開き方が分かっていない」という鈴木さんの意見に皆が同意しながらも、大学で学び続けるためには、「生活を豊かにするGDPじゃない方向への変化が必要」とか、「制度の改変がないと<学問>と仕事との両立は難しい」といったこれまで散々言われ続けてきた抽象論を繰り返すのみで、ではどのように制度や人々の意識を変えていけばよいのかという具体論を提示できていないことが致命的だったように思う。

その中で鈴木さんのみが、「働きながらの勉強はダブルキャリアであり、そのためには時間がどうしても必要。だからどんなに遅くまで飲んでいても朝5時か6時には起きれるよう体を鍛えてきた」と生活を変えていくことで生み出される具体な変化を例として挙げていた。最後に「折角このような場所に集まったのだから、近くの人とtwitterのアカウントなどを交換して盛り上がっていけばいい」という鈴木さんの意見に従って、近くにいた女性に、討論会の前半にどんなことが話されたのかを訪ねていると、その女性は鈴木さんの知り合いらしく、「今から話に行きましょう」と教壇前にいた鈴木さんと話す機会を作ってくれた。文化系トークラジオ画像1

直接話した鈴木さんは、こちらが尋ねた質問に気さくに答えてくれる「開かれた人」で、その型にはまらない自由な感じがとても気持ちよかった。大量の情報を消化しながらどのようにして「見晴らしの良い場所」を確保しつづければいいのかという問いに対しては、「実はほとんどの情報はゴミなんで、RSSリーダーの新着情報も慣れればすぐに飛ばせるようになる。大事なのはネットにない情報、検索しても出ない情報をどれだけ知っているかだし、人と同じ情報の入れ方ではダメ」と意外にもアナログな情報の重要性を挙げていたのが印象的だった。

また最近強く感じている上の世代の古い「知識」に安住したまま、リアリティーの更新がされていない状態については、「新しいから良いというのではなく、知らないことを知っている人の『知』は損得に関係なく重要。自分にとって重要な情報を持っている人と長い時間を過ごすことや、それをきちんと見極める目を身につけることは難しいけれど大事だと思う」と世代にこだわらず対人関係の中から情報を得ていくことに大切さを語った。ウェブ社会の思想画像1

情報を吸収するだけでなく、それを消化し、アウトプットしていくための手法については、「オリジナリティは情報を受けた時にひらめくことが多いから、あとはそれを仮説と検証して行く時に読める状態にしておくこと。そして貧困問題とtwitterといった一見離れて見える問題同士が自分の大きなミッションの中ではつながっているという意識を持って情報を処理していくこと」と蛸壺的に「閉じた」状態になるのではなく、「知」に対して「開いた」状態であることについても語った。

4時間にわたる討論会の最後の1時間しか聴けなかったことは多少後悔したが、その後20分ほど鈴木謙介さんと直接話す機会を得て、日ごろから疑問に思っていたことに鈴木さん視点からの答えを聞けたことはとても有益な事だった。たとえ専門領域であっても、それが最終的に辿り着くべき場所は一般性を貫通し、普遍性に辿り着く「知」たと考えている人間にとって、新たなリアリティーの更新を行いながらその本質に迫ろうとするする人の姿は、かなり魅力的に感じられた。

京大アカデメイアの公開討論「いま、大学で〈学問〉する意味」のページ
トゥギャッター京都アカデメイア公開討論「いま、大学で〈学問〉する意味」
京都アカデメイアのtwitter
ウィキペディア 鈴木謙介
鈴木謙介さんのtwitter
アマゾン 鈴木謙介著『カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)』
アマゾン 鈴木謙介著『ウェブ社会の思想―“遍在する私”をどう生きるか 』(NHKブックス)

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プロフィール

阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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