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凄い京都18 児玉ギャラリー『イグノア・ユア・パースペクティブ8展』

 以前から気にはなっていたものの、なかなか足を運ぶ機会がなかった現代美術のギャラリー。昨年秋頃から東京のギャラリーが京都に進出するなど動きが見られるこの分野。それを理解するために行った幾つかのギャラリーは噂に違わず静かな熱気に満ちていた。
児玉画廊
これまでにも三条寺町近辺の古いタイプの画廊には、時折足を運び同時代の作家の作品に目を通してきた。しかし昨年の秋頃から東京に本拠地を置く、「小山登美夫ギャラリー」や「タカ・イシイギャラリー」などが京都にもギャラリーを開くなど新たな動きが起きている。

そんな京都のギャラリー事情を知るために、今回巡ったのは小山登美夫ギャラリーの「ヴァルダ・カイヴァーノ展」と「桑田卓郎展」。さらに児玉ギャラリーの「イグノア・ユア・パースペクティブ8展」とイムラアートギャラリーの「ZAnPon Exhibition展」。それぞれにギャラリーの特徴が出ていて興味深かったが、中でも凄かった児玉ギャラリーの「イグノア・ユア・パースペクティブ8展」。

大阪と東京にギャラリーを持つ児玉画廊は、昨年10月に大阪のギャラリーを扱っている作家の多い京都に移転。それも京都駅から南へ行った、およそ芸術とは縁のなさそうな十条通りに面した元鋳物工場の建物を利用。外観からはまさかここが現代美術のギャラリーとは思えないが、一歩足を踏み入れるとそこはまぎれもなく現代美術の空気が漂う空間。

今回展示された作品は児玉画廊が取り扱う日本の若手アーティストたちの作品で、そのどれもが荒削りでありながら、幾つかの作家の作品は見る者の心にしっかりとひっかかりを残す。特に黒い用紙に偶然に生まれる色のラインで詩的な世界を生み出した西森瑛一。実体を持たないパステルの影が現代人のアイデンティティの無さを表現したような鷹取雅一などの刺激的な作品に出会うことができる。
三家
2階では「Kodama Gallery Project」としてギャラリー一押しの作家・三家俊彦の作品が展示されており、300体以上のアルミホイルで作られた騎士が立ち並ぶオブジェはまるで三国志や戦国時代の戦闘シーンを再現したよう。その独自の発想やゲームの感覚を取り入れた作品に新しさを感じさせる。

しかしこの展覧会、何よりも驚いたのは、若手作家たちの作品から伝わる素材や発想に対する柔軟さ。以前の日本の作家たちに感じられた創作の苦しみや観念的な重さなど微塵も無く、作品製作を楽しみながら自由に芸術に取り組む姿が伝わってくる。

また、こんな辺鄙な場所のギャラリーなのに、芸術やアートに感心を持つ若い世代の鑑賞者たちが途切れることなく訪れることにも驚かされた。少し前までは敷居の高かった現代美術やギャラリーが、若い世代には身近なものとして存在していることが、このギャラリーを訪れたことで理解できた。
(ちなみに「イグノア・ユア・パースペクティブ8展」は10月10日で終了。17日からは、田中秀和個展
「連続の要因」が開催される)

児玉ギャラリー京都
小山登美夫ギャラリー京都
イムラアートギャラリー

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テーマ : アート - ジャンル : 学問・文化・芸術

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Tag : ギャラリー 現代美術 アート

凄い京都20 MATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/w『下出和美展、岡山愛美展』

 先日紹介した児玉ギャラリーの『イグノア・ユア・パースペクティブ8展』 以来、すっかり現代美術の楽しさに魅了され、再び巡った新たなギャラリー。そこには女性的感覚を頼りに、独自の世界を表現する二人のアーティストの作品群があった。
下出作品
今回訪れたMATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w(マツオ メグミ+ボイス ギャラリー)も、通りから見ただけでは気づかずに、通り過ぎてしまうような目立たない場所にある。京都駅八条口から南東に10分ほど歩いたところにある山王小学校の、先向かいのビルにあるそのギャラリー。入った瞬間に目につくのが、下出和美の『燃える手で』。巨大なキャンバスに黒とオレンジで描かれた2人の女の子。周辺にはサッカーボールや鳥たちが散らばっている。

今回の展示『彼らが大地になる時』の16点作品のほとんどに描かれた、幼い少女の落書きのような女の子。一見何てことない絵だが、その鮮やかな色使いと、ためらいの無い感覚的表現は、大画面迫力と合わさり爽快感すら感じさせる。そこに描かれたものたちの、意味するところは理解できないが、作者の身近なものたちによって生み出された独自の世界は、そんな理解を突き抜ける力をもっている。

従来の概念にとらわれず、自らの書きたいこと、今自分が表現できることを背伸びもせず、また萎縮もせず表現できていることが、何よりの魅力である作品群。下手な解釈などせず、描かれた少女に導かれ、色や模様が作り出す独自の世界を旅できる。
岡山作品
一方、下出作品とは対照的に静かな色使いと光を使った表現で淡い感覚を提示する岡山愛美の作品群。水に溶けたような色合いの絵画や、夕日を受けシルエットとなった枯れ草の写真。その上にガラスの粒を吹きかけた作品は、淡い輝きを放ちながらどこかせつない感情を呼び起こす。

またプロジェクターを使って表現された2つの映像作品は、過去を背負った懐かしいものと光の輝き。思うようには焦点を結ばないレンズの動きによって生み出されるもどかしさなど、多重的にイメージを重ね合わせ見る者の心に働きかける。言葉にできない感覚を絵や写真、映像と手段を選ばず表現できる手腕。その鋭さは理解を深めていくほどに興味を増す。

今回の2つの作品展、共に80年代生まれの若い女性がその作者。彼女たちの作品群は、表現手法や訴える感覚こそ違え、極めて鋭い感覚で今という時代が鮮やかに切り取られているという点で極めて興味深かった。
(下出和美個展『彼らが大地になる時』は09年11月7日(土)まで。岡山愛美個展“smoke and mirrors”は09年10月25日(日)まで共にMATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/wで開催中)

下出和美のこれまでの作品
MATSUO MEGUMI +VOICE GALLERY pfs/wホームページ

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Tag : アート ギャラリー 現代美術

凄い動画7 『小山登美夫「クールジャパンの行方」』

 この人が村上隆や奈良美智を世に送り出した人だとは知らなかった。ただで言っている言葉の中に、ひどく真っ当な批判精神と、美術に対する深い愛情があった。たった10分の映像にそんな思いを凝縮できるこの人を凄いと思った。
小山登美夫美術に対する愛情なら、そこらの人には負けないと自負している。しかし現代美術は、村上隆さんまでしか美術史的理解ができていない。その先に広がったまだ海のものとも山のものともつかない世代の美術については、好き嫌いはあるが正確な評価をできないでいる。

小山登美夫ギャラリーを運営する小山さんは、村上さんや奈良さんがまだ海のものとも山のものともつかなかった時代に、彼らの作品を紹介してきた、言わば現代美術の「目利き」だ。そんな彼が語る「クールジャパンの行方」は、自身の見る目を養う必要性を説く。

他人の意見に頼ることなく、自身の目や価値観で物事を見極める。そんな経験の積み重ねが過去の歴史や価値を理解し、その先に新しい価値観を作り出す。それは決して美術分野に限ったことでなく、我々一人ひとりが達成しなければならない課題である。未来をより良いものにするためには必要不可欠なスキルなのだ。


(写真は小山さんの著書『現代アートビジネス 』)
YouTube 視点・論点『クールジャパンの行方』
蜷川実花×ギャラリータグボート・小山登美夫プロフィール
アマゾン 『現代アートビジネス 』(アスキー新書 61)

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Tag : 日本 美術 アート 現代美術 京都 YouTube ギャラリー

プロフィール

阿部和璧

Author:阿部和璧
現代アートを中心とした美術関係について書くライターをやっています。2011年8月より東京に拠点を移し、現在は都内の地域アートプロジェクトのリサーチの仕事などをさせていただいてます。世の中にある凄いもの、面白いものに興味があり、そんなものたちについてみなさんと話し合ってみたいと思います。
連絡先はメールabekaheki@gmail.com
またはお問合せtwitterまで。

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