スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - スポンサーサイト

報告2 『大徳寺曝涼展の牧谿(もっけい)がいかに凄かったか』

 先日、凄いニュースで紹介した『開催迫る!大徳寺曝涼展』。ウェブ上に今年の開催要項がなかったためか、多くの人がこのブログにアクセスし、情報を得ていかれたよう。自分の書いた情報が誰かの立つなんて、やはり嬉しいもの。ところで、心配した雨にも降られず、ついに!行ってきました大徳寺曝涼展。その全体像は別の機会に書くとして、この記事では、そこで見た牧谿(もっけい)がいかに凄かったかを紹介したい。
鶴今回の曝涼展で見ることができた牧谿の水墨画は5点。方丈第一室の奥にあった『龍虎図』(龍と虎で一幅づつ)と第二室正面にに掛けてあった『観音猿鶴三幅対』。最初、『龍虎図』を見た時は、龍の迫力は感じたけれど、虎は実物との違いを感じ、それほど良いものとは思えなかった。牧谿の名は聞いてても、作品を見たことがなかったので、特に落胆もしなかった。

そして入った第二室。まずは明兆作・十六羅漢図を見る。羅漢たちの個性が生き生きと描かれていて、思わず上手いと声が出る。十六羅漢の半分を見終わり、部屋の正面に視線を移した時、そこに牧谿の鶴がいた。今にも動き出しそうなその鶴は、ちょっと言葉で表現できないほど凄かった。本物かと見まがうほどの描写の上手さはもちろんだが、それ以上に驚いたのは次の動きを感じさせる表現力。そこには鶴という生き物の生命の源が写し取られていた。
猿
それは、観音図を挟んだ右側にある猿図にも言えること。決して似ているとは言いがたい猿の親子の姿は、2匹が佇む木の枝と同様、静止した水墨画のはずなのに、見る者に動きを感じさせる。それがどういう手法かは分からないが、鶴と猿は静止画というよりも、実際の生き物が何かの偶然で止まって見えているような不思議な印象を残す。そこには似ているかいないかというものを越えた、より本質的な姿が捉えられている。
観音
中央の観音図はさらにそれを納得させる。無駄な力を感じさせず、ゆったりと佇む観音。柔和でありながら、何かの変化を予感させる表情にはかすかな揺れがある。大らかな広がりと幅を持つその姿は観音というに相応しい。どこかモネの睡蓮を思わせる湧き上がるもやのようなものも感じられる。

係りの人の話では、観音の両脇に鶴と猿が描かれたのは神仙思想の影響ではとのこと。しかしこの三幅、単体として見ても凄いが、全体を一つと見ても素晴らしい。特に鶴と猿、竹と枝の微妙な配置と構成は細部にまで神経が行き届き、大胆さと繊細さを兼ね備えた牧谿という人物の人柄を感じることができる。

その凄さを理解した後、もう一度見直した虎図。表面的な描写以上に、内面から湧き上がる力を感じることができた。絵画作品として第1号の国宝指定を受けた『観音猿鶴三幅対』。中国では失われてしまった牧谿の作品が、長谷川等伯をはじめとする多くの絵師に影響を与え、現在でも鑑賞できる。そんな凄さを間近に感じられたことが、この曝涼展の一番の収穫だった。

ウィキペディア 牧谿

【関連記事】
凄い京都1 妙心寺法堂『狩野探幽筆・雲龍図』
凄い京都5 本法寺・長谷川等伯『涅槃図』
凄い大阪1 『歓心寺・如意輪観音像(国宝)』
凄い京都13  『桂離宮と修学院』
凄い奈良2 『東大寺三月堂・内陣仏像群(国宝12体)』
スポンサーサイト

テーマ : 絵画 - ジャンル : 学問・文化・芸術

この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 報告2 『大徳寺曝涼展の牧谿(もっけい)がいかに凄かったか』

Tag : 絵画 京都 お寺 報告 傑作

凄い映画9 『恋におちたシェイクスピア』

 恋に落ちた時の胸の高鳴りや痛みを『ロミオとジュリエット』の製作、上演時のシェイクスピアの心情を通して描いた傑作。脚本、俳優、製作、衣装といった全てが、これ以上不可能というほどの力を結集し作り上げた豊穣な映画世界。
恋におちたシェイクスピア『ロミオとジュリエット』で語られる愛の言葉の数々は、シェイクスピアの実体験に基づいていた。そんな本当のような設定を軸にしたこの映画は、シェイクスピアが体験する恋の始まりから終わりまでを『ロミオとジュリエット』のセリフや展開を通して描いていく。

まだ売れない役者兼劇作家にすぎなかったシェイクスピアが、一つの恋を通して知りゆく愛の美しさと哀しみ。高い壁に隔てられた恋人と結ばる絶頂感と、現実という形で押し寄せる越えられない壁。幾つもの障害の上で成り立った恋の物語を二人の主人公が熱演する。

さらに脇を固める個性的な俳優陣。劇中劇を生かした巧みな展開。16世紀末イギリスの華やかさと混沌を、衣装や美術で再現した映像美。これらをシリアス、コメディー、ラブロマンスといった要素を盛り込んで描き出す面白さは完璧。

娯楽としてだけでなく、堅苦しく感じがちなシェイクスピアという劇作家の、人間的な部分にアプローチできるこの作品。歴史に名を残した人々も、実は我々と同じように人を愛したり、不安や苦悩やを抱え生きていたのだ。そんな歴史を越えた真実にこの映画は気づかせてくれる。

ウィキペディア 恋におちたシェイクスピア
アマゾン 『恋に落ちたシェイクスピア』 コレクターズ・エディション [DVD]

テーマ : 映画紹介 - ジャンル : 映画

この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 凄い映画9 『恋におちたシェイクスピア』

Tag : 洋画 ラブストーリー 傑作 シェイクスピア 歴史

凄い絵画9 草間彌生(弥生)「ニューヨークで製作した『網目』作品」

 作らずにはいられなかった衝動が、単なる網目の連続を芸術作品にまで昇華させた傑作。見るほどに引き込まれ、マグマのような創作欲求がひしひしと伝わってくる。
草間現在では主に水玉で知られる草間彌生の作品群。しかし個人的には10代の頃に描いた作品や、渡米時代の得体の知れないエネルギーを持った絵画やハプニングに強く引かれる。

中でも50年代、ニューヨークで製作された『網目』作品は、部屋に閉じこもり巨大なキャンバスに網目を描き続けずにはいられなかった作者の衝動をリアルに感じることができる。

迷路にように引かれた網目の一つひとつに作者の息遣や、切迫した感情が伝わってくる。それはとても原始的で呪術的な、一種の祈りのようにも感じられる。

幼少から幻覚や幻聴に悩まされ、それを逃れるために絵を描き始めた草間彌生。彼女にとって芸術は生き続けるための手段であるのならば、天才と呼ばれる才能の裏には何と深い苦しみが存在するのだろう。

ウィキペディア 草間彌生
草間彌生オフィシャルサイト

テーマ : 絵画 - ジャンル : 学問・文化・芸術

この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 凄い絵画9 草間彌生(弥生)「ニューヨークで製作した『網目』作品」

Tag : 現代美術 傑作

凄い映画8 『バベル』

 平凡な日常もそのベールを脱げば、理不尽な暴力性や性衝動が潜んでいる。阪神大震災や9・11以降の社会の現実を圧倒的なリアリティーで描き出した傑作。
バベルまるでドキュメンタリーのような臨場感溢れる映像が映し出すのは、性と暴力が空気のように蔓延した世界。そこでは突然襲ってきた暴力によって、人は理不尽なまでに傷つけられ、時に命をも奪われる。

しかしそんな危機も、当事者でない人間にとってはどこか遠く、誰もが自分の視点でしか世界を見ることができない。人や物、さらに情報が行き交うようになった現代では、わずかな行為が誰かの人生を狂わせてしまう。それなのに、多くの人は取り返しがつかなくなってからでしかそのことに気づけない。

日本、アメリカ、メキシコ、モロッコと国や言語が入り乱れながら進行してゆくこの映画は、そんな世界に存在する分かり合えない人々の断絶が描かれている。そしてまた、その断絶に痛みを感じながらも、愛情というささやかなものに救いを見出そうとする人々の姿が描かれている。

9・11が象徴するように、平凡な日常は突然他者が引き起こす暴力によって、荒れ果てた荒野一転する。そんな時代を生きる我々にできることは、せめて日常がその姿を変えるまで、自分が大切にしている存在に愛を注ぐことだけだ。

ウィキペディア 『バベル』
アマゾン 『バベル』 スタンダードエディション [DVD]

 【関連記事】
凄い映画2 予想外の結末が凄い『ゲーム』
凄い映画3 闇の中の美『タトゥー』
凄いオペラ1 ワーグナー『ワルキューレ』
凄い本11 村上春樹著『アフターダーク』
凄い映画1 言葉にできない人生の哀しみ『めぐりあう時間たち』
凄いマンガ4 今も問題作であり続ける岩明均『寄生獣』
凄い映画4 『おくりびと』
凄い児童書3 土方正志著『ユージン・スミス―楽園へのあゆみ』
凄いアニメ5 『人狼 JIN-ROH』
凄い映画5 センスとアイデアの勝利『バウンド』
凄い映画6 アクション映画の最高峰『フェイス/オフ』
凄い映画7 『8人の女たち』
凄い映画9 『恋におちたシェイクスピア』

テーマ : 映画感想 - ジャンル : 映画

この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 凄い映画8 『バベル』

Tag : 傑作 洋画 リアル

凄い映画6 アクション映画の最高峰『フェイス/オフ』

 まだアクション映画にCGが多用される以前の、最後のアクション超大作。冒頭からラストまで、これ以上不可能というほどのアクションの連続と文句なしのストーリーで息もつかせぬ傑作映画。
/
『ミッション:インポッシブル2』や『レッドクリフ』で知られるジョン・ウーがハリウッドに進出し、3作目に撮ったのがこの映画。そしてこの映画の成功によって、アクション映画における最も偉大な監督という評価を獲得した。

冒頭の飛行場シーンから信じられないほど激しい戦シーンを繰り広げるが、それもまた物語の本筋。逮捕されたテロリストは植物状態となり、彼が計画していたテロを未然に防ぐために、主人公は、前代未聞の囮捜査に駆り出される。

顔の移植や全身を整形し、テロリスト本人になりすまして捜査を始める主人公。しかし病室で意識を取り戻したテロリストが今度は主人公になりすまし、身分の入れ替わった二人はまるでそれが本来の自分であるかのような状況に立たされる。

脱出不可能とされる監獄へ落ちた主人公は、果たして元の自分に戻れるのか。立場を代え、たとえ悪であっても、守るべき人や家族がいることに気づいた主人公の苦悩。そんな愛憎入り乱れた複雑な心境をニコラス・ケイジとジョン・トラボルタが演じきる。

派手なアクションの連続に度肝を抜かれるこの映画は、しかし決して単なるアクション映画ではない。善も悪もその裏には愛すべき者たちがいて、その死を悲しむものたちがいる。そんなあたりまえであっても、つい忘れがち事実をこの映画は教えてくれる。

ウィキペディア フェイス/オフ
ウィキペディア ジョン・ウー
アマゾン 『フェイス/オフ』 特別版 [DVD]

テーマ : 映画レビュー - ジャンル : 映画

この記事をクリップ!Yahoo!ブックマークに登録
BuzzurlにブックマークBuzzurlにブックマークこのエントリーを含むはてなブックマークはてなブックマーク - 凄い映画6 アクション映画の最高峰『フェイス/オフ』

Tag : 傑作 アクション 洋画

プロフィール

阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

全記事表示リンク
全ての記事へのリンク(ジャンル別)

全ての記事を表示する

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
ユーザータグ

京都 歴史 アニメ 映画 秀作 動画 日本 美術 洋画 古典 講演 現代美術 傑作 ギャラリー  YouTube 舞台 京大 建築 江戸時代 探求 イベント マンガ 庭園 大阪 寺社 寺院 物理 宇宙 アート 監督 紅葉 美術展 ラブストーリー 奈良 国宝 ノンフィクション グルメ フランス 見学 時代劇 アクション 音楽 ドキュメンタリー  タイトル 世界  歌舞伎 押井守 仏像 攻殻機動隊  涼宮ハルヒ I.G 神山健治 くせになる 悲劇 博物館 鎌倉時代 東京 Production Youtube 解説 戯曲 魔術 リアル 詩情  前衛 広島 芸術 化物語  戦争 菩薩 お寺 離宮 仙人 茶室 医療 西洋美術 個展 香港 デザイン 皇室 絵画 邦画 テレビ 枕草子 漢詩 闘病 原作 宮崎駿 旅行 長谷川等伯 IG シェイクスピア 講演会 滋賀 トークショー 狩野探幽 海外文学 出会い 洋楽 日本画  祭り 荒唐無稽 中国 ジャンル   ニコニコ 二次制作 報告 肖像画 和歌 探求京大 思想 ヨーロッパ 印象派 ゲーム 手塚治虫 笑い 

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
フリーエリア
FC2 Blog Ranking 人気ブログランキングへブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。