文化ブログ
阿部和璧(あべかへき)が世の中の良いもの、凄いものを紹介する。
凄いアニメ7 『秒速5センチメートル』
先日紹介した、櫻井孝昌さんの『アニメ文化外交』で初めて知ったこの作品。外国のアニメファンにも高く評価されていると知って半信半疑で見た時は、美しい映像に感心しても、それほど良いとは思わなかった。しかし、心に引っかかった何かが気になって、数日後にもう一度見直すと、いかにこの作品が素晴らしいかがよく分かった。
卒業間近の小学6年生から始まるこの物語は、主人公が通り過ぎた2つの時間と現在が描かれている。しかし、最初の少年と少女の二人だけで完結した世界に入り込めなければこの作品は理解できない。なぜならそこには通常のアニメのような大きな事件やエピソードは存在しないからだ。
両親の都合で離れ離れになってしまった二人が、少女の住む町での再会する第1話。転校した種子島でつづられる届かない想いと哀しみ。そして東京での暮らしの中、消えてゆくものと決して消えないもの。心の中に秘められたささやかな想いは桜の花びらや雪のように音も無く降り積もる。
誰かを愛することが幸せをもたらす時もあるように、誰かを愛することでどうにもならない哀しみを背負うことだってある。そしてそれにより一層深い孤独を感じなければならないことも。この作品はそんなつ哀しみを背負った青年の過ぎ去った時間が描かれている。そしてその時間の中で決して消えなかった想いも。
ウィキペディア 『秒速5センチメートル』
ウィキペディア 新海誠
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