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凄い京都14  『桂離宮と修学院』

 桂離宮と修学院、共に江戸初期の幕府と皇室の融和政策の中で生まれた離宮。繊細な造りが魅力の桂離宮と雄大な眺めを取り入れた修学院。二つは大きな違いを持ちながらも、共に俗世とは隔てられた別天地を作り出している。
桂現在でも宮内庁が管轄し、事前申し込みがなければ参観できない2つ離宮。紅葉が美しい時期に見学してもらおうと紹介時期を見計らっていたら、宮内庁のサイトには2つの離宮の申し込みがすでに12月上旬まで満員であると書かれていた。

それほどの人気を誇る2つの離宮だが同時期のものとは思えないほど大きな違いを見せる。桂離宮は八条宮智仁(1579-1629)、智忠(1620-1662)両親王の親子2代にわたって整えられた離宮。月の名所として知られた桂に智仁親王が古書院を建てたのを始まりとし、一時荒廃していた離宮を息子の智忠親王が増築、改修しほぼ現在の姿に整えられた。

舟遊びもできる巨大な池泉回遊式庭園や、デザイン生に優れた敷石などみどころは多い。しかし離宮最大の魅力は細部にまで神経の行き届いた建物内部の作りと斬新なデザインだけに、その凄さを間近に感じることができないのは残念でならない。
修学院
一方の修学院は、智仁親王の甥にあたる後水尾天皇(1596-1680)が場所や建物の選定に関わり、幕府によって整えられた離宮。紫衣事件など幕府との衝突の多かった個性的な天皇なだけに、その意志が反映した離宮もまた個性的。見通しの利く隣雲亭からの雄大な眺めや、山裾に包まれながら広がりのある雰囲気は、他の庭園にはなない造り。

桂垣として知られた垣によって囲われ、建物や庭園の細部に美を探求した桂離宮。それとは異なり、見通しの利く雄大な景色を借景とし、広がりのある世界を作り上げた修学院。2つの離宮は異なる特徴を持ちながら、共に江戸初期という時代が持つ繊細さと雄大さという二面性を感じさせてくれる。

宮内庁ホームページ参観申し込み
ウィキペディア 桂離宮
ウィキペディア 修学院離宮

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テーマ : 京都 - ジャンル : 旅行

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Tag : 離宮 庭園 紅葉 デザイン 江戸時代 皇室 歴史 建築

凄い京都10 草庵茶室『松花堂』

 三千家の室を除く、京都周辺の室を見てきた中で最も印象に残った室。淀川の対岸にある利休作『妙喜庵』とは別の意味で一つの極みにたどり着いた建築。
松花堂京都と大阪の境目にある八幡市は、男山にある石清水八幡宮や神応寺、秦勝寺、流れ橋など隠れたみどころを持つ地域。中でも飛び抜けて素晴らしいのが松花堂庭園内にある草庵室『松花堂』。

江戸時代初期の僧侶であり、書、絵画、道に優れた才能を発揮した松花堂昭乗が晩年に築いた草堂がこの室。畳二畳の空間に茶室、住居、持仏堂を兼ね備えた建物は一切の無駄を省いた究極の世界。松花堂という人物の洗練された美意識を実感できる。

また茶室が移築されている庭園には、他にも遠州、宗旦の茶室を再現した建物が建てられており、それぞれの茶室の特徴を味わえるのも面白い。「寛永の三筆」として知られながら、現在は松花堂弁当に名前を残す以外、多くの人は知ることのない松花堂昭乗。しかしその美意識はこの茶室にしっかりと刻み込まれている。

(ちなみに八幡の寺院のほとんどが特別公開日のみの拝観か事前連絡が必要)
ウィキペディア 松花堂昭乗
松花堂庭園・美術館ホームページ
八幡市観光協会ホームページ 仏閣等

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Tag : 京都 歴史 庭園 江戸時代

凄い滋賀3 湖東三山その1『百済寺(ひゃくさいじ)』

関西屈指の紅葉の名所として知られる湖東三山。滋賀県中部の不便な場所にある3つの寺だが、静寂の中で見る紅葉は華やかでありながら、ひっそりとした落ち着きを漂わせる。
百済寺湖東三山第1回目は3つの寺の中で最南に位置する百済寺。寺伝によると聖徳太子の願いによっての創建された古刹だという。平安、鎌倉期には300余りの塔頭を誇る壮大な寺院であったが、室町期の2度にわたる火災や信長の焼き討ちにより建物は焼失。本堂をはじめとする現在の建物は近世以降に再建されたものだ。

しかし、その境内に漂う落ち着いた雰囲気は古刹ならでは。自然石の長い石段は紅葉に覆われ、その先に本堂がひっそりとたたずんでいる。また受付付近にある喜見院庭園は池と山裾が一体となった池泉回遊式庭園。この寺に今も残る優雅さが味わえる。

かってこれほどの山奥に約1200人の人々が修行や生活を送っていたこの寺。今では紅葉を見に訪れる観光客が去っていくと、境内はひっそりとして人影もない。そんな歴史を生きてきたこの寺の、散り行く紅葉もまた美しい。

ウィキペディア 湖東三山
ウィキペディア 百済寺
百済寺公式サイト

テーマ : 近畿地方(滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)の各府県の駅前路線情報 - ジャンル : 地域情報

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Tag : 滋賀 寺社 紅葉 歴史 庭園

凄い中国1 上田宗箇作『縮景園』

 原爆により、歴史的文化財のほとんどか消えてしまった広島にあって、不思議と落ち着く江戸初期の庭園が縮景園。特別目を引くものがある訳ではないが、全体としての統一感と庭園に対する深い思想のようなものが感じられる庭園である。
縮景園この庭園を見たあと、和歌山の和歌山城西の丸庭園や粉河寺庭園といった庭園を巡り、そのどれもが戦国武将であり、茶人でもあった上田宗箇が作庭した庭であることに驚いた。

それぞれに特徴の異なる庭園でありながら、そのどれもに自分を強く引きつける何かの存在を感じたからだ。中でも最初に出会った縮景園は庭園についての知識も乏しかった時に、予期せずその凄さを感じた庭園だけに強く印象に残っている。

開けた感覚を味わえる園内には、こまごまとした見どころが各所に設けられており、ただ歩いているだけでも気分が安らいでくる。また一年を通して花々が楽しめ、行き届いた手入れにより気持ちよく園内を回れることも素晴らしい。

作庭家の上田宗箇は戦国の乱世を自らの刀一本で武勲をたて、その後は豊臣、徳川の権力の狭間で微妙な立場に立たされた。粉河寺庭園のように荒々しさを前面に出した庭園を造ったかと思えば、この庭園のように統一感を持った優れた庭園も作庭する。それは乱世と安定という二つの時代を生き抜いた男の精神史でもあるのだろう。

縮景園ウェブサイト
ウィキペディア 縮景園
ウィキペディア 上田重安(宗箇)

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テーマ : 中国・四国 - ジャンル : 旅行

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Tag : 広島 庭園 歴史 江戸時代

プロフィール

阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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