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凄い京都25 国宝・西本願寺『飛雲閣』

 京都市内に数多く残る秀吉が建てた聚楽第の遺構と伝わる建造物。中でも最も華やかで、高貴な雰囲気を漂わせているのが西本願寺・飛雲閣。金閣、銀閣と共に「京都三閣」(高い構えの建物)の一つで国宝指定を受けたこの建物が11月8日(09年)に行われる「下京門前町ルネッサンス」の一環として無料公開される。
飛雲閣以前は申し込みさえすれば、時期に関係なく見学だできたこの建物も、最近では特別公開などの時期しか見れなくなってしまった。年に1、2度しかないそんな機会の一つとなったのが今回の「下京門前町ルネッサンス」。通常の拝観と同じく建物に入ることはできないが、日頃は高い壁に囲まれ見ることにできないこの建築を無料で見学できる。

滴翠園(てきすいえん)と名づけられた庭園の、池に面して建てられた建物は3層からなる楼閣で、各層が変化に富んでいる。初層は入母屋造で、内部には池から直接、船で出入りできる舟入の間や蒸し風呂式の浴室がある。中層は寄棟造で外の板戸には三十六歌仙が描かれており、歌仙の間という部屋がある。上層は宝玉造で摘星楼と名づけられた草庵風の茶室。

このように外観も内部構造も他では見れな変化に富んだ飛雲閣。寺院でありながら皇室や公家、さらには武家との深い関わりを持っていた西本願寺という大寺院を、象徴するかのような複雑かつ華やかな建物がそこにある。

本願寺(西)ホームページ 下京門前町ルネッサンス告知
ウィキペディア 西本願寺
ウィキペディア 聚楽第

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Tag : 京都 建築 歴史 国宝

凄い京都24 『府庁旧本館知事室と「まちかどミュージアム」の美術展』

 今から105年前の明治37年(1904)、ちょうど日露戦争の真っ只中に完成した府庁旧本館。現役の官公庁建造物としては最古という建物の内部で、最も贅沢に作られた旧知事室。そこにあるものは100年という時間を感じさせない上質な雰囲気を漂わせている。
府庁旧本館
今年は通常より長い御所の公開に合わせ、開催されている「府庁界隈まちかどミュージアム」。その関連行事に参加するために訪れた府庁旧本館。西洋建築には興味が無かったはずなのに、すっかりその魅力の虜となったその内部。中でも明治38年から昭和46年までの67年間、24人の知事が使用していた旧知事室は凄かった。
旧知事室
2階南東の隅にあるその部屋の、窓からは比叡山と大文字山。通常の1・5倍ほどの高さを持つ室内はギリシャのコリント様式に最上の木曽桧(ひのき)を織り交ぜた日本独自の建築手法。柱や梁に彫刻されたギリシャの国花・アンカンサスがそれを示している。作者は京都ハリストス正教会などの建築でも知られる松室重光。現在ではこの部屋を含む建物全体が重要文化財となっている。

赤い絨毯の敷かれた空間に配置された知事執務机をはじめとする家具類は、当時最高級の西洋家具を作ることで知られた東京の杉田商店製。壁面の暖炉のマントルピースはイタリアから輸入した大理石彫刻。100年前の面影をそのまま残した空間は09年11月29日からNHKで放送される『坂の上の雲』の主人公役の本木雅弘さんの回想シーンにも用いられたという。
府庁旧本館
「まちかどミュージアム」期間中は土日も含め、それ以外の時は平日なら申し込み不要で見学ができるこの空間。現代とは違う空気が満ちたこの場所で、当時の時代背景や、ものに宿った昔の記憶の片鱗を味わってみるのも面白い。なお、「まちかどミュージアム」期間中は2階建物西側で京都府が友好提携を結ぶロシア連邦のレニングラード州の児童、生徒絵画展や京都府関連の若手作家の美術展が行われており、特にロシア児童の絵画には驚くほど良質な作品があったりして、そちらも十分楽しめる。

京都府ウェブサイト 京都府庁旧本館の公開
ウィキペディア 京都府庁旧本館
ウィキペディア 松室重光

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Tag : 歴史 建築 京都 秀作

凄い京都23 児玉ギャラリー『田中秀和「連続の要因」』

 分かりにくい絵画の代名詞とも言える抽象画やアクション・ペインテング。古い価値観からの開放をもたらしたことは高く評価されるが、その分だけ現代美術を複雑にしたようにも思える。そんな技法に、思索と時間的概念を取り入れ、新たな挑戦を行っているのが田中秀和。今回の「連続の要因」展では勢いと色彩と抑制の3つが画面上でせめぎ合い、新たな可能性を感じさせる。
田中秀和展大学でデザインを専攻していた田中が抽象画を選んだのは、描く対象よりも、描く中から生まれてくる形やリズムに興味を覚えたからだという。以来、過去の記憶の断片や以前の作品から抽出した線を用い、即興的でありながら、思索的抑制を利かせた作品を作ってきた。

「連続の要因」と名づけられた今回の個展では、大画面を用いたことで力強いリズムが生まれ、その結果、色彩や抑制にも抜けるような広がりがもたらされた。制作中は時間の概念を作品に込めようと試行錯誤を繰り返したが、一本の線にも時間が表現されていることに気づくと、それまでの迷が吹っ切れ、制作に打ち込めたという。

展示作品の中でもスキージというへらを使い、シンプルな色彩で伸びやかに描いた作品に優れたバランス感覚が見受けられた。偶発的な要素や勢いも取り入れた、意識と偶然性とのせめぎあいが魅力なだけに、全てが期待どうりとはいかないが、だからこそそこには大きな可能性が感じられる。

児玉ギャラリーウェブサイト

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Tag : 現代美術 ギャラリー

凄い京都22 秋の静けさが魅力!『海住山寺』

 毎年春と秋に行われる京都非公開文化財特別公開。場所によっては値段の価値がないものもあるこの公開。今回初参加となり、奈良との県境まで行かなければならない海住山寺。しかし、周辺の岩船時や浄瑠璃寺、または一休寺や観音寺などと合わせて行くならば、その価値は絶対あると思う。
海住山寺海住山寺のある木津の周辺には、のどかな自然に包まれてひっそりと佇む寺が多い。中でも海住山寺は木津川を見下ろす高台にあって、穏やかな雰囲気を持っている。寺伝によれば天平七年(735)、大盧舎那仏造営を決意した聖武天皇が、工事の無事や平安を祈って良弁僧正に創建させたことに始まるこの寺院。最盛期には58もの塔頭を持っていたが、秀吉の時代に経済的基盤を失ったことで寺領は縮小。

しかし現在でも1万坪の広さを持つ境内には、建保二年(1214)に後鳥羽院から貰い受けた仏舎利を収めるため建てられた五重塔(国宝)や本堂、本坊、文殊堂などが現存。今回の目玉である五重塔内陣の開帳をはじめとする多くの文化財が見学できる。数年前、秋の晴れた日に訪れたこの寺は、ひっそりとして人影もなく、対応の方が丁寧な説明で文化財を紹介してくれた。

飛び抜けて凄いものがあるという訳ではないが、一つ一つの寺宝や建物、そして境内全域に感じられる上品な静けさがこの寺の魅力。秋のこの時期、多くの人で溢れる京都や奈良の観光地ではなく、あえて街から離れたこのような寺院で静けさを感じてみるのも良いと思う。
(写真は国宝・五重塔)
海住山寺ウェブサイト
海住山寺ウェブサイト周辺案内・南山城古寺探訪
ウィキペディア 海住山寺

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Tag : 京都 奈良 寺院

凄い京都21 『蜷川実花「FLOWER ADDICT」×ジョン・ウィドマン「Relaxation Sensation」』

 秋に入り、立て続けに巡っている京都市内のギャラリー。それほど広くは無い場所だが、そこに足を踏み入れると、意外な驚きが待っている。今回訪れたのは昨秋、本拠地東京から京都に支店を構えた小山登美夫ギャラリーとタカ・イシイギャラリー。蜷川実花の鮮烈な色彩とジョン・ウインドマンのモノトーンな中にある深みが見る者の心に迫る。
蜷川実花
90年代後半から独特の色彩感覚を持つ写真で、若い女性を中心に圧倒的な支持を集めてきた蜷川実花。一応雑誌や写真集で彼女の写真を目にし、その存在は知っていたが、実際の写真がこれほど凄いとは思わなかった。真新しい建物の狭い階段を上ると、鮮烈な色彩が飛び込んでくる。

この世のものとは思えないほどの色合いをした花々。そんな花々が写るだけの写真なのに、色と光の洪水は見る者を別世界にいざなう。その鮮やかすぎる色彩はあまりにもまばゆく、まばゆすぎるからこそ、散りゆく花の行く末を思わずにいられない。大きくプリントされ花たちが作り出す世界は圧倒的。その感覚はこの場所を訪れた者しか味わえない。
ジョン
蜷川実花展のフロアーと繋がった空間がタカ・イシイギャラリー。そこに展示されたニューヨーク在住の画家・ジョン・ウインドマンの作品はそれまでの鮮やかな色彩とは一転、白と黒で構成された極めて静謐な世界。まぶしすぎる光で切り取られた手や足の素描。まるで写真のように硬質な描写は、感情を排したからこそ生まれる無機的な哀しみが漂う。

他にもギャラリー奥に展示された立体作品は、積み重ねた本を白くペイントし、その側面に生まれた変化を味わう作品。さらにそれを平面化した作品や波を描写した作品は色や形のバリエーションに思索的な空気が宿る。通り過ぎただけでは、作品を理解することは難しいが、立ち止まって見ると感情を揺さぶる何かが発見できる。

繋がった2つのギャラリーで展示された鮮烈な色彩と無機的な静謐さ。2つの世界が隣り合うことで鮮やかな対比が生まれ、お互いを鮮明に浮かび上がらせる。そんな互いを引き出す相乗効果が空間として味わえる2つの個展は、それ自体が一つの作品のような面白みを持っている。

小山登美夫ギャラリー 蜷川実花展
ウィキペディア 蜷川実花
タカ・イシイギャラリー ジョン・ウィドマン「Relaxation Sensation」

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テーマ : 京都 - ジャンル : 地域情報

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凄い京都18 児玉ギャラリー『イグノア・ユア・パースペクティブ8展』

 以前から気にはなっていたものの、なかなか足を運ぶ機会がなかった現代美術のギャラリー。昨年秋頃から東京のギャラリーが京都に進出するなど動きが見られるこの分野。それを理解するために行った幾つかのギャラリーは噂に違わず静かな熱気に満ちていた。
児玉画廊
これまでにも三条寺町近辺の古いタイプの画廊には、時折足を運び同時代の作家の作品に目を通してきた。しかし昨年の秋頃から東京に本拠地を置く、「小山登美夫ギャラリー」や「タカ・イシイギャラリー」などが京都にもギャラリーを開くなど新たな動きが起きている。

そんな京都のギャラリー事情を知るために、今回巡ったのは小山登美夫ギャラリーの「ヴァルダ・カイヴァーノ展」と「桑田卓郎展」。さらに児玉ギャラリーの「イグノア・ユア・パースペクティブ8展」とイムラアートギャラリーの「ZAnPon Exhibition展」。それぞれにギャラリーの特徴が出ていて興味深かったが、中でも凄かった児玉ギャラリーの「イグノア・ユア・パースペクティブ8展」。

大阪と東京にギャラリーを持つ児玉画廊は、昨年10月に大阪のギャラリーを扱っている作家の多い京都に移転。それも京都駅から南へ行った、およそ芸術とは縁のなさそうな十条通りに面した元鋳物工場の建物を利用。外観からはまさかここが現代美術のギャラリーとは思えないが、一歩足を踏み入れるとそこはまぎれもなく現代美術の空気が漂う空間。

今回展示された作品は児玉画廊が取り扱う日本の若手アーティストたちの作品で、そのどれもが荒削りでありながら、幾つかの作家の作品は見る者の心にしっかりとひっかかりを残す。特に黒い用紙に偶然に生まれる色のラインで詩的な世界を生み出した西森瑛一。実体を持たないパステルの影が現代人のアイデンティティの無さを表現したような鷹取雅一などの刺激的な作品に出会うことができる。
三家
2階では「Kodama Gallery Project」としてギャラリー一押しの作家・三家俊彦の作品が展示されており、300体以上のアルミホイルで作られた騎士が立ち並ぶオブジェはまるで三国志や戦国時代の戦闘シーンを再現したよう。その独自の発想やゲームの感覚を取り入れた作品に新しさを感じさせる。

しかしこの展覧会、何よりも驚いたのは、若手作家たちの作品から伝わる素材や発想に対する柔軟さ。以前の日本の作家たちに感じられた創作の苦しみや観念的な重さなど微塵も無く、作品製作を楽しみながら自由に芸術に取り組む姿が伝わってくる。

また、こんな辺鄙な場所のギャラリーなのに、芸術やアートに感心を持つ若い世代の鑑賞者たちが途切れることなく訪れることにも驚かされた。少し前までは敷居の高かった現代美術やギャラリーが、若い世代には身近なものとして存在していることが、このギャラリーを訪れたことで理解できた。
(ちなみに「イグノア・ユア・パースペクティブ8展」は10月10日で終了。17日からは、田中秀和個展
「連続の要因」が開催される)

児玉ギャラリー京都
小山登美夫ギャラリー京都
イムラアートギャラリー

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Tag : ギャラリー 現代美術 アート

凄い京都20 MATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/w『下出和美展、岡山愛美展』

 先日紹介した児玉ギャラリーの『イグノア・ユア・パースペクティブ8展』 以来、すっかり現代美術の楽しさに魅了され、再び巡った新たなギャラリー。そこには女性的感覚を頼りに、独自の世界を表現する二人のアーティストの作品群があった。
下出作品
今回訪れたMATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w(マツオ メグミ+ボイス ギャラリー)も、通りから見ただけでは気づかずに、通り過ぎてしまうような目立たない場所にある。京都駅八条口から南東に10分ほど歩いたところにある山王小学校の、先向かいのビルにあるそのギャラリー。入った瞬間に目につくのが、下出和美の『燃える手で』。巨大なキャンバスに黒とオレンジで描かれた2人の女の子。周辺にはサッカーボールや鳥たちが散らばっている。

今回の展示『彼らが大地になる時』の16点作品のほとんどに描かれた、幼い少女の落書きのような女の子。一見何てことない絵だが、その鮮やかな色使いと、ためらいの無い感覚的表現は、大画面迫力と合わさり爽快感すら感じさせる。そこに描かれたものたちの、意味するところは理解できないが、作者の身近なものたちによって生み出された独自の世界は、そんな理解を突き抜ける力をもっている。

従来の概念にとらわれず、自らの書きたいこと、今自分が表現できることを背伸びもせず、また萎縮もせず表現できていることが、何よりの魅力である作品群。下手な解釈などせず、描かれた少女に導かれ、色や模様が作り出す独自の世界を旅できる。
岡山作品
一方、下出作品とは対照的に静かな色使いと光を使った表現で淡い感覚を提示する岡山愛美の作品群。水に溶けたような色合いの絵画や、夕日を受けシルエットとなった枯れ草の写真。その上にガラスの粒を吹きかけた作品は、淡い輝きを放ちながらどこかせつない感情を呼び起こす。

またプロジェクターを使って表現された2つの映像作品は、過去を背負った懐かしいものと光の輝き。思うようには焦点を結ばないレンズの動きによって生み出されるもどかしさなど、多重的にイメージを重ね合わせ見る者の心に働きかける。言葉にできない感覚を絵や写真、映像と手段を選ばず表現できる手腕。その鋭さは理解を深めていくほどに興味を増す。

今回の2つの作品展、共に80年代生まれの若い女性がその作者。彼女たちの作品群は、表現手法や訴える感覚こそ違え、極めて鋭い感覚で今という時代が鮮やかに切り取られているという点で極めて興味深かった。
(下出和美個展『彼らが大地になる時』は09年11月7日(土)まで。岡山愛美個展“smoke and mirrors”は09年10月25日(日)まで共にMATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/wで開催中)

下出和美のこれまでの作品
MATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/wホームページ

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Tag : アート ギャラリー 現代美術

凄い京都19 大徳寺高桐院茶室『松向軒』

 数年前に見たときは、全く理解できなかったこの茶室。しかし今回、曝涼展と共にに見た松向軒は、茶室が持つ凄さの一端を垣間見せてくれた。
松向軒一時期茶道を習っていたことから、一応の茶室の見方は教わっていた。しかし実際、茶室を見るとなると、一体何を見てよいやら、もう一つ納得できなかった。以前に書いた草庵茶室『松花堂』は、これ以上不可能な凝縮空間がその凄さを伝えていた。しかしその他の茶室は、古いものであるという以上に大きな違いを見出せなかった。

そんな中、曝涼展のあった高桐院で久しぶりに見直した松向軒。細川忠興(三斎)が北野大茶会の際に建てた茶室を、1628年に移築したものと言われている。障子越しの淡い光で見る内部は、茶室には珍しい黒壁のせいもあり、全てがはっきりと見える訳ではない。しかしその光の中で見る茶室は、見る者を飽きさせない変化に富んでいる。

それはこれまで感じ続けてきた天井や壁面、柱や床の間の形や素材になぜそこまでこだわるのかという疑問に答えるもの。船底天井や違い棚、床柱や窓の格子といった一つひとつにまでこだわった作りは作者の美意識の集積。そんな小宇宙の中で行われる「茶の湯」は作法や茶道具、自然の花を含めると無限のバリエーションを持つ。

選び抜かれた素材によって細川忠興の美意識を体現したこの茶室。それまでの茶室の伝統にのっとっりながら、その奥には確かな自己主張を持つ松向軒。そんな宇宙に包まれて一碗の茶を味わうことは何と贅沢なのだろう。

ウィキペディア 高桐院
ウィキペディア 茶室

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Tag : 京都 茶室

凄い京都17 地獄に最も近い場所『千本ゑんま堂(千本えんま堂)』

 京都三大葬送地と言えば鳥辺野、化野(あだしの)、蓮台野。その一つ蓮台野の入り口にあって鳥葬や風葬のため亡骸を葬ったこの地に、地獄で閻魔法王の補佐もしていたという小野篁(おののたかむら・802-853)が、閻魔像を刻み建立したことに始まる千本ゑんま堂。その異界につながる信仰は今も人々の中で生きている。
えんま堂
以前、紹介した六道珍皇寺にある井戸から夜な夜な地獄に通い、閻魔法王のから現世浄化のため先祖の霊を迎え供養する技法を授かったという小野篁。その篁が伝えた風習とそれ以前に伝わった「盂蘭盆会」が融合し、現在のお盆の行事に発展したという。

そんな伝承が残るこの寺は、閻魔庁舎を模した本堂にある京都一の閻魔象だけでなく、お盆の「精霊迎え」で知られた寺。人々はお盆の始まりに境内の鐘を撞き「迎え鐘」として先祖を迎え、お盆が終わる時期に「送り鐘」を撞いて、再び元の世界へと送り出す。

本堂の裏手には、その時水塔婆を流す地蔵供養の池があり、お盆の時期には先祖を迎え、送り出す人々でごった返す。普段はさびれて見えるこの寺が、最も賑わいを見せる行事。また5月上旬のゑんま堂狂言、節分のこんにゃく煮きの日にも多くの人々がやって来る。
閻魔堂
その他にも源氏物語を書いた咎で地獄に落とされた式部を、篁が閻魔法王にとりなしたという伝説に基づく紫式部供養塔。室町時代、足利義満がその美しさに感服し、以来、その花の盛りに狂言を行ったという「ゑんま堂狂言」開催の契機となった「ふげんぞう桜」が残るなど様々な言い伝えが多いこの寺。観光化されてはいないからこそ、人々の日常に根ざした信仰が今でも息づいている。

千本ゑんま堂(引接寺)ホームページ
ウィキペディア 引接寺 (千本ゑんま堂)
ウィキペディア 小野 篁

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凄い京都16 南禅寺塔頭金地院『鶴亀の庭園』

 庭園自体は何の変哲もなく見えるけれど、じっとその場に佇んでいると、次第に気分が落ち着いて、その良さが染み込んでくるこの庭園。江戸初期の茶人であり作庭家でもあった小堀遠州(1579-1647)の作と唯一記録が残る庭。
金地院鎌倉時代に日本初の勅願禅寺として建てられ、京都五山、鎌倉五山より高い寺格を誇った南禅寺。その敷地内の西端に位置する金地院は、元は北山にあったものを、方広寺鐘銘事件知られる以心崇伝(1569-1633)がこの地に移し現在に至る。

方丈や小書院に描かれた狩野派や長谷川等伯の襖絵など数ある寺宝の中で、最も雄大かつ変化に富んだものが鶴亀の庭園。海洋を表す白砂の先には鶴と亀をかたどった石の島。さらにその中央には、そこから木立の奥にある東照宮を拝するための遥拝石が置かれている。

これらの石は一見何も変哲もないように思えるが、その背景の木立と、さらに奥に広がる東山の緑と一体となることで、人の心を和ませる雄大な庭園へと変貌する。前面の白い砂と東山を借景した色濃い山裾は、規模や色彩の対比が鮮やか、改めて自然の美しさを実感できる。

利休亡き後には天下の茶人として尊敬を集めた古田織部から茶道、建築、作庭を学び、それをさらに自らのものとした遠州。そこには内面から湧き出る個性重視した利休、織部という先人の教えを受け継いだ遠州らしい美と深みが作り出されている。

ウィキペディア 金地院
ウィキペディア 小堀政一(遠州)

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テーマ : 京都 - ジャンル : 旅行

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
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