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凄い映画10 『つきせぬ想い』

 古典的なラブストーリーで、真新しいものは何もないけれど、味わい深い脚本を、返還前の香港を背景に抒情溢れる作品に仕上げた秀作。特に主演のアニタ・ユンの演技は見る者を魅了する。
つきせぬ想い
3年ほど前、映画やドラマとなった『タイヨウのうた』。実は企画段階ではこの作品がリメークされるはずだったという。しかし時代背景とのずれから、オリジナル脚本を採用。その経緯は主人公がミュージシャンという設定など幾つかの共通点に残っている。

売れない作曲家と音楽一座の家庭に育った若い娘。何の接点もなかった二人は、作曲家が彼女の家の二階に越してきたことから少しずつ近づいていく。ひまわりのように明るい娘は、何もかもが上手くいかずにいる作曲家を、彼女なりのやり方で励まし元気づけていく。

彼女のお陰で音楽に対する熱意を取り戻した作曲家は、飾り気のない彼女の魅力に引き寄せられ二人は恋に落ちる。まるで世界が二人だけのもののような掛け替えのない時間を共にするが、運命はそんな二人の幸福を長くは許さなかった。

古典的な話でありながら、それが気にならない作品となった最大の理由は、シンプルに作られたラブストーリーの完成度の高さにある。それは10年以上も経った現代の日本で、この作品のリメイクが作られようとした事実からみても理解きると思う。

ウィキペディア 『つきせぬ想い』
アマゾン 『つきせぬ想い』 [DVD]

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テーマ : 映画 - ジャンル : 映画

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Tag : 映画 香港 ラブストーリー 古典 音楽

凄い歌舞伎1 『勧進帳』

 歌舞伎十八番(元は市川家のお家芸として選ばれた演目)の中でも上演回数ベスト3に挙げられる人気演目。派手さや展開の面白だけでなく、人情や空間構成といった歌舞伎の面白さが凝縮された作品。
勧進帳
少し前に紹介した能『船弁慶』のすぐ後に、義経と弁慶が奥州へ逃れるため通過する安宅の関。山伏に身をやつした義経一行の前に、関守の富樫や彼の部下たちが立ちはだかる。

すでに一行が山伏姿だという情報を得ている富樫の追及に、弁慶が機転を利かせ危機から逃れる駆け引きは絶品。君主想いの弁慶が、疑惑を晴らすために義経を打ち据える場面や、正体を悟りつつ弁慶の忠義心に打たれ関所を通す富樫の姿が美しい。

観客の心をつかんで離さない物語。「飛び六方」や見得をはじめとするダイナミックな演出。衣装や空間美といったみどころ満載の『勧進帳』。そこには江戸時代以降、大衆の娯楽として発展してきた歌舞伎を作りあげてきた人々の洗練された美意識が宿っている。

ウィキペディア 勧進帳
アマゾン 『松竹大歌舞伎 松本幸四郎「勧進帳」』~999回静岡公演・1000回東大寺記念公演~[DVD]

テーマ : 伝統芸能 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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Tag : 歴史 舞台 歌舞伎 古典

凄いマンガ6 近藤ようこ『水鏡綺譚』

 まるで白昼夢のような現実感覚の乏しい物語なのだけれど、その印象はいつまでも胸に残る。主人公やヒロインの一挙手一投足に不思議な懐かしさを覚える作品。
水鏡綺譚『今昔物語』を下地にしたような中世日本が舞台の連作短編集。旅をする主人公が、記憶を失くした少女と出会い、彼女を故郷まで送り届ける道中が描かれている。

それぞれの短編が作り出す世界は決して大きな世界ではない。しかし、そこに登場する人物たちは動物から魔物まで多岐にわたり、不思議な因果で結ばれた物語に広がりをもたらす。

宗教説話的味わいを持つこの物語は、心の奥に静かに染み込み、淡くせつない印象をいつまでも残し続ける。そこには善悪や時間を超越したものや生き物に対する独特の眼差しがある。

連載が打ち切られ、12年の歳月の後に描かれた最終章。ヒロインはついに故郷へ辿り着き、主人公との旅が終わる。過去の記憶を取り戻すため、旅の記憶を失うヒロインと主人公の別れが胸を打つ。

ウィキペディア 近藤ようこ
アマゾン 『水鏡綺譚』

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テーマ : マンガ - ジャンル : アニメ・コミック

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Tag : マンガ 秀作 古典

凄い能1 『船弁慶』

 抽象的で言葉も難解だが、笛や小鼓の作り出す音や演技者たちの動きに独特の世界にいざなわれる能。中でもこの演目は、劇的な構成と人物たちの感情の変化が読み取れて、深い余韻を残す。
船弁慶
古典芸能に興味を持つようになって、まだ能のことなど何も知らずに行った公演で出会ったこの演目。最初に驚いたのは小鼓の突き抜けるような響きと笛音が作り出す独特の雰囲気。その音たちに導かれて演目の世界の入って行くと、そこには極めて前衛的な演劇空間が広がっていた。

物語は大きく分けて2部構成なっている。前半は平家を打倒した義経が頼朝に謀反の疑いを掛けられ都落ち。それに付き従った静御前との別れの場面を描く。そして後半は義経一行が船で海に出ると、そこに平知盛の亡霊が現れ、義経、弁慶と対決する。

前半では別離の悲哀、後半には怨霊世界が描かれるこの作品だが、道具立てや、動きは極めてシンプル。背景に松が描かれただけの舞台では、わずかな所作や道具だけで場面が陸地から海へと転換。骨組みだけの船に乗る義経たちを見ていると、それは最も前衛的な演劇を見ているように思えてくる。

また動きの一つひとつに対しても神経が行き届いており、演技者の立ち位置や並び方など空間としての美しさにも配慮がなされている。中世という激動の時代に、これほど研ぎ澄まされた美と象徴性を持つ作品が作られたのならば、当時の日本文化の精神性はいかに高いものだったのだろう。
(写真は昨年国立能楽堂で行われた『船弁慶』のパンフレット)
ウィキペディア 『船弁慶』

テーマ : 能・狂言 - ジャンル : 学問・文化・芸術

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Tag : 古典 舞台 前衛

凄い本12 清少納言著、萩谷朴訳『枕草子』

 「春は曙」など日本人の美意識についての随筆として知られる『枕草子』。しかし本当に凄いのは清少納言と中宮定子の間に生まれた当意即妙な二人の信頼関係の物語にこそある。
枕草子
古典の面白さなどまだ知らなかった学生時代、何かの紹介文で取り上げられていた『枕草子』が気になって、様々な訳者の本を読み比べ、辿り着いたのが萩谷朴訳の『枕草子』。原文に朱色の現代語訳が加えられた一見難しそうな本だが、初心者でもバリバリ噛み砕いて読める気配りと解説が細部まで加えられている。

洋書や古典を含め、訳者がいかにその本に愛情を持っているかが訳本の命だと知ったのもこの本のお陰。紫式部に比べれば、軽薄なエッセーの書き手と思われることもある清少納言。そんな彼女が定子に仕えた年月を、深い愛情と探究心を持って上下巻・約800ページの本にまとめたのがこの本。

断片的に描かれた清少納言と定子とのやり取りは、今から1000年以上も昔の人々が行ったとは思えないほど切れ味が鋭く、また楽しい。華やかだった定子の周辺を、さらに輝かせた清少納言の才気を愛した定子。そんな素晴らしいし主従関係が、まるで風の前の塵のように、失われてしまった背景を知れば、その輝きはより一層まばゆく見える。

窮地に陥った定子の周囲からは次々と人が離れていく。そんな中でも気丈に振舞う定子に、明るい話題を提供しようとする清少納言の姿はあまりのも健気で胸を打つ。136段、周囲の誤解によって定子と離れて暮らしていた清少納言の元に定子からの伝言が届く。早く返り咲けというメッセージを込めた山吹の花びらに書かれていたのは、「言いわで思うぞ」(私の気持ちなら言わずともわかるだろうに)という一言だった。

ウィキペディア 枕草子
ウィキペディア 清少納言
アマゾン 『枕草子』(上) 新潮日本古典集成 第11回

テーマ : 読書 - ジャンル : 小説・文学

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Tag : 古典 京都 枕草子

プロフィール

阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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