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報告6 「これから行く人のための『ボルゲーゼ美術館展』感想」

 先週行った正倉院展の初日が開館直後30分待ちだったこともあり、会館時間に合わせて行ったこの展覧会。しかし到着してみると列どころか混雑もなく驚くほどスムーズに見学でき、拍子抜けしてしまった。「プライベートコレクションの女王」と呼ばれているこの美術館が、これほどの作品を海外に出品したのは初めてという展覧会。果たしてその内容は?
ボルゲーゼ結論から言ってしまうと、映画の予告編のような展覧会だったという感じ。日本ではまとまって見ることができないルネサンスやバロック期の秀作を見れるという期待が大きすぎたせいなのかもしれない。もっと良いものが来るだろうと思い込んでたせいかもしれないが、見終わった後の感想は期待していたほどではなかったというもの。
レダ
確かにラファエロの『一角獣を抱く貴婦人』は良かったし、レオナルド・ダ・ヴィンチの『レダ』を模写した作品は、模写でさえこのレベルなら、実物はどれだけ凄かったのかと驚いたけれど、展覧会全体としてはもう少し目玉が欲しかった。実際、今回の出品はこの美術館の傑作からほんの一部が紹介されただけで、その全貌が知りたければイタリアまで行くしかない。

しかし、そうは言ってもルネサンスからバロックまでの美術の流れを、まとまった量で理解できたのは良かった。その流れに続く17世紀の作品群を、先月まで行われていた『ルーブル美術館展』で見たいただけに、この時代の大まかな美術の流れをその時代の作者や主題を通して、知ることができたことは大きい。

幾つかのモザイク画から始まる展示は、神が支配する世界から人間の知恵の光が差し込みだすルネサンスという潮流に乗って驚くべき才能を生み出していく。そんな才能が作り上げた作品が『一角獣を抱く貴婦人』や『レダ』、そしてボッティチェリの傑作の中に秘められた言葉にならない感動のを生み出しているのだと思う。

そしてあまりにも完成されたルネサンスの表現が、その後に続く者たちの重荷となってしまう。圧倒的な存在が身近にあることで試行錯誤におちいり、マニエラ(手法)を模索するマニエリスムという時代が始まる。それは歴史的流れで振り返ると、背後に神の存在を失いだした人間の不安と迷いの表れのようにも見える。
ボルゲーゼ卿
さらにそこから登場したバロック美術は、より人間的な感情を取り入れた人間主体の方向へと舵を切り出す。神や教会の権威は依然力を持っが、その中心はあくまで人間。このコレクションの礎を築いたボルゲーゼ卿の彫刻を作ったベルニーニやカラヴァッジオの作品の中にも豊かな感情表現を感じることができる。

このようにルネサンスからバロックまでの時代の流れを、優れた作品を通して感じることができるこの展覧会。本当の傑作に出会うためにはローマやフィレンツェまで行かなければならないのだから、その枠組みを掴むためにも行っておく価値はあると思う。
(ちなみに09年11月12日は、天皇即位20周年記念ということでボルゲーゼ美術館展の入場料が無料になります)
ボルゲーゼ美術館展 京都展公式サイト
ウィキペディア ボルゲーゼ美術館
ウィキペディア ルネサンス美術
ウィキペディア マニエルスム
ウィキペディア バロック美術

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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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Tag : 美術展 西洋美術 歴史 京都

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阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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